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まさかの車中出産だった長男

父の事で子どもたちにも不自由な思いをさせた夏休みでしたが、長男は10歳の誕生日を迎えました。
父からの最後の誕生日プレゼントとして受け取った腕時計を、とても大切にしてくれています。

そんな長男ですが、私達夫婦にとって2人目の子供であるにも関わらず、初めて幼児(長女)がいる状態で妊娠、出産。初めての男の子、初めて自宅で破水など、いろいろと初めてだらけでした。
つわりは長女の時よりひどかったのと、お腹が大きくなるのが早かった事。長女の時は出産間近でも6ヶ月目に間違えられるほどお腹が小さかったのに、けっこうパンパンにお腹が膨らんだ事も印象的でした。

助産婦さん(Midwife)不在の中、陣痛開始

娘の時は、予定日よりかなり早くに出産する事になった為、私の両親がNZに到着した時には、娘はすでに生まれていました。
しかし、今回は出産前に両親が到着し、観光したり夏のクライストチャーチを楽しんでもらう事ができました。

しかし歩き回りすぎたのか、予定日数日前に陣痛が・・・。しかし、担当の助産婦さんは金曜日から日曜日まで旅行(旦那さんからのサプライズプレゼント)に行っている為、もしこの間に何かがあった場合は、ほとんど会った事がないSecond midwife に連絡がつながる事になっています。
陣痛がきたのは月曜日の朝4時。月曜日の朝8時まではSecond midwifeの担当になってしまいます。

とは言え、陣痛はきました。
今までの前駆陣痛とは違うと感じる下腹部の痛みにもしや?と思いつつ時間を計測。 約11分ぐらいの感覚が二度続き、便意を感じてトイレに駆け込む。この時少量の出血を確認しました。
おしるし!これはマジだと感じつつトイレを済ませて戻ってきたら、急に痛みが強くなり、痛い間はどうにも動く事ができないほどになりました。

痛みの感覚は計測不可能なほどあっという間に時間を狭めていきます。すぐ横で夫がMidwifeに電話して、どういうわけか陣痛が16分間隔と説明するので、Second midwifeに「では朝の8時に病院で待ち合わせましょう」と言われてしまいました。
とてもそれまで待てそうにない!
「そんなに待てないよー」と訴えつつ、痛みのあまり「あー!」と大声を出したら、そのただならぬ雰囲気にSecond midwifeがすぐに病院に向かうよう指示。
夫は顔を洗って着替えて、うちの両親に声をかけ、既に私の声で起きていた娘の服を着替えさせ、更に「じゃ、コーヒー飲んでから行きましょうか。」とか言ってました。
私は汗ビッショリ。娘は陣痛の間、背中をさすったりお腹をさすったりしながら「がんばれ!」と応援してくれました。これがすっごく心強かった。辛かったけど、支えになりました。

両親は夫に「コーヒー飲んでる場合じゃない!」と急かして、いよいよ出発・・・しようとドアノブ掴んで痛みに耐えてたら、ビシャーっと破水。
車に乗ろうとするも、すぐに痛みがきて外でへたりこむ。
後部座席は娘のカーシートで狭くて体勢がキツイ。(座ってられないので、体を横にするも頭は娘のカーシートの側面に乗っかってる状態。足はドアでつかえるので折り曲げている状態。)
娘の手を握りながら、「いたーい!」と訴えると娘も一緒に泣き出す。そりゃ不安だよね。申し訳なく思いつつも、痛い時は声を抑えられない。

車の中で時きたる

陣痛間隔は2、3分おきになってる。夫は病院に着くまでいきむなと言うけど、いきんでなくても出てきそうになってる。そして車の振動がこんなに痛みに響くとは!一刻も早く麻酔が欲しかった。
陣痛が来ている間は辛いので、「車とめてー!」と言うんだけど、助手席に乗っていた母はいちいち停めてると間に合わないと思ったらしく、「ゆっくり走らせなさい」と夫に指示。
車を100kmぐらいで飛ばしてたらしいんだけど、そんな夫も「大げさだからまだそんなに痛くないはず」と言っているのが聞こえていました。
私は内心「誰もこの痛みを理解してくれない!」と思いました。唯一、娘だけは陣痛がおさまっている間、「お母さん痛いって言ってるよ!」と夫に訴えてくれていました。

やっと病院に到着するも間一髪で間に合わず、病院の玄関前に車が停まった時点で、頭が出てきてしまいました。パンツの中がモリモリしてるし、体勢が辛い!

車の中で産んでしまった

頭が出た時点で、「頭が出てる!早くドア開けてパンツおろしてー!」と叫びました。
夫は運転席を降りて、病院のナースに子供が産まれそう(産まれてるけど)だと知らせに行っていました。
母は私の声を聞き、「えっ!?」となってドアを開け、服越しに私の股間を触ってみたら、頭の感触を感じてパニックになっていたそうです。
夫が車に戻った時には赤ちゃんの体も出ていたので(本当に頭出た後はスルッと出てしまうね)、「赤ちゃん出てる!パンツおろして!」ともう一度訴えました。(スカートを履いていた)
夫は一応場所が外なのでパンツおろして良いものか迷ったそうですが、もう体も出ているという事で、下着に阻まれて赤ちゃんが窮屈な思いをしては大変だという事で、下着をおろしたところ、もう赤ちゃんの足以外は出ていたそうです。
そこで旦那さんが残り(って足だけど)を取り出し、泣かないので背中を軽く叩いてやると、泣き始めたそうです。

その直後病院スタッフが車イスを押しながらかけつけてきました。なぜ車イス。ストレッチャーじゃないのか・・・。
へその緒もつながったまま、下半身裸で車椅子に乗って移動。分娩室でヘソの尾を切ったり(目の前で切ってるところを見る事に。)色々と処置をしてもらっていたら、Second midwife到着。もう何一つ間に合っていない。
しかし誰のせいでもない。

病院移動の手続きをしようとしたら、移動を希望していた病院は満室でダメ。(いわゆる市民病院は、出産後重大な問題がなければ、入院ができないシステム。入院といっても2日程度ですが、入院する場合は近隣の病院に移動する。)
そうなると家からかなり遠い病院になってしまうので、自宅に帰る事にしました。しかしその後、顔に思春期ニキビのようなポツポツがあり、原因をベイビードクターに見てもらう為、24時間は出産した病院に残る事になりました。
(これは結局肌が乾燥している事が原因とわかりました。お風呂に入れて清潔にして、保湿を充分していたら大分良くなってきました。)

8時頃に本来の担当Midwifeがきてくれたので、「水中出産したかったのに、車中出産になっちゃったよ。」と言ったら、自信のお子さんをやはり車の中で産んだ経験のある彼女は笑っていました。
短時間で産まれたので体温が低く、体温が上昇するまでけっこう長めにカンガルーケアしながら授乳しました。
赤ちゃんは初めての割に母乳を飲むのが上手な感じがしましたが、娘が反対側から飲みたがるので両サイドから子供を支える事に・・・。
狭いところで産んだので、体内で骨かどこかにぶつけたようでアゴにはクッキリ痣がありました。いずれ消えると聞いていますが、いつまで残るのかな・・・。(いわゆる赤痣で、これは結局今にいたるまで残っています)

娘の時は陣痛促進剤を使用した為、2人目の出産にも関わらず自然な陣痛の到来、破水などがどうやって来るのか全くわからず、いつどうやってやってくるのか不安でしたが、こんな風なのかという感じです。

陣痛始まってから出産まで1時間半というスピード出産でした。

何にせよひとまずは、 無事に産まれてきてくれた息子に感謝、応援してくれた娘に感謝、取り上げてくれた夫に感謝、色々フォローしてくれている両親に感謝です。

息子のアゴの痣は、ずいぶん長い間罪悪感に苛まれましたが、今となってはこの痣も含めて息子だなーと思っています。
幸い、幼少期は常に「よだれ被れ」と思われて心配されたり、同級生にもケガをしていると思われる事はありましたが、からかわれた事は一度もないそうです。
いずれ消したいと思う時があれば、手術も考えていますが、もしかしたらヒゲで隠すか、あるいは全く気にせずそのままで過ごすのかも。

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