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改正消費者契約法(2023年9月基礎編 問24)

おはようございます。🐤

今日は改正消費者契約法です。関連法規の一部として出ることがあったり、今回の出題のように改正点がクローズアップされていたりすることがあります。

消費者庁のウェブサイトから、今回の改正部分を中心に学んでいきましょう。

知っていますか?消費者契約法-早分かり!消費者契約法- (caa.go.jp)

そもそも消費者契約法

事業者と消費者(個人)の間には持っている情報の質や量、経験などに圧倒的な差があります。事業者がもっている情報を隠したり、嘘を言ったりして契約を有利に進めることが可能だということです。

消費者(個人)は契約のうえでとても不利な立場になるので、消費者を守るための法律が2000年にできました。それが消費者契約法です。

  • 次のような勧誘で契約をさせられた場合「契約の取り消し」ができます

    • 嘘を言われた時

    • 不利になることを言われなかった時

    • 「必ず儲かる」と言われた時

    • 必要以上に買わされ過ぎた時

    • お願いしても帰ってくれない時

    • 帰りたいのに帰してくれない時

    • セミナー商法(不安を煽る)

    • デート商法(恋心につけこむ)

  • 消費者の利益を不当に害する契約書の条項は「無効」になります

    • 事業者は責任を負わないとする条項

    • 消費者はどんな理由でもキャンセルできないという条項

    • 平均的な損害額を超えるキャンセル料の条項

    • 消費者の利益を一方的に害する条項

  • 努力義務

    • 勧誘時のわかりやすい情報提供

長いリストになってしまいましたが、ざっくり言うと消費者に対して嘘をついたり、不利なことを知ってて隠したり、脅したり不安を煽ったりしてはいけないよということです。

ただし、これは事業者対個人(B to C)の場合の話であって、顧客が事業者の場合は適用されません。

改正消費者契約法の要点

2022年に法律が改正され、2023年から施行されています。
これまでの消費者契約法よりもさらに消費者を守る範囲が拡大しています、その要点を見ていきましょう。

  • 契約の「取り消し」の範囲拡大

    • 退去困難な場所に連れていく
      (例えば山奥に連れて行かれて、「この商品買って(笑)」って言われたら断るのに恐怖を感じますよね…)

    • 相談の連絡を妨害
      (例えば18才の学生が「親に相談します」と言っているのに、「情けねーなー、ちっ、一人で決められないのかよもう成人のくせに」などと、威嚇、圧迫する口調でつめられるなど…怖い…)

    • 霊感商法
      (例えば、「あなたには霊がついている、この壺を買わないと呪われちゃうよ」など、気味が悪い…)

    • 契約前なのにやっちゃう
      (例えば、鋼材を買いにいき、好みの寸法に切断され「もう切っちゃったよ、買ってね(笑)」とか言われるの…なんかありそうで嫌だ」

    • 取り消し権の行使期間…不利を知ってから1年、契約から5年
      (霊感商法の場合は、知ってから3年、契約から10年)

  • 無効条項の範囲拡大

    • 免責範囲が不明確な条項
      (例えば、「事業者の重大な過失を除く」など範囲を限定せず、すべての場合に事業者は免責と誤解させるような条項は無効)

最後のは意外と契約書にはありがちで、今後は契約書の改正が必要になると思われます。つまり、事業者の故意や重大な過失、または不法行為の場合、消費者が受けた損害は全額が賠償されるべきなのですが、契約書に「事業者の軽過失である場合に限る」などの文言がないと、故意や重大な過失であっても消費者が請求を諦めてしまうケースがあるということです。

  • 努力義務

    • 勧誘時の情報提供(事業者が知ることができた消費者の年齢、知識や経験などを総合的に考え、情報を提供すること)
      (例えば、18才の学生には一般的な投資のリスクを提供するなど)

    • 約款の請求、解約の方法などをわかりやすく提供
      (例えば、サブスクの解除のしかたなど)

    • 解約料の算定根拠の提供
      (例えば、旅行代金のキャンセル料、結婚式のキャンセル料など)

    • 適格消費者団体の要請に対応

2023年9月基礎編 問24

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験より

1) 事業者が消費者契約の勧誘に際し、当該契約の目的となるものが消費者の重要な利益についての損害または危険を回避するために通常必要であると判断される事情について、事実と異なることを告げ、消費者がその内容が事実であると誤認をし、それによって当該契約の申込みをした場合、消費者は当該申込みを取り消すことができる。

⭕️:改正前の法律と同じ内容で対応できる問題文でした。文章は長いけど要するに「事業者がうそをついて契約した場合、取り消すことができる」ということだから適切です。

2) 事業者は、消費者に対し、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、または違約金を定める条項に基づき損害賠償または違約金の支払を請求する場合、消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定または違約金の算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならない。

⭕️:2022年度改正の内容です。キャンセル料の算定根拠は求められたら説明するよう努めなければいけません。努力義務です。

3) 事業者の債務不履行または消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に損害が生じた場合、その損害を賠償する責任の一部を免除する消費者契約の条項はすべて無効とされる。

❌:これも改正の内容です。「事業者の不法行為」という文言が出てくるのですが、この代表例は交通事故です。要するに事業者の債務不履行や交通事故などがあり消費者が損害を受けた場合、それが事業者の故意や重大な過失であれば損害のすべてを賠償する責任があるのに、それを明確に書いていないから消費者が誤解して請求を諦めてしまうケースがあったのです。

改正法では「軽過失の場合に限り制限される」など一般の消費者にもわかりやすい文章が入っている契約書の条項は有効になります。

問題文は「すべて無効」となっていますが、契約書に「軽過失に限る」と制限の範囲を明記していれば有効になります。なので不適切です。

知っていますか?消費者契約法-早分かり!消費者契約法- (caa.go.jp)

4) 消費者契約の解除に伴って消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項を定めた場合、その額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該契約と同種の消費者契約の解除に伴って事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、当該超える部分は無効とされる。

⭕️:これはたぶん改正前からのルールです。要するに、キャンセル料を高く取りすぎの契約書は、その超える部分だけ無効ということです。適切。

過去の関連問題

まとめ

2022年の法改正により、消費者契約法の「取り消し」「無効」「努力義務」の範囲が広がりました。

  • 取り消し

    • 遠いところに連れていかれて契約を迫られる

    • 相談をさせてくれない

    • 霊感商法など

  • 無効

    • 免責範囲が不明確な条項は無効(「軽過失を除く」などわかりやすい文言を入れれば有効)

  • 努力義務

    • 勧誘時の情報提供

    • 解約のしかた

    • 解約料の算定根拠の説明など

というわけで今日の内容はここまでです。みなさんの役にたてたら嬉しいです。

それではまた、FP〜(@^^)/~~~


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