初めての場所は強い風が吹いていたよ〜鹿児島ユナイテッドFC 2019シーズン総括〜
長くも短くも感じられたシーズンが遂に終わりました。結果は11勝7分24敗で21位。一年でのJ3降格となってしまいました。初挑戦だったJ2の舞台。そこで何が通用し、何が通用せず、何を得たのかを自分なりにまとめていきたいと思います。
攻撃的なサッカー
鹿児島が目指したサッカーは「自陣からショートパスを繋ぎ、ボールに人数をかけて連携で崩す」というもの。ただこれは普通は強者の戦い方だろう。理想を完璧に実現するには純粋な戦力値とディティールが足りなかった。確かに格上相手でもボールを保持しチャンスを多く創る試合はあった。しかし、そういう試合でも決定力不足で勝ちきれないことが多かった。
この2つの表は(https://www.football-lab.jp/summary/cbp_ranking/j2/?year=2019)から引用したものだ。1枚目は攻撃ポイントの上位11チーム並べたもので2枚目は得点数の”少ない”順に11チーム並べたランキングだ。ざっくり言うと「リーグで4番目にたくさん攻めたけど実際の得点数はワースト5位」といった感じだろうか。
これは前述の決定力不足と個での打開力の不足によるものだと思う。アタッカー達の閃きによる即興性の高い攻撃は成功すれば見栄えもよくて良いチームに見えるが、人数をかける分被カウンターのリスクが高まるし、何より再現性が低い。ドリブルで敵を躱していける選手がいるともっと良い攻撃が出来たのではないかと考える。
また、崩しの前段階のビルドアップでも再現性のある明確な形があるようにはシーズン通して見えなかった。CBとしてはビルドアップ能力に長けた堤俊輔(契約満了での退団が決定済み)や高いテクニックとインテリジェンスを備えた中原秀人らの能力に頼りすぎていたように感じる。
脆かった守備
73失点はリーグで3番目の多さとなった。特筆して弱かったのは「被カウンター」 「サイドからのクロス、特にセットプレー」だろう。
「被カウンター」に関しては攻撃的なサッカーを志向している以上はある程度は仕方ないとは思うが、切り替えの部分であったりDF陣の対応力であったり改善の余地はあるはず。
この二つのウィークポイントを解決する1番単純な策は足の速さや競り合いの強さといった身体能力の高いCBを起用することだろう。たが鹿児島にはそんなCBはいないし、いたとしても今度は足元の技術がおぼつかなくて攻撃面でマイナスになるかも知れない。
なので2人の補完性でそれを補うしかないわけである。そういった意味ではシーズン通して主にスタメンを張った堤と水本のコンビはできる限りの最適解であったように思える。シンプルにJ2に残るクオリティではなかったと言うしかない。
ただJ3で素晴らしいプレーをみせ昇格に貢献した平出がまったくと言っていいほど起用されずボランチが本職の赤尾(今シーズン限りで引退)をCBとして起用して不安定な守備を露呈したり、夏に獲得したヨンジェミンが怪我の影響もありほとんど稼働しなかったなど若干の不満は残る。
来季へ向けて
とても悔しいがクラブとして初めてのJ2での挑戦は1年で終わることとなってしまった。もちろん降格という結果には多少の不満はあるし文句も言いたくなる。残留に限りなく近かったのだから。ただやれることはやったと思うし、クラブとして得るものも大きかったシーズンだと僕は思う。勇敢に攻撃的なスタイルを目指し、柏レイソルという今季のJ2を制覇した強豪クラブに勝つことができたし、鹿児島よりもずっと長い歴史を持つ伝統クラブ東京ヴェルディにも勝った。
そもそも鹿児島にJクラブが存在することが数年前なら信じられないようなことだろう。その上これらのクラブと公式戦で本気の試合をできるなんてこの上ない幸せだった。この経験をどう活かし、未来へ繋げていくかが今後の鹿児島ユナイテッドFCの歴史を左右するだろう。
クラブ創設から僅か5シーズンでJ2まで駆け上がってきた鹿児島ユナイテッドFC。思えばここまでの歩みが早すぎたのかもしれない。これからもこのクラブの歴史は続いていく。その中のまず最初の試練がこの降格なのかもしれない。来季はクラブもオフィシャルの声明として発表したようにJ3を優勝して初めての優勝という経験を積んでからまたJ2に帰ってこようではないか。
カテゴリーが下がったことによって興味を失ってしまう人もく少なからずいるだろう。それは仕方の無いことだ。だが改めて、僕はこのクラブをカテゴリーなど関係なくこの命ある限り全力で愛して、全力で応援することをここに誓ってこのnoteを締めたいと思う。