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憧れの社会保険
おはようございます。🐤
社会保険と聞いてどんな印象をもちますか?
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憧れ?
嫌われ?
SNSでは社会保険にあまり良い印象がないように思います。
たかまつななさんが社会保険の年金部会でめった叩きにあったことも印象的でした。社会保険の味方をしたらめった叩きにあう世の中です。
高すぎる
無駄遣いされてそう
役人に騙されてそう
しかし、少数の「役にたった」「ありがたい」という声を聞いたこともあるかもしれません。
そこで今日は、社会保険とは何か、どんなことに使われているのかをヤホーで調べてきたのでお話していきたいと思います。
嫌われの社会保険
Xを見ているとほんとうに社会保険に対して良いイメージがありません。
社会保険に入ったとたん、検診を受けさせられ、投薬や治療にもっていかれる
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社会保険は若いうちに殺す制度
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保険なら解約したい、自由がない
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賞与から社会保険をとるのはおかしい
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完全に社会保険=悪となってしまっています。
しかし、私にはこれらのXの意見を言っている人たちが「親の忠告を嫌がる子ども」にしか見えません。
社会保険は使い道に問題はあるけれどおおむね良い制度で、私が設計してもおそらくこの制度に近いものになると考えているからです。
ケガして知る社会保険のありがたみ
30代の会社員がスノボで骨折して仕事ができなくなった時のことを考えてみましょう。骨折して半年くらい働けなくなること、絶対ないとは言い切れないですよね。
デスクワークならまだしも、運送業や建設業など骨折の治療中ではできない仕事ならなおさらです。
社会保険があるとき
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会社員がケガで働けない時に使えるのは「健康保険」です。
健康保険の「傷病手当金」という給付を受けることができて、働けない間はお給料の2/3(3分の2)をもらうことができます。
例えばふだん毎月30万円の給料をもらっていたとしたら20万円を毎月受け取ることができます。
支給額は「標準報酬月額」の直近12カ月の平均をもとに計算されるのですが、この標準報酬月額には基本給だけでなくなんと交通費や残業手当も含まれるのです。
だから、基本給だけではなくて手取りの額でもなくて、だいたい最近もらっている収入(額面)の平均の2/3がもらえることになります。
そして傷病手当金を受給している間は給与収入がないので社会保険料がかからないのが大きい! さらに傷病手当金は非課税なので所得税もかかりません。つまり傷病手当金の額がまるまる手取りになります。
これは自分が受給する立場にならないと気づきにくいことですが、ほんとうにありがたいことです。(私は受給したことがありません💦)
社会保険がないとき
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でも、アルバイトで月88,000円以下とか、従業員数50人以下などで社会保険に加入していない場合は傷病手当金を受け取ることができません。
想像してみてください、半年間収入がなくなるんですよ…、どれだけ不安になるか、大きなケガや病気をした経験のない人にはわからないでしょうね。(私は経験ありません💦)
ちゃんと国民健康保険に入っていて、ちゃんと同じくらい保険料を払っている人でも傷病手当金は受け取れないんです、会社員の社会保険だけの特典なのです。
憧れの社会保険
20世紀くらいは、社会保険にあまり悪いイメージはなかったように思います。アルバイトやパートを探す時は社会保険完備のところが人気がありました。
今もそうだと思うのですが、一部では「社会保険=悪」というイメージから、社会保険を避けようとする人もいます。
会社員の配偶者や子どもが社会保険に加入することによって手取り額が減るというのはまた少し別の話で、これは避けたいと思って自然なことです。
🐤 なんせ会社員の配偶者や子どもは「無料」で会社員の扶養に入ることができるので、コスパは最高で最強なのです。この扶養から外れてしまうのが106万円とか130万円の壁と言われているものです。
だからといって、会社員の子でもない独立した若者が社会保険への加入を避けるのは悪手でしかありません。特に収入の少ないパートやアルバイトが社会保険に入れるとすごいメリットがあります。
厚生年金に入れる(しかも会社が半分負担)
健康保険に入れる(しかも会社が半分負担)
雇用保険に入れる(会社が61%負担)
労災保険に入れる(会社が全額負担)
どれもめちゃくちゃお得なんです。ちょっと計算してみましょうか。
月収10万円の場合
時給1100円、週22時間働いたとします。すると月給はだいたい10万円くらいになります。
その人にかかる社会保険料1か月分はだいたい次のとおりです。
厚生年金=9,000円
健康保険=4,900円
雇用保険=600円
もしこの人の職場が社会保険に未加入であれば、同じ仕事をしていても社会保険には加入できないことになるので、自分で国民年金と国民健康保険に加入する必要があります。そうすると、支払う額は次のとおりです。
国民年金=16,800円くらい
国民健康保険=4,700円くらい
まず社会保険に比べて高いですよね、しかも社会保険でしか受けられないサービスがあります。
厚生年金=将来の給付額に国民年金+アルファの上乗せあり(この例の場合は年間28万円くらい)
ケガや病気をして働けない時の「傷病手当金」
子どもを産んだ時の「出産手当金」と「育児休業給付金」
なぜ保険料が安いのにサービスがこんなに手厚いのかというと、納付する保険料の計算が「収入」に一定の率をかけて計算するからなんです。
つまり低所得者と高所得者の納付額が同じではなく、お給料が高い人からはもっとたくさん保険料をとるからなんですね。
例えば月収20万円の場合は
厚生年金=18,300円
健康保険=10,000円
雇用保険=1,200円
となって、厚生年金が国民年金の保険料を超えてしまいます。(でもその分上乗せも増えます)
同じ収入の場合の国民健康保険料はだいたい17,000円くらいなので(市町村によって変わる)やっぱり社会保険の方が安いし、扶養家族の健康保険が無料でついてくるのがお得すぎるので、多少高い保険料を払ってもだんぜん社会保険の方がお得です。
だから、何かの事情で社会保険に入れない場合は、自分で民間の保険会社から収入保障保険や年金保険などを組み合わせて加入する必要があるのですが、多くの場合社会保険の方が大幅に得です。
なぜかというのは簡単なことで、会社が半分負担してくれるのと、国が追加で保障を加えてくれるからです。
雲上シミュレーション
ちなみに健康保険の標準報酬月額の上限は139万円です(年収になおすと約2200万円くらい)そんな人の健康保険料は月額7万円くらいです(市町村によって異なります)
つまりボーナスをあわせると年間110万円くらい健康保険料にとられています。
家族4人くらいいるならまだしも、仮に独身だったら1人で110万円/年というのはすごい損失です。勝手な思い込みが混じりますが、どうせそんな高所得者は賢くて健康への意識も高いのでケガや病気をしないので。
ただ、そんな人がケガをしたらどうなるでしょう、1年くらい入院するような病気になったらどうしたらいいでしょう。
そんな時でも傷病手当金が2/3は支給されるので、ボーナス含む1年間の収入の平均の2/3=毎月123万円くらいは手取りでもらえるのです。子どもの教育費も大幅な計画変更をしなくても良くなるのではないでしょうか。
(1年間の収入=139×16か月=2200万円 ⇒÷12か月=185万円/月 ⇒×2/3=123万円)
民間の医療保険でこれくらいの保障を得ようと思ったら、年齢にもよりますがおそらく3~4万円くらいの保険料になる(か、そもそもそんな高額の保険には入れない)ので、まあそこまで損でもないのではないかという見方もあるかもしれません。(いや損か…)
まとめ
どうでしょうか、社会保険に対するイメージが少しは変わりましたでしょうか?
社会保険制度は、高すぎるとか使い道に無駄が多いのではないかとかいろいろ言われていますが、社会的に弱い人を助ける良い制度だという一面もあります。
特に会社員が加入する社会保険は、労使折半なので会社員にとってはありがたいものです。
一部では労使折半は結局は会社が負担しているから、結局はその分従業員の給料から減らされているのだという意見もあるようですが、仮に労使折半をやめるならその分法人税を上げて税金からの社会保障を増やすだけだと思います。要するにそこをつついても誰にも得は生まれないでしょう。
パートやアルバイトで働くときはぜひ社会保険のあるなしを重要視して検討してください。
働けなくなった時や老後に、社会保険はとてもとてもありがたいということに気づくことになると思います。
社会保険は選択の自由がないというのが否定的な意見の理由の一つではありますが、自由にしたところで私なら社会保険一択です。民間でこれだけの保障が得られるはずがありません。
そして、自由にしてしまって、加入しない人が増えて、そんな人がケガや病気をしたときにはもう地獄絵図です。減っていく収入、毎日の不安との戦い、ほんとうに困ることになります。
だから、今は嫌でもしっかり社会保険に加入して保険料を支払うことは、人生全体を見るとそう悪いことにはならないはずです。
もちろん、社会保険制度全てがパーフェクトというわけではありません、私にもいろいろ思うところ、改善すべきポイントはあると思います。ただ、ネットで見るほど悪い制度ではないということです。
というわけで、それではまた~(@^^)/~~~
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