16.人の心を動かす話し方とは
ウチの会社では社長指示のもと各課が加工や技術の継承・再確認を目的とした社内講習を実施することになっています。私もExcelやPowerPointを題材にした講習、YouTubeコンテンツを題材とした仕事に役立つノウハウの講習を行ってきており、講習の成果はそれなりにあるなと実感しています。そんな中で、先日ウチのニス加工の担当社員さんが行ったニス講習が、拍手が起こるレベルで皆の評価が良かったのです。
なぜその社員さん(Mさんとします)の講習の評価は高かったのか。確かに、講習内容も限られた時間の中で基本からちょっとマイナーなものまでカバーされており、最後には小テストというアウトプットの機会まである素晴らしいものでした。しかし私の講習でも短時間で濃い内容を提供するための資料作成や、その中にアウトプットの内容を盛り込むことはしているものの、まだ私の講習で拍手が起きたことはありません。この差は何か。
一元論では語れませんが、私の講習とMさんの講習では、アツい思いが伝わったものか、そうでないかの差が最も大きいなと感じています。そして、この“どれだけ人に思いを伝えられるか”というのはすさまじく重要な能力です。
簡単に見えることより、一生懸命に思いを持って取り組む姿勢や態度に人は心動かされる
自分で言うのもなんですが、私はそこそこ人前に出慣れていますし、資料作成やプレゼンも数をこなしてきたので一定のレベルのアウトプットはそつなくこなせてしまいます。この“そつなくこなす”ということが感動に繋がるか否かに関わるなと感じるようになりました。
私の思考の癖は、網羅的かつ分かりやすく、相手に疑問や反論の余地を与えないように進めることです。この思考は元来のものでもありますが、前職のまちづくりデベロッパーとして新卒から働いた会社で私のOJTになった方の影響を受けさらに磨きがかかりました。これ自体は悪いことだとは思っていませんし、むしろこういう仕事ができるようになりたいと思っていましたので、ある意味願った通りに進んでいます。
しかし最近、論破や指示としてではなく、想いとして伝えたいと思うようになりました。ただこれがなかなか難しいのです。私の発言内容は理由や目的がはっきりしているので説明したら皆納得してくれます。ただ、心から納得するというか、心が動くような納得はしていないだろうな、とよく感じていました。そんな中でのMさんの講習だったわけです。
Mさんは講習を実施するなんて初めてだとおっしゃっていましたが、真面目に資料を作り、講習の運びもよかった。ただそれよりも、講習の最後に自分の仕事であるニスに対する思いを発してくれました。これが本当に良かった。
”感動”はあっても”理動”はない
“感動”という言葉はあっても、“理動”という言葉ありません。つまり人間は感情によって心が動くのであり、理屈では心は動かない、という価値観を改めて認識するとても良い機会になりました。本気の思いを伝えるのは難しいですが、それこそリーダーの役目だと思いますので、明日からも本気でぶつかっていきます。
ちなみにカネエム工業のニスはその品質が良く、他社からの評判も高いです。そのためニス依頼だけをされるお客様もおられます。その他弊社に興味がある方は、是非手作り感満載の工場案内動画をご覧ください。