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「ションヘル織機は本当に必要だろうか」

私が大好きな「ションヘル織機」は

今この世界にとって本当に必要なのだろうか


考えても仕方ない、届く人にはきっと届くんだと思いつつ、つい考えてしまう

きらびやかなファンシーツイードも質の良い暖かいコート生地も誰もみたことの無い新しい布も、ションヘル織機が作っている

世界的にも稼働しているのが珍しいこの機械は生産性が低く今は部品も製造されていない

私がやろうとしていることは時代に逆行しているのかもしれない。多くの人から賛同は得られないかもしれない。

でも私はやっぱりこの織機が作る布が大好きなのだ。毎日毎秒どうやったらこの織機を使って布を生産し布を巡る人たちも布を買う人たちも1人残らず悲しむことなくこの織機とその布を生産し愛していけるのかをずうっと考えている。大学3年生のときから8年前からずうっと。

やりたいことはとてもシンプルで、たどり着く道のりはこんなにも難しい。

でも、「今できるかも」という感情が波の合間や雲の隙間にチラチラと見えるようになってきた。おかしいのが決して売上が上がったからではなく、たぶん自分に力がついてきたからなのだと思う。なんなんだ、という感じ。自分でもよくわからない。力ついてないかもしれない。

でも、ここで踏ん張らないともうやれない気がする。今のままではだめだ、絶対に辿り着けない。そんな危機感がすごくある。

私がやりたい機屋の形というのはざっくりいうと「プロもアマも関係なくションヘル織機を使って布を楽しむ」という感じなのだ

今ションヘル織機とその布は基本的にはプロ向けで商社を通して買ったりオーダーするにも専門知識がないと難しい。一般の方がションヘル織機がどんな風に動いて布を生み出しているか見る場所も基本的にはない。布は購入できるけど生産しているのだという体感というのはものすごく遠いところにあるだろう。一般の方がションヘルに近づけることをオリジナルブランドである「terihaeru」ではやっていきたいと思っている。

でもだからといって全てエンドユーザー向けにするつもりはなくて、やはり繊維は産業なのだ。プロとの仕事がなければ成り立たない。糸屋さんや染色工場、生地を洗う整理工場がなければ布が作れないからだ。私が今いる尾州を「産地」として存在していくためには産業というベースがいる。

産業、という言葉にはなぜ熱を感じないんだろうか。きっと客先から指示される仕事...安くしろと言われたりクラフトマンに対して全く尊敬を感じられない、クリエイティビティと反することをイメージしてしまうからなのかもしれない

ションヘルはアナログだ。アナログだからできるものがある。だから壊れる。直す時間がかかる。短い納期には対応できないことが多い。電話が鳴り止まない。でも布を作ることはプリンターで出力するようなことではないから10分ではできない。また電話が鳴る。音も出るから夜中には稼働しにくい。「明日にはできますよね?」

いつからものづくりというのはこんな風になったんだろう

「それが仕事でしょ」という人もいるかもしれない。でも頑張っても対価が低かったら?発注数が少なかったら?こんな仕事は続けていけるだろうか

私が布の仕事で好きな部分は「きちんと時間がかかる」ことだ

人の頭でどうにかなってしまう仕事は、徹夜を何日かすればできてしまう。だからみんな疲れている。それは健全な仕事ではないのだ。布は綿やウールが仕事をしてくれなかったら仕事にならない。人がサポートしているけれど素材や機械が作用し動いてくれるから仕事になるのだ。だからきちんと時間がかかる。

ちょっと話が逸れてしまったけど、こちらはきちんと時間がかかる仕事だから人の頭の時間にはついていけないのだ。だから急ぎの仕事はできない。

ファッションの世界では洋服の売上を大量に効率的に出すために既製服が生まれた。大量に作り大量に売る。とても資本的な作り方だ。ファストファッションが〜とよく言われるけれど、最初からそうだったのだ。ションヘルはこれに合ってない。そして元々ファッションもこちら寄りの存在だったはずだ。パリコレプレタポルテの展示会の始まりは約60年前。1人1人の体型に合わせて1つずつ作っていた時代の方がずっと長い。そして洋服の本当の姿はそうであるべきだと思っている。

きっとみんな気付いている。もう服を生産するサイクルが短すぎることを、ちゃんとしたクリエイションをする時間がないことを、洋服を作るサイクルでたくさんの人が疲弊していることを。

だけど私はファッションを諦めたくない。ファッションが大好きだから。デザイナーさんたちが作る洋服が大好きだから。毎シーズン楽しみにしているから。でももうションヘルはついていけないと思うのだ。

だから1年かけてじっくり作りませんか。少量で良い、100m以下で良い、でもじっくり考えてとびっきりの世界中の誰も作れない布を一緒に作りましょう。ションヘルができることを一緒に広げていきましょう。「大量」という行動がクラフトマンたちの尊敬を忘れ頭の時間と利益に占領されてしまった。そしてその行動が作る場所を奪っている。きっと元の姿に戻すことが健康的なクリエイションで健康的な布づくりなのです。

でもやっぱり悲しいのが「大量」が基準の産業だから最低限のロットは必要。だから小ロットでたくさんのデザイナーさんに発注を取らないと、ですけどね。

これが私の作りたい「ションヘル織機の機屋」です。

今年中にはこんな機屋をいよいよ作りたいと思っているのだけど、先立って皆様から生地のオーダーを取りたいと考えています。

もしここでオーダーがなければ世界にはションヘルがあまり必要じゃないのかもしれません。必要なければ産業は成り立っていかない。そういうことなのでしょう。

感情論で押し付けるのはもうやめにして(笑)、ションヘルが作れるものを具体的にあげます。

基本的には手織りに近いものができます。手織りでできるものを中量生産に乗せたい!そんなテキスタイルに向いていると思います。あとはファンシーヤーンを使っているからハンドカットするしかないカットドビーやカットジャカードが得意です。この前関係者に相談した時に裂織ができるかという質問が出たのですが裂織もできます。リボンやテープを使った織物も。透ける生地は苦手です。太い糸のほうが好みます。経糸(たていと)も自分たちで作るので自由度が高いです。

作れる布の詳細・お問い合わせはこちら↓

terihaeruとは全然違うテイストでも構いません。逆にterihaeruのテキスタイルの色違いや素材違いでもOK。織物の知識が全くなくても大丈夫です。こんなのが作りたいけど〜というご質問もお気軽にお送りください。

今のファッションのサイクルだと布を作るのには不思議なタイミングですが😂これもションヘルでゆっくり布を作るため!ぜひご検討ください。














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