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ニュースがわかるための税金の基本

おはようございます。🐤

今日は税金のお話をしていきます。基本的な知識をつけることで、ニュースが面白くなります。

さっそく質問です、あなたの収入はいくら、手当は何をいくらもらっている? 所得税と住民税は? 手取りはいくらですか?


収入(給与+手当)

というわけで、一般的な給与明細の見方を説明していきます。

給与明細の例

まず収入です。上の図の例では基本給と時間外手当(残業手当)、それと通勤手当があります。これの合計が324,000円。

もし家族がいたら、家族手当がもらえたり、危険な業務にあたるときは1回あたりいくらで職務手当がもらえたり、業務に有用な資格をもっていたら資格手当がもらえたりする会社もあります。

ここで注目は家族手当です。
家族手当がもらえる会社では、税金もしくは社会保険の扶養親族になっているかどうかを判断基準としていることが多く、ここでも103万円や106万円、130万円の壁があることが多いのです。

例えば子ども1人あたり5000円/月の家族手当がもらえるような会社の場合、子どものアルバイトで収入が一定の金額を1円でも超えたらそれがゼロになります。

月5000円というと年6万円、これは国民民主党の今回の大幅減税案に匹敵する額ですから、大きいですよね~。

収入からひかれるもの

大きくは2つ、税金と社会保険です。

税金その1(所得税)

  • 所得税:収入からいくらか引いて、そこに税率をかけて計算した額

所得税はボーナスを含む1年間の収入によって決まります。年間の税額の計算は、その年の収入が決まらないと正確には決まらないのですが、だいたいの額を(少し多めの額)あらかじめ給与からひいておいて、年末に清算します。

この清算を年末調整といいます。
だいたいは社員の気分を悪くしないように、年末の追加徴収はないようにするため、毎月の税額を少し多めに徴収しておいて、12月の清算時に少し税金を安くしたり、場合によっては還付があったりします。年末調整はちょっとしたおこづかいという気分の人もいるかもしれません。

所得税の計算方法

難しいのがこの税金の計算方法です。

よく、「年収が多い人ほど税率が高い」とか言ったりします。あなたの税率は何%か知っていますか?

所得税は収入が多い人ほど税率が高くなります(超過累進課税といいます)、これは、収入が少ない人からたくさん税金をとるのはかわいそうだし無理がある、だから収入が多い人からたくさん税金をとろうというものです。

No.2260 所得税の税率|国税庁

所得税の計算方法を、まずはざっくりと説明すると、給与や副業などの「収入の合計額」から「所得控除」という経費みたいな一定の額をひき、残った額に一定の率(税率)をかけて税額を計算します。

では、この例の人の場合を計算してみます。

  • 月収:給与300,000+時間外手当17,000(平均)=317,000円/月(通勤手当は含めなくていい)

  • 賞与:賞与600,000×夏冬2回

  • 年収:317,000×12+600,000×2=5,004,000円

これを上の表にあてはめると、330万円から694万円の枠になるので、税率は20%かな、500万円×20%=100万円か高いな! と思ってしまうかもしれませんが違います。ここはすごく勘違いの多いところです。

所得控除

会社員には、税金の計算をする時に収入から引いてもいいと認められている「所得控除」があります。

なんと家族の種類や保険、医療費の状況に応じて15種類もあります…今日は代表的なものだけ紹介します。

  • 給与所得控除:会社員はみなこの控除をもっています。最低でも55万円~最大で195万円も控除できます。

  • 社会保険料控除:支払った社会保険料の額を控除できます。社会保険料はだいたい収入の15%~16%です。

  • 基礎控除:誰でももってる48万円の控除、ただし所得2500万円以下の人だけです。

この中で給与所得控除の計算は表が必要です。

No.1410 給与所得控除|国税庁

例えば年収500万円の人なら

  • 給与所得控除:500万×20%+44万=144万円

  • 社会保険料控除:509万×15%=76万円(収入には通勤手当を含む)

  • 基礎控除:48万円

  • 所得控除の合計:約268万円

※社会保険料率は都道府県ごとに微妙に異なります、都道府県毎の保険料額表 | 協会けんぽ | 全国健康保険協会 を参考にしてください

つまり、500万円-268万円=232万円が所得となります。

他にも扶養家族がいたり、節税対策としてiDeCoをやってたり、生命保険をやってたりするとどんどんこの「所得」の部分が減っていきます。

  • 配偶者控除:38万円

  • 扶養控除:38万円(19才~23才の子は63万円)

  • 生命保険料控除:最高12万円

  • iDeCoや企業年金など:掛金は全額所得控除

特に19才~23才の子がいたら扶養控除が大きいですよね、1人63万円。その年代の子は大学生だからお金かかるだろうっていうことなのだろうと思います。とりあえず、今日は計算の簡単のために230万円が所得とします。そうするとさっきの所得税率の表にあてはめて、

No.2260 所得税の税率|国税庁

230万円は上から2番目の枠なので、
2,300,000×10%-97,500=132,500円 が所得税の額となります。これを支給ごとに分けて徴収されるのでだいたい毎月の税額は8,300円/月(132,500円/12か月に4か月の賞与含めて16か月)くらいになる計算です。

どうですか、所得税の説明長かったですね。

ざっとまとめると

所得税額=所得×税率
(所得=収入から各種控除を差し引いたもの)

年収500万円の会社員は、給与所得控除が144万円、社会保険料が76万円くらい、基礎控除が48万円は必ずあるので、最低でも268万円以上の控除があります。なので所得は多くても230万円くらいしかない、意外と小さいんです。

仮に所得が230万円だとすると、所得税額は 230×10%-9.75=13.25万円
収入にそのまま税率をかけるだけじゃないってことがわかればOKです。

税金その2(住民税)

住民税は所得税に比べると単純です。

計算方法は所得税と同じで

住民税額 = (収入-所得控除) × 税率10%

所得控除は計算方法は同じで少し数字が違います。
まず税率が一定で10%(簡単でいいですね)
あと基礎控除が43万円だったり、微妙に違います。これも所得税と揃えて欲しいところですが、今回も住民税が下がっては地方の財政が成り立たなくなるので、きっとまた据え置かれたり、所得税とは別の税率が決められたりするのだと思います。

仮に所得が230万円だとすると、230×10%=23.0万円
所得が550万円くらいまでは、住民税の方が税額が大きいのです、意外ですね。

社会保険料

もっと意外なのが「社会保険料」これが税額よりもずっと大きいのです。

だいたい収入の15%くらい(都道府県によって異なる)
40才以上は、さらに介護保険が0.8%上乗せされます。

  • 健康保険(収入の5%くらい:都道府県によって異なる)

  • 厚生年金(9.15%)

  • 雇用保険(0.6%)

  • 介護保険(40才以上は0.8%)

だから、年収が509万円だと、だいたい76万円くらいが引かれます。
これには控除がないです…
しかも、通勤手当までが対象になります、こんなん入ってきたら右から左に支払うだけの費用ですやん、って文句も言いたくなるんですけど、それでも決まりでそうなっています。つら…

扶養

扶養は、会社員の妻や子など、収入がまだない家族を養うためのルールです。家族が扶養になると、

  • 税金の場合、会社員の所得を控除できる

  • 社会保険の場合、扶養家族の健康保険料が無料になる

というお得なルールがあります。
つまり、家族の収入が一定の額を超えて扶養から外れてしまうと

  • 税金の場合、扶養家族の収入が103万円を1円でも超えると、扶養から外れるので所得控除ができなくなる(38万円もしくは63万円の控除を失う)(損をするのは会社員)

  • 社会保険の場合、扶養家族の収入が一定額を超えたり一定時間を超えたりすると、自分で社会保険に加入しないといけなくなる。(これは条件がいろいろあってややこしい)(損をするのは扶養家族)

誰がどこで損をするかというのが複雑なので、これを理解するのはけっこうたいへん。壁は金額であったり労働時間であったりして、それが妻か子か、学生かどうか、勤め先の規模によっても違うのでほんとうに複雑です。

これは別の記事に書いてあるので、詳しくはそちらを参考にどうぞ。

課税のタイミング

ややこしいことに、2つの税金と社会保険料はそれぞれ額が決まるタイミングが違います。

所得税は、当年度分の給料をもらいながら課税されます。微調整は当年度の12月に「年末調整」で行います。

住民税は、前年度分の給料にたいして当年度で支払います。所得税と比べて1年遅れになります。だから、会社員1年目は住民税はかかりません、でも、退職して1年間は住民税がかかります。住民税は1年遅れです。

社会保険料は、4月~6月の支給額で、その年の8月~翌年7月までの保険料を決めます。年末調整はありません。よく3月~5月は残業しない方が得と言われますが、それは残業代が月末締めの翌月払いの会社が多いのでそう言われます。

不公平すぎるじゃん、と思われるかもしれませんが、その通りです。あまりにひどい制度です。手計算でやってた昔ならともかく、今はコンピュータで自動計算なので、税金と同じ年度で、表ではなく率をあてはめて計算して滑らかな数字にしてほしいものです。

まとめ

社会保険を含めた税金のこと、収入からひかれるものについてざっと説明しました。

これがわかっているとニュースの意味がよくわかるようになると思います。マネーリテラシーとしては上位5%に間違いなく入ることができるでしょう。

  • 収入から引かれるのは、「税金」と「社会保険料」

  • どっちも税金みたいなもの

  • 「税金」は「所得税」と「住民税」の2種類がある

  • 計算は、収入から控除を引いた額に率をかけるので、意外と小さい

  • 「社会保険料」はたくさん種類がある、合わせてだいたい収入の15%〜16%(でかい)

  • 扶養というルールがある(これが壁のもと)

箇条書きにしても7行もある…だいたい雰囲気がわかっていただけたらこんなに嬉しいことはありません。

ここからがスタートなので、これを理解してみんなでこれからの税制について議論をするのが理想です。「頭がいい人に任せておくよ」では、あなたに都合の悪い制度を押し付けられてしまいます。がんばりましょう。

それではまた〜(@^^)/~~~

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