年収の壁
おはようございます。🐤
今日は「年収の壁」についてお話していきたいと思います。
「103万円の壁」とか「130万円の壁」とか聞いたことがあるでしょうか。
パートナーや子どもがアルバイトを始めて、一定以上の額を稼ぐようになったら、注意するべき「壁」があると言います。
それはなぜなのか?
どんな壁が何種類あるのか?
どれくらいの金額を損するのか?
今日はそれを探って、楽しくお得をゲットしましょう!
2つの壁
多くの人が注意するべき主な年収の壁は2つあります。
103万円の壁(税の所得控除がなくなるライン)
⇒19才~23才(大学生の年齢)の子をもつ親の税額が増える130万円の壁(社会保険がかかるライン)
⇒アルバイトをしている本人の社会保険料負担が増える
その他は小さなものなので、ほとんど気にしなくて良いレベルかと思います。この記事では、年収の壁と呼ばれるものを網羅して、何に対してどれくらいかかるのか、そしてどこに気をつけたら良いのかを解説していこうと思います。
103万円の壁(税の扶養控除)
まず、103万円の壁からいきましょう。これは所得税と住民税の所得控除に関するもので、アルバイトをする子の親の税額に影響します。
誰が:アルバイトをする子(特に大学生)の親
何が:所得税と住民税
内容:子の収入が103万円を超えると、扶養から外れてしまい、所得税の63万円、住民税の43万円の控除がなくなる。親の勤め先からの扶養手当がなくなる場合もある。
図で見てわかるとおり、子の収入(横軸)が103万円を超えたところで親の税負担が約17万円も一気に跳ね上がっています。
つまり、子の収入が103万円を1円でも超えた瞬間に、親は17万円も多く税金で持っていかれることになるので、収入と手取りの逆転現象が起こります。
だから親としては「アルバイトするのはいいけど、なんとか103万円までにおさえて欲しい」という気持ちが生まれます。
この壁は「税法上」の扶養に入るか入らないかの線引きによりできるものです。103万円までは「収入が少ない」、しかし1円でも超えると「収入が多い」と突然に扱いが変わるのです。
極端ですけど、今の日本ではそうルールを決めているのです。
だから、この103万円の壁は「扶養者」(親)の壁になります。アルバイトをする子ども本人の壁ではありません。
150万円の壁って?(配偶者の壁)
一方、配偶者の扶養控除の103万円の壁は取っ払われて、現在は150万円からスタートして201万円まで上る階段状になっています。
上の図が、配偶者の年収と扶養者の税額の関係です。「壁」ではなく階段状なのがわかると思います。そしてそのスタート地点は150万円です。
だからそもそも配偶者には103万円の壁はありません。
配偶者がアルバイトをして、自身が支払う税額は下の図のようにスロープ状になっています。
あるとすれば、収入が高い方の配偶者(便宜上、夫とします)の勤め先から「扶養手当」が出る場合で、その扶養の判定条件が所得税の課税対象である場合は、その扶養手当が出なくなるということです。
100万円の壁って?
「100万円の壁」というのも、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。が、これも壁というほどたいしたものではありません。
103万円と似ていますが、この3万円の違いは所得税と住民税の計算方法の違いによるものです。
給与所得55万円+所得税の基礎控除48万円=103万円
給与所得55万円+住民税の非課税限度額45万円=100万円
これは扶養者ではなく、アルバイトをする本人が支払う税金なので、前に見たように、壁というよりは「スロープのスタート位置」というイメージです。
例えば妻の年収が101万円だったとします。
ややこしいことに、住民税の基礎控除は43万円なので、98万円より上の部分に税金がかかることになります。つまり98万円を超えた部分である3万円に対して住民税が10%かかるので、3000円の税金を納めることになります。(住民税の詳細は自治体によって違う場合があるそうです)
「控除対象扶養親族」に該当するラインは所得税も住民税も同じで103万円なので、夫の税金の控除を考えるとやはり大きいのは103万円の壁であり、100万円はそれほど壁ではありません。
税金に関する年収の壁まとめ
ここまでのまとめとして、税金面で「壁」と言えるものは「103万円の壁」だけで、それは被扶養者(子)のアルバイト収入によって扶養者(親)の「扶養控除」が外れることにより扶養者にかかる税金の壁ということでした。
そしてその控除対象の扶養者は16才以上、その中でも特に「19才~23才の子」の控除の額が、所得税では63万円、住民税では43万円と大きいので、壁も大きいのです。
配偶者は「扶養控除」ではなく「配偶者控除」とか「配偶者特別控除」という特別枠が別に用意されていて、103万円の壁はすでに取っ払われています。
しかし、税金以外にも扶養者の勤め先で「扶養手当」があった場合、同じ103万円の基準で扶養手当を削られてしまうと、それはとても大きいです。
130万円の壁(社会保険の扶養)
次に130万円の壁です。これは社会保険の扶養に関するもので、アルバイトをする配偶者や子などの社会保険料に影響します。
誰が:アルバイトをする配偶者や子
何が:社会保険料
内容:アルバイトをする配偶者や子の収入が130万円を超えると、扶養者の社会保険(健康保険+厚生年金)上の扶養から外れてしまい、社会保険料を自分で支払う必要がある
社会保険とは?
例えば健康保険証をもらえる健康保険とか、公的年金のことを言います。額が大きいので、ここではその主な二つをとりあげます。
主な稼ぎ手である会社員(便宜上、夫と呼びます)の妻や子の収入が少ないうちは、夫の会社の健康保険に無料で加入することができます。
無料です…びっくりしますよね、扶養家族が何人いても、独身でも、健康保険料は一律なんです。びっくりしますよね…。
だから、扶養を外れても夫の収入や負担は何も変わらないのですが、130万円以上も稼いでいる=1人前とみなされて、アルバイトをしている妻や子はそれなりの社会保険料を自分で支払う必要がでてきます。
会社員の場合、社会保険料はだいたい給料の14.2%くらいですが、130万円の壁の場合、そもそも自分が社会保険制度の対象になっていないので、国民年金と国民健康保険に自分で加入する必要があります。
国民年金は年間約20万円で収入に関わらず固定、国民健康保険は約9~10万円程度です。(市町村による)
なので、130万円の収入の場合、約30万円くらいが突然かかってきます。129万円の時は1円もかからなかったのに、130万円になった瞬間に30万円もかかってくるのです。
税金の時と違って、妻でも子でも、高校生でも大学生でも一緒です。
これは大きな大きな「壁」ですね~。
106万円の壁って?
一方、「106万円の壁」というのもあります。こちらはアルバイト先が厚生年金制度に加入していて、20時間以上、月8.8万円以上など一定の基準を超えると、扶養から外れて自分で社会保険に加入しなければならないというものです。
こちらも130万円の壁と同じなのですが、少し違うのは、社会保険制度の対象となっているため、国民年金ではなく厚生年金に加入できることです。
加えて、社会保険料は労使折半ということで、半分アルバイト先が負担してくれるため、若干保険料が安い場合が多いです。(都道府県による)
だいたい収入の14.2%くらいがかかるので、年収が130万円だったら18.5万円くらいがかかってきます。
こちらも大きな壁には変わりないのですが、「厚生年金」に加入できるというのがメリットであるため、この負担増加はメリットもあると私は考えています。
ただ、配偶者にとっては「国民年金の第3号被保険者」という特権が失われるラインなので、かなり大きいです。配偶者のアルバイト先が従業員100人以下の小さな会社だったら、かなり厳しいラインです。
厚生年金加入による将来の収入増
仮に妻がアルバイトで年収120万円、社会保険制度の対象で106万円の壁にひっかかって、毎年の手取り額が20万円減りました。
しかし、そこで20年間も働くと、国民年金に加えて厚生年金も年間13万円程度、寿命が続く限りもらえることになります。そうすると単純計算で実質的な手取り額の減少は20-13=7万円程度と考えることもできるのかと思います。
その他
他にも実はたくさんの「年収の壁」は存在していて、
年金収入の壁(155万円、211万円)
就学支援金や児童手当の所得制限(年収900万円前後)
住民税非課税世帯への給付金
これらは「超えなかったら100、超えたらゼロ」という、いかにも無慈悲で、逆転現象も起こるものです。
しかし、今後はマイナンバーの導入やデジタル化の推進により、自動で複雑な計算を行えることから、そういう現象はなくなって、よりスムーズな計算になっていく方向にあると私は考えます。
まとめ
というわけで、年収の壁について見てきました。
103万円の壁(税の所得控除がなくなるライン)
⇒19才~23才(大学生の年齢)の子をもつ親の税額が増える130万円の壁(社会保険がかかるライン)
⇒アルバイトをしている本人の社会保険料負担が増えるその他の壁はあまり気にしなくてもOK
国としては「今後は女性もみんな制限なしにフルで働いて、税金納めてね~」という態度がスケスケに見えていますので、103万円の壁も130万円の壁もなくして、低所得者もみな税金や社会保険を納める方向に進んでいきそうな流れではあります。
もう壁を気にするのも、あと数年かもしれませんね。
というわけで、それではまた~(@^^)/~~~