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【質問】退職勧奨を断ったのに、業務命令だと言われ面談の継続を要求されました

こんにちは、ひこよです。

今回も実際に退職勧奨をされている最中の方から、ご質問がきましたので、解答させて頂きます。

(質問内容)

現在退職勧奨を受けています。複数回面談をされましたが、明確に断りました。

すると上司からは、次回の面談では今後の業務プランを聞かせて欲しい。これは「業務命令」だと言われました。

このような業務命令に従う必要はあるのでしょうか。また、業務プランを聞かせて欲しいという面談の意図はなんでしょうか。

(解答)

まず、退職勧奨を明確に断っているにも関わらず、業務命令という強制力を持って面談を継続する事は、違法性が高いと言えます。

では上司の狙いはなんでしょうか。

それはずばり退職勧奨の面談を継続する事そのものが狙いです。

以前の記事にも書きましたが、上司も会社から面談をやらされているので、決められた回数をこなさなければいけません。

退職勧奨に応じない人に対して、面談を〇〇回は行うようにというノルマがあるという事です。

ところが質問者さんが明確に退職勧奨を断っているので、面談を継続する理由がなく、業務プランを聞くという理由で面談を継続しようとしていると思われます。

おそらく、業務プランを聞いて、「そんな内容ではこれから厳しくなる環境において、やっていくことはできない、だから希望退職への応募を検討したらどうだ」という展開だと思います。

(対策)

次の面談が、希望退職に関わる面談なのか、希望退職とは全く関係ない業務の面談なのかを事前にはっきりさせることをお勧めします。事前にメールで問い合わせてもいいでしょう。

1、希望退職に関わる面談との回答だった場合

前述したとおり「業務命令」という強制力を持って面談を継続してくるのであれば、退職強要に近づき違法性が高くなります。

自社に労働組合がある場合は相談してみてもいいかもしれません。また自社に組合がない場合は外部ユニオンや労働局の個別紛争解決制度に相談しても良いと思います。

ただし、相談するときの論点は明確にした方がいいです。

退職勧奨そのものは違法ではないので、そこに感情が入ってしまうと前に進みません。

あくまで、明確に退職勧奨を断っているにも関わらず、業務命令で面談を強制される点に絞るのが良いでしょう。

2、希望退職とは全く関係ない業務の面談だと言われた場合

業務プランを聞かせて欲しいとの事ですが、そもそも業務プランとは、今後の方針(ありたい姿)を明確にした上で、現状を分析し、現状とゴールのギャップを埋める作業だと思います。

したがって、上司に「それでは今後の方針を明確に示してください」と提案してみたらどうでしょうか(多分示せない)。

また、希望退職によって、どこの部署で何人やめるかわからない状況では、現状の分析は難しいと思われます。

希望退職が終わり、新体制の状態がはっきりした上で業務プランを策定した方が、より良い物が作れると思いますがどうでしょうか?と提案してみてもいいかもしれません。

そうした場合、おそらく上司は「君自身のことを聞いているんだ」とか「あなたのキャリアの話だ」と言ってくると思いますので、「それじゃあ希望退職の面談ですね」と1、の対応をとりましょう。

(退職強要の判例)

昭和44年度末から、市教委は両名に対し強く退職を勧奨することとなり、これを受けた教育次長らの勧奨担当者は、Sに対しては同45年2月から5月までの間、計11回、Kに対しては同年2月から6月までの間計13回、市教委に出頭を命じ、少ない時で約20分位、長い時には2時間強に及ぶ退職の勧奨を行った。その間、担当者は、退職するまで勧奨を続ける旨を繰り返し述べたり、退職しない限り所属教員組合の宿直廃止、欠員補充の要求に応じないとの態度を示したり、研究物かレポートの提出を求めたり、あるいは市教委への配置転換などを示唆したりした。そこで、被上告人らは、これら一連の行為は違法なもので、これにより名誉感情を傷つけられるなどの精神的苦痛を受けたと主張し、下関市、市教委、勧奨担当責任者を相手に、国家賠償法1条、民法709条に基づき慰謝料の支払いを求めた。
一審判決(山口地裁下関支部)は、本件退職勧奨は被勧奨者に心理的圧力を加えて退職を強要した違法なものであるとして、国賠法に基づき、下関市に対しS、Kに各4万円、5万円の慰謝料の支払いを命じた。

下関商業高校事件(最高裁昭和55年7月10日第一小法廷判決)

(まとめ)

退職勧奨か退職強要かは明確な線引きはなく、判例にあるように複合的に判断される為、「業務命令」と言われたかといって直ちに違法になるわけではありません。

ただし、退職勧奨の原則は「退職するかどうかは自分の自由な意思によって決める」ことですので、業務命令による退職勧奨は、自由な意思の阻害要因である事は間違いないと思います。

このような情報をしっかりインプットした上で、質問者様にとって最も最良な決断ができる事を望んでおります。

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