高年齢者就業確保措置(2023年9月基礎編 問8)
おはようございます。🐤
A分野最後の問題は、高年齢者就業確保措置についてでした。
ここでほんの少し感じる違和感、「高年齢者」って単語、聞いたことありますか? 「高年齢」もあります、「高齢者」もよくありますよね。
高年齢雇用継続基本給付金
後期高齢者医療制度
サービス付き高齢者向け住宅
でも、高年齢者って聞いたことあったでしょうか、私がFP1級の過去問10年分を横断検索する限り、今回の「高年齢者就業確保措置」と2018年1月の問8「高年齢者雇用確保措置」だけでした。
微妙に違う言葉、FP1級試験を受験するうえではこれらの違いが結構重要じゃないかなと思うので、ちょっと整理していきたいと思います。
高年齢者と高年齢と高齢者の違い
高年齢者
高年齢者とは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(通称:高年齢者雇用安定法)で規定されていて、55才以上の人のことだそうです。またあまり聞きなれない微妙な年齢ですね。かつては55才が定年だった時代の名残なのかもしれません。
この法律で決めようとしているのは、一つは「高年齢者雇用確保措置」(法9条)といって65才までの雇用の確保です。つまり、65才まで会社に雇い続けるということです。
65才まで定年の引き上げ
65才までの継続雇用制度
定年の廃止
また、同じ法律で「高年齢者就業確保措置」(法10条の2)というものが決められていて、「雇用」と「就業」という言葉だけが変わっている措置でめちゃくちゃ紛らわしいのですが、翔太の寿司の「あ・・・」のシーンだけの神経衰弱ですかって。
就業というのは、職に就いていればいいのだから、必ずしも「雇用」ではなくてフリーランスでもOKということで、会社を辞めたあと委託契約などを結ぶことを促進するというものです。
そしてもう一つ、社会貢献事業に従事できる制度の導入を進めるという項目があります。
これはどういうこと?
社会貢献事業、つまりボランティアをしろと? 無償で? ブラック推奨?
そんなわけないですよね、調べてみると社会貢献事業とは、社会の課題や問題を解消しながらも利益を得られる活動だそうです。ユニクロの服を発展途上国に送る的な?
ちょっとなかなか難しそうですが、つまりそんな活動をしたい65才以上の人のためにそんな事業を考えなさいということのようです。そして無償ではなく有償で、給与か報酬を与えなさいということです。厳しい。
高年齢
つぎに高年齢、一緒やんと思うんですけど違います。雇用保険の「高年齢雇用継続給付」と「高年齢再就職給付」は60才以上65歳未満に関するもので、高年齢被保険者は65才以上の被保険者を指すもので、ここが一番高年齢の定義があいまいです。
高齢者
これもいろいろな定義がありますが、後期高齢者医療制度でいうところの高齢者は65才以上で、65才~74才を前期高齢者、75才以上を後期高齢者と呼びます。
高齢者といえは65才固定で良さそうです。高年齢が55才から65才、あるいはそれ以上を指していてちょっとややこしいですね。
ここでは、「高年齢雇用」は65才まで会社に雇うこと、「高年齢就業」は70才までフリーランスを含めてお金を払うこと、というイメージでいきましょう。
2023年9月基礎編 問8
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級学科試験より
⭕:これは「就業」なので70才までのやつです。だからなんとなく合ってそうなのですが、少し引っかかるのは「すでに65才以上70才未満にしているのに、さらに努力義務があるの?」ということと、「それじゃ、65才未満の定年の会社はその努力はいらないの?」ということです。普通に考えてもっと努力が必要なのは、65才定年にできていない事業主のはずではないでしょうか。
が、これはもうすでに65才までは義務になっているのでした。だから基本的には全ての事業主はこの70才まで就業確保の努力義務を負うのです。
これに当たらない事業主は、まず最低限のことをこなして1人前になってねという意味合いでいいかと思います。
❌:そもそも、70才までの就業確保措置は努力義務なので現時点ではどんな基準でもOKだと思います。これが65才までの雇用確保措置については、基本的には全員対象にしないといけません。ただし特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受け取れる年齢以上の人は対象外です。ちょっともらっているんだからいいじゃん的な発想でしょうか。
基準を設けるにしても「上司の推薦を得た者」とか個人の感情がまぎれこみそうな主観的な基準ではなく、「過去○年間の人事考課が○以上である者」など、労使で合意できる客観的な基準が望ましいのですが、それにしても曖昧な部分は残りそうで判断が難しいですね。
❌:これは労働組合の意見を聞けば良いみたいですよ。
問7と同じく、これもできなくてしょうがない捨て問でしょうか。なかなか厳しいですね。
初見、捨て問への対処方法
2問連続で捨て問がでてきました。ここまではなかなかテキストには書ききれませんね。(;^_^A
私たちはこういう問題にどう対処すればいいのでしょう、捨てればいいと言われるかもしれませんが、さっきの問題も捨てる、この問題も捨てる、では試験中に心が折れてしまいます。
これは私がFP1級の試験勉強をするにあたってずっと考えてきたことですが、本当にこの問題は捨てていいのでしょうか。
現時点での一つの答えとしては、「過去問である限り捨てない」ということしかないと私は考えています。
毎年新しい問題が生み続けられるので、将来に進むに従って覚えないといけないことは無限に増え続けてしまうのですが、少なくとも10年間の過去問はおさえないとしょうがないのかなと思います。
その上で、推測する力を身につけることが大事なのではないかなと。
これは基礎編と応用編の配分をどうするかにもかかっています。基礎編50%であれば捨てる問題は捨ててもいい。
しかし、物事は計算どおりにはいきません。基礎編を計算どおり50%とれたとして、応用編で70%とらなければいけないプレッシャーと戦う必要があります。
私の持論ですが、確実な合格を得るためには、基礎編60%、応用編70%が最低ラインだと考えています。目標は基礎編70%、応用編80%です。そのためには時間を湯水のように注いで基礎編に力を注いでいくというのが現在の私の考えです。
時間がない方にはお勧めできません。あとは「折れない心を身につける」ということなのですが、あくまで私の現在の考えを垂れ流しているだけということで、聞き流していただければ幸いです。
過去の関連問題
まとめ
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)では次のようなことが決められています。
定年は60才未満に設定できない
65才までなんらかの方法で雇用を継続させなければいけない(高齢者雇用確保措置)(義務)
65才定年
定年制の廃止
60才定年で、その後65才まで雇用継続(再雇用)
上記2ができている事業主は、さらに70才までなんらかの方法で就業ができるよう努めなければならない(高齢者就業確保措置)(努力義務)
70才までの定年引き上げ
定年制の廃止
定年の後70才まで雇用継続(再雇用)(他の事業主によるものを含む)
70才まで継続的に業務委託により報酬を支払う
70才まで継続的に社会貢献事業に従事させる
創業支援等措置
3の最後の2つ「業務委託」と「社会貢献事業」については「創業支援等措置」といいます。これを行うには、
計画を作成する(業務内容や支払額などを含む)
過半数の同意を得る(労働組合など)
計画を周知する
ことが必要です。(参考:000694688.pdf (mhlw.go.jp))
対象者
雇用確保(65才まで)の対象者は基本的に従業員全員ですが、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受け取ることができる年齢以上の人(男性なら1961年以前、女性なら1966年以前生まれの人)には、経過措置として基準を設けることができます。(参考:高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)|厚生労働省 (mhlw.go.jp))
就業確保(70才まで)は努力義務なのでまだ大丈夫なのですが、労使間で十分協議のうえ、客観的な基準を設けることが望ましいです。
対象者ひとつとっても、やたらと複雑で正確な理解を得るには時間がかかります。まったく…
というわけで、今日はここまで。
それではまた、FP~(@^^)/~~~