預金保険制度(2023年9月基礎編 問23)
おはようございます。🐤
今日は預金保険制度、ビジテキはp257から259までです。
預金保険制度
預金保険制度は、銀行が潰れたときも一定の預金を守りましょうという制度です。
国内に本店のある全ての銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などが対象となります。
銀行が万一潰れたときには、大きく2種類の保護のしかたがあります。
1つは、預金保護機構が預金者に保険金を支払う方式。いわゆるペイオフ。(保険金支払方式)
もう1つは、潰れた銀行を救おうとする第三者の銀行等(救済金融機関という)に資金を援助する方式です。(資金援助方式)
なぜ保護するのか?
保護機能がないまま銀行などの金融機関が破綻すると、預金者がお金を引き出せなくなるばかりでなく、計画的にローンを組んでいた債務者も即時の返済を余儀なくされ、それが不可能であれば破産する恐れもあります。
そうなると、関係者に与える影響が大きすぎます。1929年に始まった世界恐慌のときには中小の金融機関が多数破綻して大混乱を招きました。
再び同じ失敗をしないように、1933年に米連邦預金保険公社(FDIC)をつくり、預金者の保護を始めました。
日本でも1971年に「預金保険法」を設立し、政府と日本銀行、民間銀行の3者共同で「預金保険機構」を設立し、預金者を保護しています。
預金保険機構の実績
1971年の預金保険機構の開始から、一定金額以上の預金の払い戻しをカットする、いわゆるペイオフは制度としてはありましたが、約40年の間は現実に行われることはなく、第三者の銀行が救済するための資金援助を行ってきました。
初めてのペイオフは2010年、日本振興銀行の破綻で発動されました。
預金の支払いが一部カットされる可能性がある預金者は、全体の約3%の3,560人で、元本1,000万円と利子分を超える金額は100億円程度になったようです。
参考:振興銀が破綻 金融庁、初のペイオフ発動 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
これまでにペイオフが発動したのはこの1件のみで、それ以降は発動していません。ちなみに、下の図に示すように、100億円というのは全体の中ではそれほど大きな数字ではありません。
ではなぜ日本振興銀行だけを潰したのかというと、会計がとてもずさんで資金が足りなかったとか、かつ違法なことをたくさんしていたとか、政府としてもペイオフの実績をつくりたかったという意図があるようです。また、米国でもサブプライム危機の際に公的資金を投入し過ぎたことを批判するデモなどが発生していたことなど、社会情勢が銀行保護を必ずしも良しとしていなかった背景もあるようです。
上の表(抜粋)は預金保険機構が支出した資金援助の額です。
特に1998年度(平成10年度)からの5年間はえげつなくて、5年間でおよそ16兆円以上も資金援助をしています。
預金保険機構はそんなにお金を貯めていたの? ということですが、貯めてませんでした。赤字です。国の制度だからなせる業で、倒産した銀行を助けるはずの預金保険機構にもお金がないまま「大丈夫、大丈夫」と言っていたのです。
一般的な感覚だと「何が大丈夫なのか」と感じてしまいますが、危険な状態の時ほど根拠のない自信でもなんでもいいから、決してパニックにおちいることのないように「大丈夫」と信じさせることでパニックによる取り付け騒ぎを起こさないようにすることが大事で、そうしていたのだと思います。
預金保険制度の概要
対象となる金融機関
国内に本店のある銀行、信用金庫など
対象とならない金融機関
海外支店
外国銀行の在日支店など
対象となる預金等
普通預金(※1)
当座預金(決済用預金は全額保護)
定期預金など(※1)
対象とならない預金等
外貨預金
他人名義預金など(試験にめちゃめちゃ出ます、本来の持ち主に合算されるのではなく、他人名義は違反だからそもそも保護されません)
※1:元本1000万円までとその利息等を保護
1000万円を超える場合は、①担保になっていない、②満期の早いもの、③金利の低いものを優先して保護
同じ銀行内に預金と借入金がある場合、それらは預金者の意思で相殺することができます。自動的には相殺されないのがポイントで、試験によく出ます。
同一銀行の、別の支店に預金口座を持っている場合、それらはすべて合算されます。支店ごとに1000万円未満であっても、合計して1000万円以上であればカットされます。
銀行で買った投資信託について
銀行で買った投資信託は、預金ではないので預金保護の対象にはなりません。また、銀行は証券会社でもないので、投資者保護基金の補償対象にもなりません。
それでは、投資信託は証券会社で買った方が補償があるので安全なのか? ということですが、イエスともノーとも言えません。
そもそも銀行預金とは違って、投資信託は顧客から預かるだけで、分別管理が義務付けられているため、他人に貸したり売ったりすることはできません。だからそのルールを守っている限りは、仮に証券会社や銀行が破綻したとしても投資信託は安全です。
では投資者保護基金は何のために? と思うのですが、これは証券会社が不正行為をして(持ち逃げとか、又貸しとか)投資信託を返還できない場合に備えたものなのです。
参考:基金について | 日本投資者保護基金 (jipf.or.jp) ⇒「補償実績」の項
では銀行は不正行為をしないのかというと、現実はそうでもないのですが、この対象となっていないのには、例えば銀行法ではより厳しい規制があって投資信託は安全であるなどの理由があると私は考えています。
ちなみにこれまで投資者保護基金で補償された実績は、1998年の設立以降2件のみ、額にして約36億円となっています。
2023年9月基礎編 問23
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験より
❌:当座預金は全額保護されます。
❌:円建ての仕組預金の元本部分は預金保険の対象となります。
❌:文章のとおりです。
⭕:文章のとおりです。優先順位は次のとおり。
1) 担保になってないこと
2) 満期が早いこと
3) 金利が低いこと
過去の関連問題
まとめ
テキストの知識で正解できる問題でした。過去問も豊富で、かつワンパターンなので、得意問題にしてしまいましょう。
試験対策としてよく問われる部分をまとめます。
対象となる金融機関
国内に本店のある銀行など
外国銀行の在日支店は対象外
JAは対象外(別の制度で補償あり)
対象となる預金等
普通預金、定期預金などは元本1000万円とその利子まで
当座預金など(決済用預金は全額保護)
外貨預金は対象にならない
他人名義預金はそもそもルール違反だから補償されません
1000万円を超える場合で、複数の商品を保有している場合、次の優先順序で保護される
①担保になっていない
②満期の早いもの
③金利の低いもの
同じ銀行内に預金と借入金がある場合、自動的には相殺されないのがポイント、預金者の意思の確認が必要です
同一銀行の別支店の預金は合算されます
これくらいで大丈夫ではないでしょうか、けっこうたいへんですね。覚えるしかなくて、しかも源泉徴収の分類と微妙に異なる(源泉徴収は預け入れた営業所が国内にあるかどうかが基準、預金保険は本店が国内にあるかどうかが基準)のでややこしいです。
というわけで今日はここまで、みなさんの役にたてたら嬉しいです。
それではまた、FP〜(@^^)/~~~
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