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愛宝学園かがみの特殊少年更生施設を考察

愛宝学園かがみの特殊少年更生施設。
この少年更生施設のホームページが何かおかしいと話に聞き、私もアクセスをしてみました。
7時間、相方と共に頭を捻り、時には思い付きを片っ端から試すなどして、その全貌を解き明かすに至りました。
このページでは私の想像によるかがみの特殊少年更生施設の歴史と現在について語っていこうと思います。
繰り返しますが、これは私の想像です。


※ここではARGの性質に則り、全てを現実として語っていきます。
※ネタバレを含みます。
※勢いで書き上げたものですので情報の出典は記載していません。

▶カネモリ式第一期:金森寿一郎

事の始まりは…おそらく昭和13年以前に…金森寿一郎氏が発表した社会適合論という論文とその中で公開されたカネモリ式施術です。
金森氏はこの論文に強い自信と信念を持っており、来たる第二次世界大戦を見据えた、より人道的かつ社会不適合者を社会へ還元がなされる理想的な人格に変える施術だと思っていたはずです。
この論文は様々な人間の興味を引きました。
実際に帝国医学会の理事が助力をし、おそらく財閥系の資金援助を受けるなど、金森氏への期待はかなりのものだったと見受けられます。
彼は研究が進むと共に出世街道を進みました。
金森氏の所属するカガミノ脳病院はかがみの特殊少年更生施設を設立し、彼を初代院長に据えました。
この設立と人事には社会不適合と判断された少年というサンプル収集の目的があったのかもしれません。
ここからは私の想像なのですが、その目論見は大きくハズレたはずです。
金森氏はここに来て初めて「社会不適合因子が生得的…生まれ持ったものではないこと」に気付きます。
実際に現代での出来事を振り返ると、バイカラームーンの作者の蒼乃晴翔少年は抑圧的な父のもとで非常に優秀で従順な性格をしています。
彼の性格はここで言う理想的な人格に近い性質なはずです。
乙坂響少年、林野廣剛少年も同様です。
しかし彼らは環境によって非行あるいは殺人を起こすことになった。
彼らが犯した罪は重いですが、蒼乃少年と乙坂少年はその事情から罪を後悔はしていませんでした。
「殺人への後悔がない」これは表面的には非常に社会不適合な側面が強い情報です。
つまり、彼らの感情を勘案せず彼らの言動を判断すれば、彼らは社会不適合因子を抱えた存在ということになります。
しかし、そうではありません。
彼らが社会不適合の性質故に犯罪や非行に手を染めたわけではないことは明らかなことだと思います。
金森氏は衝撃を受けたことでしょう。
社会不適合因子は生まれ持った脳の働き、あるいは後天的な脳の変化によるものであり、いずれにせよ脳を弄れば解決すると思っていたのですから。
ここから、彼が非常に恵まれた生まれであることが伺えますね。
そんな前提のもとで社会不適合論を唱え、カネモリ式を編み出したのですから、今までの研究結果は水の泡になります。
間違った前提の元で行われた研究であり、自信を持っていた研究が無為になった彼の心理的な負荷は計り知れなかったでしょうね。
金森氏が精神的に不安定になった原因はこういう事情だったのではないでしょうか。
やがて彼はこう思った「自分が人道的と思っていたことは酷く非人道的な行いだったのではないか」と。
彼は元々道徳的な人間です。
社会秩序は勿論のこと、社会不適合者にも手を差し伸べる。
それがカネモリ式だったはずなのですから。
故にこう帰結します。
「この研究は非人道的なものであり、この世から抹消されるべきだ」、と。
それが彼が研究データや書籍を処分して自殺した顛末です。
おそらくそこに至るまでに関係各所へと研究中止を申し出たに違いありません。
しかしそれは全て空振りに終わり、それが彼にできる最後のことだったのでしょう。

▶カネモリ式第二期:九頭竜雅道

関係各所は大いに慌てたでしょう。
金森氏の自殺以上に彼に一極集中していた故に膨大なデータが損失したことに。
研究存続は絶望的だったはずです。
しかし、彼らは諦めなかった。
金森氏を偲ぶ会と称し、彼の残した僅かなデータの残滓を掻き集め、なんと研究の基幹に関わるデータの復旧に成功するのです。
こうして金森氏の思いを裏切り、カネモリ式は現代にまで残ることになりました。
更に特務省更生局という政治絡みの思惑が加わり、カネモリ式は新たなリーダー九頭川雅道によって進んでいきます。
九頭川氏は、より現代に適した形にしてカネモリ式を確立させます。
そこに新世代の岡部や高島らの発見や研究によって効果と成功率が飛躍的に高まります。
この辺は様々な組織や機関が参加しており、全貌は不明ですが、おそらくは九頭川が院長を務める水無瀬研究所の未来創世部が主導していたはずです。
その後、かがみの特殊少年更生施設は特務省公認でカネモリ式の施術会場となり、舞台は現代に戻ります。

▶カネモリ式第三期:現在

乙坂少年には保護者たる人物がおらず、蒼乃少年には彼を見捨てた父親が更生に対して非常に協力的です。
この2人がカネモリ式に選出されるのは時間の問題だったのでしょう。
適合スコアも高いようですからうってつけの人材でしょう。
現代にマッチさせたカネモリ式では催眠、監禁、投薬、磁気療法、最後に開頭手術を行います。
簡潔に言えば、手段を問わず意欲や活力、論理的な思考を奪い、従順にさせるための洗脳・拷問と外科手術のセットです。
さて、人はこれらを受けた時どんな反応をするか…
それは 「従ったフリをする」 これに尽きます。
現にかがみのでは「スタッフの前では従ったフリをしてれば良い」という共通認識が存在することがバイカラームーンでも描かれています。
そして最後の開頭手術ですが、被検体16号に至るまでの多くの被験体は術後に死亡しています。
ここまでの話を考えると、成功例である16号も記憶障害という形で何とかバランスを保っただけのように見えてきます。
これでは16例の実験をもって人が死なない手加減を覚えたに過ぎません。
花岡さんによると、再会した蒼乃少年は報告書にあった”意欲的で明快な性格”とは異なり、怯えと嫌悪で周囲を睨んでいたとあります。
とても理想的な人格とは言えませんし、彼の職場の同僚たちも同様にどこか歪な問題を抱えたように感じます。
また、花岡さんと蒼乃少年との再会の手筈を整え、かがみのの表現祭への招待券を融通した人物もかがみのの卒院生です。
彼の正体もいくつかのヒントがあります。
一番のヒントは蒼乃少年が施設内でも漫画を描いているのを見ていたこと。
蒼乃少年の日常や少年院のスケジュールには余暇が20~21時とあるので、おそらくはその間の出来事なのではないでしょうか?
あるいは蒼乃少年の卒院制作を目にしたと考えると対象範囲はかなり拡がりますが、前者であれば適者は一名です。
そう、乙坂少年です。
蒼乃少年と交流し、彼のためにある程度の危険を冒す気概を持つ人物としても申し分ない候補者です。
謎の協力者が乙坂少年であれば、カネモリ式の有効性には更に疑問が生まれます。
また、カネモリ式に有効性が無いとしても、投薬・虐待・拷問・脳外科手術によって、副作用や後遺症が生じる可能性は多分にあります。

さて、ここまでカネモリ式の有効性に疑問を呈してきましたが、かがみのは再犯率0%の実績を持っており、少年更生施設として非常に優秀な施設です。
前述の通り、かがみのでは洗脳や拷問と言って差し支えない内容が医療の名のもとで行われており、「それらへの忌避感が再犯への抑止力となる」とも考えられます。
しかし、0%というのは驚異的な成果です。
こればかりは集計でのトリックなど考えたのですが、順番が逆だと考えれば筋が通った、より残酷な事実が想像できます。
それは『適性スコアが高くなるのが、蒼乃少年や乙坂少年らのような人物である』という可能性です。
2人とも、不幸な環境や状況が重なったことで犯罪を犯しており、それぞれの問題が無ければ本来犯罪に走る性質ではありません。
林野少年でさえも彼1人で生きていく選択をすれば、貧困と家族を支える重圧から脱し、真面目にバイトをこなす本来の性分に戻れる可能性を感じます。
更に鎌倉少年に関する資料を読んでも同様のことが言えます。
彼らのような少年は適性スコアが高くなる傾向があり、意図してのことかは分かりませんが、そうした少年を選別してかがみのへと集めていると考える方が自然ではないでしょうか。
そう、かがみのでは…”再犯の可能性が極めて低い少年たちの脳を弄る”…ということが行われているということです。

▶かがみのホームページの意図

最後に、かがみののホームページです。
本来ならば削除されるべきページがどういうわけかかなり多く残存しています。
ご丁寧に連鎖するように厳選されたページ構成になっていて、明らかに意図的なものを感じます。
これを行ったのは…私の想像では蒼乃少年です。
蒼乃少年はカネモリ式に選出されて卒院制作の題材選びの際にかがみのに対して明確な敵愾心を持ち、かがみのの闇を暴露する動機を十分に備えています。
更に彼は「不正アクセス」を行える程度にこういう事柄への知識を備えている可能性があります。
あるいは彼の学習性によって成し得たことなのかもしれません。
ともかく、蒼乃少年にはその能力があり、カネモリ式の成功例として任務に対して従順であるという信頼もあります。
彼がかがみののホームページリニューアルの任務を下されるのもあまり不思議は無いと思います。
結果的に花岡さんの行動力がなければ我々が127頁もの情報を拾い上げることは出来なかったわけですが、彼には彼の計画があったのかもしれません。
願わくば、彼の計画が我々の好奇心によって悪い方向に転じていないことを望むばかりです。

▶まとめ

  1. 金森寿一郎によって提唱されたカネモリ式は彼の恵まれた環境故に「社会不適合因子」が脳に由来するものであるという誤解を前提に研究された。その誤りに気付いた金森氏は研究データを抹消して自殺をしてしまう。

  2. しかし、九頭川雅道や特務省更生局によってデータはギリギリの復旧がなされ、現在ではかがみの特殊少年更生施設では更生プログラムに取り入れられている。

  3. 現在のカネモリ式は虐待・拷問を含む形式をとっており、それらによる一時的な従順を引き出すものでしかない。かがみのの再犯率0%は再犯傾向が非常に低い少年を選別していることによるものである。

事実とはまるで違い、実は何でもない話なのかもしれませんが、私の想像は以上になります。

長文を読んで頂き、誠にありがとうございます。
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