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2024年6月のFP1級実技試験(面接)を受ける人へ

おはようございます。🐤

2024年1月学科受験のみなさん、試験が終わり地獄の勉強とプレッシャーからとりあえず解放されたのもつかの間、3月8日の合格発表が近づいてきましたね。

合格確実!という方もいるかもしれませんが、大半の方は合否がわからない中、「勉強しなくていいのかな?」とフワフワした気持ちかと思います。

そんな中、今日はちょっと実技試験(面接)についてお話しようと思います。


全貌

まずは実技試験(面接)の全貌です。

6科目ある学科に対して、実技試験(面接)の内容は「相続・事業承継」と「不動産」の2科目が中心です。ライフやリスク、株式やタックスについては、知識があること前提ではあるもののほとんど聞かれません(たまに聞かれます)。

面接は「相続・事業承継」で1回、「不動産」で1回、それぞれおよそ30分間くらいの試験です。

試験問題はA3版の紙一枚に示されます。まず15分間でそれを読み、質問されそうなことに答える準備をします。

試験問題:2023年9月1級実技試験 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)

読み終わったら面接室に移動し、2人の面接官と自分1人とが向かい合って、面接官の質問に答えます。

約12分間の面接の内容をもとに面接官は採点し、200点満点中の6割=120点以上とれたら合格です。

だいたいどんな試験かわかりましたでしょうか。

この面接試験は、どれだけ学科試験ができても、面接用の対策をしていないと合格はできません。みなさんは学科に合格した成功者ですが、そのやり方は一旦捨てて、やり方をがらりと変える必要があります。

スケジュール

2024年度試験日程・科目・受検手数料 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)

学科の合格発表が3月8日、それから数週間後に受験申請書が届くのかな?…忘れました。(過去の合格者には届かないので自分で請求しないといけません)

受験申請書が届いたら、記入して封筒を送付し、お金も払って(28,000円!)申請手続きは完了です。

実技合格に必要な勉強時間は80時間とかよく言われていますが、私は絶対に2月で合格したかったので、だいたい週に15時間(これは学科時より少し緩めたペース)で約16週間ちょっと=合計250時間くらいかけました。

なぜ2月合格にこだわったのか?

  • 学科で勉強したことを忘れちゃうから

  • 受験料が28,000円と高額だから

合格率85%と言われている試験ですが、私が不合格の15%に入る自信はたっぷりあります。なんたって学科は124点、合格者の中では最下層のギリギリの合格ラインでした。

あ、あと大事なことを忘れていました。

  • これだけ勉強して発信もして不合格だとかなり恥ずかしいから

というわけで、私は手探りで勉強しながらがむしゃらに進めましたが、今になって思うのは、「これは無駄だったかな」とか「最初からこれをやっていたら良かった」と思うことはあります。

なので、私が今FP1級実技(面接)の勉強計画として、過去の私に伝えたい「最善の計画」をお話したいと思います。こうすれば効率よく合格の可能性を高められるよという方法です。

あくまで私が試行錯誤して私の性格、特性にあっていると思える方法なので、個人差はあるかもしれません。良さそうなところだけ取り入れていただけたらいいかなと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

計画の例

  1. Step1 準備と知識の維持(合格発表後すぐ〜2カ月前まで)
    ・実技対策本を購入
    ・試験の概要(試験範囲、流れ、内容)を知る
    ・YouTubeで面接の流れを見る
    ・先は長いのでFP1級学科の知識を忘れないよう維持する
    ・M&Aや医療法人など初耳の知識がたくさん登場するのでなかなか進まないが我慢、必要な知識は有限、基礎や頻出問題を大事にする

  2. Step2 実技特有の知識の習得(6週~8週前から)
    ・頻出の設例をマスターする
    ・動画をまねして実際に声に出して受け答えの練習をしてみる
    最新の税制改正や法改正をチェックする

  3. Step3 瞬発力を鍛える(2週~3週前から)
    王道パターンは即答できるよう瞬発力を鍛える
    いろいろな論点を確認する
    ・実際の面接形式で模擬面接をしてみる
    体験談を読み面接イメージの解像度を上げる

学習計画の一例

私の場合は最初に実技対策問題集から入ったんですけど、難しくて挫折して、学科の基礎編に戻りました。しかし、今思えば基礎編はあまり意味が無かったです。

基礎編をやるくらいなら、実技の定番を一つか二つ徹底的に繰り返す方が良かったと感じています。

この計画例については、後の「勉強の手順」で詳しく説明していきます。

教材

まず揃えないといけないのが教材です。教材はメインでこの3点くらいだと思います。

なので、揃えると言っても、本屋さんで買うのは一冊だけです。あとは全部インターネットですぐにでも始められます。

TACの実技問題集

合格テキスト FP技能士 1級 実技対策 精選問題集 23-24年版 TAC出版

合格テキスト FP技能士 1級 実技対策 精選問題集 23-24年版 | TAC

過去問題集に関しては、私はこの1冊あればいいと思います、というかこれしかありません。

過去には「きんざい ファイナンシャル・プランナーズ・センター」という「金財」の関連会社?からピンク本とか赤本とかが出ていましたが、現在は出版・販売をしていません。

それでもどうしても手に入れたければ古本を探すしかないのですが、とても品薄で私が知る限りAmazonかメルカリにしかありません。定価3000円程度なのに中古価格は1万円超えです。

私はピンク(2021年)、緑(2020年)、紺(2019年)と3冊買いましたが、まあ、そこまでして買わなくてもいいかなという印象です。定価近くで出品されていたら買ってもいいかもしれません。

YouTube

くすもとFP事務所さんがFP1級の教材を、動画、ウェブサイト、電子書籍などいろんなジャンルを揃えていらっしゃいます。模擬面接もされていて私もお世話になりました。Kindle本の巻末に割引券があるので、それで申し込めば1万円です。

中でも実技試験の勉強を始める人にとって一番ありがたいのは動画です。なんと実際の面接のやり取りを動画形式で見ることができます。

もちろん現実はこんなにスムーズにやり取りが進むことはありません。しかし、イメージをつけるためにこの動画を最初に見ることは必須だと言えます。

ウェブサイト

fp1test.comさんのウェブサイトには非常に古くからの問題もあって、老舗のウェブサイトです。古い過去問の解説はここを見るしかありません。

また、このウェブサイトには各回の体験談へのリンクが貼ってあり、これがめちゃくちゃ役に立ちます。現実のやり取りが見られるので、ぜひ全部読みましょう。

あ、あと過去問は本家のサイトにあります。

試験問題 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)

試験問題を紙に印刷して使う方は、PDFがA3版なので、家庭用のA4プリンターで印刷するにはちょっとしたコツが必要です。

  • ページサイズ処理に「ポスター」を選択

  • 倍率に「140%~135%」くらいの数字を入力(プリンタ機種による)

  • 右側のプレビュー欄:良いところに点線が入っていることを確認

その他

以上の教材はあくまで大筋で、合格の確率を高めるためにはその他にもたくさんの枝が必要です。

【書籍】

【YouTube】

私は動画好きで、ほんとうにお世話になりました。

【ウェブサイト】

ラスパーさんの「伏線を回収せよ」シリーズは瞬発力を高めるのに役立ちます。また、さきほどのfp1testさんの体験談に加えて、ラスパーさんのウェブサイトにも体験談のリンクがあります。

動画の模範的なやり取りに慣れてしまっては、実際の面接官とのやり取りであたふたすることになります。必ずしも模範的とは言えない、答えられない、黙ってしまう、間違ったことを言って追及されてしまうなどの後悔の連続、臨場感あふれる体験談を読むことで、作者の追体験をすることができます。

よっぽど自信がある人はいいですが、そうでない方はこれらの体験談をたくさん読める限り読むことを強く強くお勧めしておきます。

【Kindle】

【模擬面接】

  • 各所あります、私はくすもとFP事務所さんのKindle割引適用で1万円のものを申し込みました

採点基準と配点

学科では160点以上という猛者もいますが、実技では最高でも140点程度で、それ以上はほぼ聞いたことがありません。

つまり、合格者は120点から140という狭い範囲で点数がつくということです。どのような採点方法で評価されるのかを、知っているのと知らないのとでは答え方が変わってくると思うので、知っておきましょう。

と言っても、模範解答は公表されていません。採点項目は、過去に公開されていた記事を参考にします。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 試験科目及びその範囲 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)

配点はウェブサイトに公表されていませんが、先輩方がSNSなどで公開されている試験結果の成績表にはこのように示されています。

Part1とPart2の各100点ずつ、合計200点満点です。

これを参考に、どのようなところを見られて点がつけられるのか、どこを押さえておけばいいのかという目安にします。

勉強の手順

Step1 準備と知識の維持

学科に合格したらすぐにTACの実技対策問題集を買いましょう。まず試験の概要の部分を読み、頭に入れます。

同じく、くすもとFPさんの面接動画で、面接の流れを見ます。いきなり高度なやり取りでビビると思いますが、わからなくてもやり取りの雰囲気がつかめたらOKです。

学科と違って実技は「相続・事業承継」と「不動産」の2科目です。

学科と同じ科目でも、実技の内容は全く違うものと思ってください。断言しますが、学科の勉強をいくらやっても実技は合格できません、実技用の勉強と訓練が必要です。

問題のパターンを知る

Part1ではまずAさん(相談者)の相談内容と、設例文中に隠れた問題点をあげることから始まります。言わば、自分で問題を探して、その問題に答えるのです。

Part2では、相談内容と問題点の代わりに、「FPへの質問事項」が示されているので、それに沿って面接は進みます。

問題数をこなせば、だいたい何を聞かれるのかがわかってきます。問題文と質問が一対一対応します。

例えば、
・「兄弟の仲はいいので相続で揉めることはないと思っている」⇒「遺留分の民法特例+遺言書の作成」
・「1979年築」⇒「空き家特例」
・「三大都市圏600㎡」⇒「地積規模の大きな宅地」

これらは採点基準でいうところの「A:顧客の問題点の把握」です。「相談内容」については国語力、文章の読み取り力の問題。Part1の問題点についてはほぼ次の3点に集約されます。

  • 相続税が高額になるので、その軽減対策(事業承継税制、各種控除や軽減税率、繰り延べ)

  • 遺産分割で揉める可能性があるので、円満相続のための対策(遺言書の作成、遺留分の除外合意、甲土地の分筆)

  • (納税資金が足りない場合)納税資金の準備(株の売却、土地の売却など)

しかし、どうやらくすもとFPさんの動画のように、この3点だけを機械的に答えるのではダメな様子です。問題に合わせて「使える特例や控除など」を数多く言うことが必要なようです。(たぶん)

次に「B:問題解決策の検討・分析」ですが、ここではさっきあげた問題点について具体的に解決策を当てはめていきます。

学科では問われたことに対して正しいか間違いかを答える能力が必要でしたが、実技では自分の知識の引き出しからどれを選択するかというところが問われます。

そして、実技では正解がない場合もあります。2つ選択肢があってそれぞれのメリット、デメリットを説明するのが目的みたいな。

そして、問題用紙には示されていませんが「C:顧客の側に立った対応」という項目が配点の30%、200点満点中の60点を占めていて、これはかなり大きいと思います。

しかし、どこらへんで加点/減点されているかわかりません。

示された顧客の条件から、何をアドバイスするか。その時に「Aさんの意向は○○なので」というフレーズを必ず挟むか。私にはそんなことくらいしか思いつきません…。

最後に「D:FP倫理と法令遵守」ですが、これはPart1は最後に必ずFP倫理が聞かれて、Part2では関連する専門職業家が聞かれているのだと思います。

このパートは早いうちに覚えてしまって確実に点をゲットしましょう。

Step2 実技特有の知識

Part1 相続・事業承継

  • 事業承継税制

  • 自社株式の評価

  • M&A

  • 経営者保証

  • 遺留分に関する民法の特例

  • 遺言書の種類と特徴

  • 相続時精算課税制度

  • 直系尊属からの一括贈与の非課税

  • 小規模宅地の特例

  • 持分あり医療法人

  • 外国在住者の贈与と相続

Part2 不動産

  • 借地借家法

  • 借地権の解消

  • 使用貸借

  • 宅地の譲渡(買換え)に関する特例や控除、繰り延べ制度

    • 3000万円特別控除

    • 軽減税率の特例

    • 買換え、空き家、固定資産の交換、立体買換え、優良住宅地の造成、収用等

  • 不動産運用

    • 建設協力金方式

    • 等価交換方式

    • 定期借地権方式

    • マスターリース契約(サブリース契約)

  • リースバックとリバースモーゲージ

  • 負担付き贈与の場合の不動産の評価

これらについて、TACの実技問題集の説明をよく読みます。で、たぶん何を言っているかわからないので、その他の動画(棚田行政書士の不動産大学や円満相続ちゃんねるなど)を参考にします。一つ一つ時間がかかるので焦りますが、頻出パターンは有限です。

Step3 瞬発力を鍛える

だいたい上記のような範囲を押さえておけば8割がたは当てはまります。過去問を見るともっと細かい論点が出ていることはありますが、そこらへんは捨てても不合格にはなりません。

みんなが答えられているところを、テンポよく、たくさん、確実に埋めていくゲームだと考えてください。

テンポよく、というのが重要です。あまり悩まず、面接官が求める会話の流れに乗ることが大事です。

これは「自分が面接官の立場になってみる」という経験をすればわかります。なので、ぜひSNSなどで仲間に声をかけて、お互いに交代で面接官役をやってみることをお勧めします。

私はX(旧Twitter)で「#FP1級実技」というタグで「どなたか面接の練習相手になっていただけませんか?」と呼びかけました。どこかのコミュニティに属するのも手だと思います。

まとめ

今日は、FP1級実技の最初の一歩について説明してきました。

筆記試験に慣れていても、面接試験に慣れている人は少ないと思います。会話のテンポが大事なのは、面接官の手元のチェックリストを埋めるためだと思います。

基本的には面接官はあなたの知識を引き出そうとしてくれる味方なので、あまり固くならず、知ったかぶりをせず、答えが思いつかない時は素直に「思いつきません」と言いましょう。「○○か××だと思うのですが」などと、わかる限りのことを短い言葉で口に出しましょう。

私が受験した2024年2月の実技試験(面接)は、これまでの傾向と違って、受験テクニックや枝葉の知識を身につけているだけでは先に進めない、基礎的で根源的な内容について聞かれたように思います。

問題の根本に向き合えている人が求められていると感じました。

試験本番では、緊張でなかなか思うようにいかないかもしれませんが、どうか実技試験を楽しんでください。問題を自分事としてとらえて、相談者に寄り添い、あなたの知識を生かしてください。

健闘を祈ります。

それではまた、FP~(@^^)/~~~

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