カブアンド株価(未上場)の計算方法
おはようございます。🐤
冷めやらぬ興奮、みんながカブアンドに興味をもっている(いない?)
そして株式会社のしくみに興味をもっている。これがチャンスでなくて何なのか? 私の存在意義はここにあり! というわけで頑張ってます。
カブアンドの企業価値は、2025年4月25日時点で180億円を見込んでいて、そこから逆算して株価は5円という計画をたてられています。
企業価値180億円/発行済株式数36億株=1株あたり5円
この「企業価値180億円」ってどこから来たんだ? というのがわからない方が多いと思うので、ひとつの考え方を解説していきます。
企業価値とは?
その会社の価値ということです。
たとえばM&Aで会社を買収する時の評価額の算定に使われたり、相続税を計算する時に使われたりします。
上場している会社だったらわりとシンプルで、その会社の株式の時価総額を基準に考えられるのですが、今回のカブアンドはそもそも上場していないので市場価格がわかりません。そこで、机上の計算でだいたいの企業価値を計算してみようというものです。
企業価値を計算する方法は大きく分けて3つあります。
コスト・アプローチ
企業が今もっている純資産(もしくは純資産と負債を足した資産全体)をもとに計算する方法。インカム・アプローチ
今後、その会社が生む利益の予測をもとに計算する方法。マーケット・アプローチ
似たような業種で上場されている企業の株式の取引価格を参考に計算する方法。
FP試験にでてくる「取引相場のない株価の評価」に似ていますね、こちらは相続税の計算なので小さめに計算するために「純資産」を基本にしていますが、M&Aの企業価値は負債も含めた「資産」全体を計算する場合もあります。
そして、この3つの計算方法はどれか一つというわけではなく、場合に応じて併用して計算します。
カブアンドの場合
ではカブアンドにあてはめてみましょう。
コスト・アプローチ
目論見書を見る限り、カブ&ピース社の2024年8月時点の資産は15億円です。まだ1期目も終わっていないので貸借対照表が公開されておらず、負債はわかりません。
追加発行される6億株で、想定どおり30億円の増資ができたとすると、その1/2が資本金に組み入れられて、資本金の合計は30億円となります。
よってコスト・アプローチによる計算では、負債が無いものとすると増資前15億円、増資後30億円という評価になりそうです。(間違っていたらご指摘いただけると嬉しいです)
インカム・アプローチ
次はインカムによる評価です、これにはカブアンドの事業の収益を予測する必要があります。
現在どれくらいの募集があるかがわからないのですが、前澤社長のMZDAOの会員数が16万人、その会員たちの一部と、あわよくばその知人も巻き込めて、さらに明石家さんまさんのCMなどで新規顧客もゲットできたとしたら、どんなに少なく見積もってもざっと30万人はユーザーを獲得できるのではないでしょうか。多かったら100万人くらいになるかもしれません。
少なく見積もった場合の30万人をもとに計算してみます。
平均利用額を1年あたり20万円とすると、20万円×30万人=600億円、私はこれが最低ラインだと想像しています。
平均利用額20万円というのは多いようですが、インフラや通信費とするとそんなものかなと思います。
電気・ガスで月2万円⇒年24万円
携帯代で月3000円⇒年3.6万円
ひかり(インターネット)で月4000円⇒年4.8万円
ふるさと納税で年10万円
売上げ600億円に対する純利益率を、仮に2%とすると12億円、3%とすると18億円です。
割引率を10%として計算すると、収益還元法による企業価値は次のようになります。
純利益率2%の場合で12/10%=120億円
純利益率3%の場合で18/10%=180億円
マーケット・アプローチ
類似の企業がないので、なかなか難しいと思いますが無理やりにでも考えてみます。(あまり参考になりません)
まず業種ですが、楽天と同じとすると「インターネット小売り」(SBI証券の分類)にあたります。似た売上高を探すと、トップの楽天で2兆円、次点のストリームでは270億円と、売上高600億に近い業種が見当たりませんが、とりあえず次点のストリームの時価総額を見てみます。
売上高は274億円(カブアンドは600億円)
株式は2852万株発行済み(カブアンドは36億株)
時価総額は28.8億円(カブアンドは180億円)
カブアンドの売上高はストリームの約2.2倍なので、そのまま時価総額に比例させると、カブアンドの時価総額は28.8億円×2.2=63億円程度になりそうです。
新電力最大手のTERASELでんきを有する伊藤忠エネクスを比較対象にすると、業種は「燃料商社」(違うな…)
売上高は9630億円(カブアンドは600億円)
株式は1.1億株発行済み(カブアンドは36億株)
時価総額は1877億円(カブアンドは180億円)
カブアンドの売上高は伊藤忠エネクスの約0.062倍なので、そのまま時価総額に比例させると、カブアンドの時価総額は1877億円×0.062=116億円程度になります。
詳しくはPERやROEなどの各種指標も参考に計算されるものですが、ここではあくまで売上高のみに注目した単純な計算であることに注意が必要です。
まとめ
カブ&ピース社の企業価値を3つの視点から計算してみました。それぞれにいくつかの試算結果がでていますが、それらのうち高い方をあげると次のとおりになります。
コスト・アプローチ:30億円(負債がないものと仮定)
インカム・アプローチ:180億円
マーケット・アプローチ:116億円
これらは、私が手作業でできる程度の簡単な試算結果ですが、それでも180億円と計算するには少し無理がありそうな結果となりました。
ただ、普通の事業形態とは少し違うので、期待値とか影響力とかを算入できればなんとでもなりそうな気はします。評価会社がいろいろな合理的っぽい説明を並べて「ええい、180億円!」といったら納得はできなくないレベルではないでしょうか。
END