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本当は怖いふるさと納税
おはようございます、DeFiの世界から来たFP1級のヒヨコロです。🐤
今日はふるさと納税のお話です、なんだかとっても素敵な各地の特産品がもらえるというお得なお得なふるさと納税。
「やらないと損」
「まだやってない人いるの?」
という声も聞こえますが、はたして本当にふるさと納税はお得なんでしょうか?
もし本当にお得だとすると、その分損しているのは誰なんでしょうか?
もしかすると損をしているのはあなたかも?
…なんて脅すのはやめといて、「住民税」のことを知れる良い機会なので聞いていってね。「住民税」って興味ないかもしれないけど、ふるさと納税にすごく関係あるんですよ。
ふるさと納税とは
「ふるさと納税」は、たった2000円の負担で自分の好きな商品を手に入れることができるお得な制度です。
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最近ではさらにお手軽にAmazonでもふるさと納税が始まりました。ワンストップ特例の手続きもネットで完結できる自治体が増えて、ほとんどアマゾンで買い物をするのと同じ感覚でふるさと納税ができます。
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やり方は簡単で、ふるさと納税サイトで自分の好きな商品を選んで買い、ちょっとネットで手続きをすると、後からその分の税金が安くなります。
例えばこんな商品があります「あきたこまち10kg 20,000円」
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「は? いくらお米が高くなったって言っても7〜8000円くらいだよね、2万円ってぼったくりでしょ!」
と思いますけど、騙されたと思って買います。すると2か月後くらいにお米が届きます。
「いや遅すぎるでしょ、翌日に届けよ!」
と思いますけど、みんなガマンして買います。
なぜかというと、今20,000円払う⇒後から税金が18,000円分安くなるので、実質たったの"2,000円でお米10kgが買えた"からです。めちゃくちゃお得じゃん!😊
…
……ほんとかな???(疑)
なんか詐欺っぽくないですか?
こんな感じの詐欺よくありますよね、絶対儲かるからまずは高額の商品買って、後から必ず返ってくるからって言って、お金を払ったら二度と連絡つかなくなるようなアレ。
ふるさと納税も詐欺なんじゃないの???
ふるさと納税制度が生まれた背景
なんでこんな詐欺っぽいまどろっこしい制度が生まれたんでしょうか、その背景を探っていきます。
日本の人口は2008年をピークに減少を続けています。特に地方は若者を中心にどんどん人がいなくなっていて、すると地方の税収はどんどん少なくなって、どんどんさびれています。
一方で東京をはじめとする大都市に大企業があり若者が集まって税収が豊富です。
この2極化を改善するため、地方を元気にするために考えられたのが「ふるさと納税」です。
ふるさと納税の歴史
2006年:若者が生まれ育った自治体に寄付をすると税金が免除される「ふるさと寄付金控除」というアイデアをどこかの知事が出し、これがふるさと納税の元となる
2008年:ふるさと納税制度がスタート
2011年:東日本大震災が起こり、被災地を支援するためにふるさと納税が大きく注目される
2015年:お手軽な「ワンストップ特例制度」が発明される⇒利用者激増
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このように、もともとは「地方創生」が理念でした。
しかし今、私たちは「地方を応援しよう」という理由でふるさと納税をやってるでしょうか?
ほとんどの人は「ふるさと納税で何をもらうのが一番得か」を考えていて、「どこの自治体に寄付するか」なんて二の次、下手したらどこの自治体に寄付しているか知らないのではないでしょうか。
まあ、ユーザーが知らなくても結果としてうまく地方創生できていたら良いのですが、果たして…。
ふるさと納税のしくみ
もともと「寄付金控除」という制度がありました。これは、日本赤十字社などの公益団体に寄付したお金は、その年の利益から控除して良い、その分にかかる税金が安くなるという制度でした。
寄付金額のだいたい半分くらい、例えば5万円寄付したら2.5万円くらいが返ってくるイメージで、要するに半分しか返ってこない制度です。
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ふるさと納税というのはそれよりももっと強力で、寄付金額のほぼ全額、例えば5万円寄付したら4万8000円が返ってきます。
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しかも「返礼品」という商品がもらえます。
その価値はだいたい寄付額の30%。5万円寄付したら1万5000円の商品がもらえるイメージです。
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どうやって返ってくるかというと、主には「住民税」から帰ってきます。
簡単なようで実は複雑な複雑なふるさと納税、確定申告をする場合とワンストップ特例を使う場合で寄附金が返ってくる方法が変わってきます。(額はどちらも同じ)
確定申告をする場合
① 払うべき所得税から「寄付金額’×所得税率」が安くなる(所得の40%が上限)
② 〃 住民税から「寄付金額'×10%」が安くなる(所得の30%が上限)
↑ここまでは普通の寄付金控除と同じ
③ 残り分は住民税から安くなる(ふるさと納税の特例分)
↑この③の部分は、もとの住民税額の20%が上限
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🐤 「寄付金額'」(ダッシュ付)=寄付金額-2000円と読み替えてください。
ちょっと具体的に数字をあてはめてみましょう。
例えば年収500万円の会社員がいたとします。
年収500万円
所得230万円
所得税率=10%
住民税額=23万円
所得税の上限で決めるふるさと納税の上限額:所得の40%=92万円
住民税の上限で決めるふるさと納税の上限額:所得の30%=69万円
特例の上限で決めるふるさと納税の上限額:住民税額の20%=4.6万円
↑結局ここが一番低いので、特例分で上限が決まるふるさと納税の上限額=住民税額の20%/(0.9-所得税率)
4.6÷(0.9-0.1)=5.75万円
🐤 正確には「住民税額⇒住民税の所得割額」、「所得税率⇒所得税率×1.021」と読み替えて欲しいです。だいたいの手順をつかむために簡単な数字にしています。
ワンストップ特例では、所得税分も住民税から引かれます。つまり確定申告の場合は一部は所得税から安くなりますが、ワンストップ特例の場合は所得税は安くならず、その分もすべて住民税から安くなります。
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ざっくり「年収×1%」がおおよそのふるさと納税の上限額と言われたりしますが、実は年収が上がるほど所得税率が上がるので、ふるさと納税できる額の年収に対する割合は高くなっていきます。
例えば年収1000万円なら17万円(1.7%)くらいが上限になります。(家族や節税の有無で変わります)
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年収5000万円なら、なんと200万円くらい(4%)ふるさと納税できたりします!
ふるさと納税に関する数字
ふるさと納税は、自分の自治体に納税する代わりに好きな自治体に納税することができる制度ですが、その割合は納めるべき住民税額の20%~30%程度です。
例えば年収500万円で住民税額が23万円だとしたら、ふるさと納税で他の自治体に寄付できる金額は最大でも5万円ちょっとで、自分の住んでいる自治体には結局18万円くらいは納めます。
つまり、70%~80%はどうあがいても自分の住む自治体に納めないといけません。つまりふるさと納税による税収の減少は限定的です。
そして、ふるさと納税を利用している人は2023年度の実績で約1000万人、納税者の数(約6000万人)からすると16.7%くらいです。
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よく、都市の税収が地方に逃げていると言われますが、どれだけの影響があるかというと、一番ふるさと納税による減収額が多い横浜市では1年間で304億円税収が減っています。
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税収全体でいえば8830億円、減ったのは304億円なので税収の3.4%くらいです。このように、減る税収は限定的と言えます。
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では逆に、得をしているのはどんな自治体で、どれくらい得をしているのでしょうか。
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うわっ、聞いたことある!
寄付したことある!
という方が多いのではないでしょうか。私も都城市はお気に入りです。美味しいお肉がたくさんもらえるんですよね~。
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都城市の市税収入は207億円くらい、対して194億円がふるさと納税による収入です。なんともとの市税収入の94%アップです!
北海道の紋別市に至っては、市税収入はたったの34億円、対して寄付金は192億円なのですから、完全にふるさと納税に依存しています。
こんなに影響を受けていいのでしょうか。ふるさと納税に頼りきりになっていいのでしょうか?
都城市と同じ宮崎県の都農町(つのちょう)は令和3年までは100億円を超える額の寄付を受けていましたが、寄付の威力があまりに大きすぎてズルをしてしまいました。国から「指定取り消し」つまりふるさと納税禁止の罰を受けたのです。
注文を受けすぎて生産がおいつかなくなったけど、寄付金を返すのが嫌だから割高でも他の農家から買って、それを返礼品にあてていたと。そうすると「寄付額の30%」を超えてしまったと、わかっていたけどやめられなかったということです。
ふるさと納税の闇
だんだんふるさと納税の闇が見えてきました。
つまり、ふるさと納税は「高所得者ほどたくさん地方のものがもらえて」「特産品のある地方にそのお金が流れる」
つまり
高所得者が得をして
特産品のある地方の税収が潤い
特産品の生産者の売り上げが大きくなる
ついでにふるさと納税ポータルサイト運営も儲かる
でも、税金の総額は一定だから、誰かが損をしているはずです。それは誰かというと
大都市に住む人(特に税金でサービスを受ける高齢者や子育て世帯)
特産品のない地方自治体
大都市はふるさと納税で確実に税収が減っています。ふるさと納税の受け入れをしていない東京都は年間で1899億円も税収が減っていて(税収の3%)、見えにくいけど確実にその分だけ住民サービスが減っているということです。
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また、特に特産品のない地方は特にふるさと納税の恩恵はありません。都城市のふるさと納税された額が194億円なのに対して、同じ宮崎県の諸塚村は508万円でした。
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ふるさと納税を俯瞰すると
ふるさと納税としてみんなが払ったお金の分、地方税は減ります。そのお金は2023年でいうと日本全体でおよそ1兆円。うちおよそ50%は経費なので、5000億円が地方税全体としては消えていることになります。
その分、特産品の生産者やポータルサイト運営が儲かっているので法人税は増えます。
これがうまく乗数効果でまわってくれるのか、地方はふるさと納税で元気になるのか、今後も興味を持って見ていきたいと思います。
まとめ
ふるさと納税は、地方を元気にするために、返礼品というインセンティブを作ることで都会の住民が自主的に地方に住民税の一部を寄付する制度です。
また、何もせずにただもらえる地方交付税とは違って、地方の自治体が努力をすれば利益があがるので、地方の自治体が頑張ろうというインセンティブにもなります。
一方で自治体と特定の生産者との癒着とか、アマゾンなどの企業への税金の流出や、ルールすれすれ?の高還元率返礼品、寄付金への依存体質などが問題となっています。
ちょっと闇が見えなくはないのですが、一応大都市の住民税が地方の生産者に流れているということで、創設の趣旨にはあっている良い制度ではないかなと私は考えます。
ただ私が調べてみる限り、海外にはこんな制度は無いんですよね。この制度が良い制度だったら海外でもマネされるはずなので、なんとかマネされるような良い制度になれればいいなと願います。
私は淡々とふるさと納税で小さな得を積み重ねます。
それではまた~(@^^)/~~~
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