香りの沼 2
「桜の香り」というと、どんな匂いが思い浮かぶでしょうか。
春っぽいフローラル? お茶の混じったような香り?
実は、ほとんどの桜に香りはないそうです。あったとしても、感じられないほどごく僅かなものだとか。けれど香水屋さんへ行くと「桜の香り」とされた商品が、けっこう並べられていたりします。
「桜の香り」と聞いて、真っ先に私が思い浮かべるのは桜餅の匂いです。塩漬けにされた葉っぱの匂い。フローラル、なイメージではないかも。香水ショップにあるのはフローラルも多いですが、要するに想像上の「桜の香り」なんですね。色がピンクだったり、春っぽく調合されているのもそのせいなのでしょう。
「再現された香り」や「想像上の香り」についていえば、イチジクの香りも面白いです。イチジクの香りというと、どんな匂いが浮かぶでしょうか。果汁をかじったときの甘い香り? 真夏にイチジクの木の横を通り過ぎる際、鋭く香る葉の匂い? 土や花の匂いもあるみたいです。
フィグの香水は数多くあり、フィグ、香水、と検索すると本当にたくさんの商品がヒットします。私はフィグが好きですが、試香を繰り返すうちに愕然としました。
「どれも思っていたものと違う……」
問題はイチジクのどの部分を再現したかという点にありました。イチジクの実ならミルクのように甘い香り、葉なら青々しく土っぽい香りになります。全然違う。中にはイチジク丸ごと(実も花も葉も)全部入れときました! っていう香水もありました。想像上のイチジクとぴったりのフィグ香水を探すのはなかなか難しく。それでも何本か、これかもしれないと思うものが見つかったので、下記に(失敗例とともに)記してみたいと思います。
Fueguier(フエギア)
まさにイチジクの葉の香り。公式サイトには下記のようにあります。
最初につけたとき、実は「ちょっと無理かも」と思ったんですよね。私の中でフィグの香りというと、真夏の太陽の下ではじけるジューシーさ、みたいなイメージだったので。対して、こちらのフエギエールに明るさはありません。暗くしっとりしたイチジクの葉と土の香りです。ツイッターに自分の初見(初臭?)の感想が残っていたので、引っぱってきました。
公式説明にも「イチジクの木影でシエスタに入る」みたいなことが書かれているので、まるまんま、その説明通りの匂いです。つけてみて、1回目は香水との距離をはかりかねていました。微妙かも……と思っていたんですが、数日後に気がつくと、フエギエールばかりをつけている自分がいました。なんてことだ。何度も嗅ぐうちに好きになってしまったようです。雨の日や湿気の多い空気によく合うんですよね。ちょうどこの香りを試していた頃、雨が多かったせいかもしれません。気分的にも「全力キラキラハッピー!」な日じゃなくて、ちょっとダウナーで沈んでいて、ブルー入ってますなときに使いたい香りです。個人的な感想ですけど。
フエギアの香水って、くせが強いから最初はダメだなと思っても、何度か試すうちにどっぷりハマる系が多い気がします。フエギエールは100mlを買ってもいいな……ってほど気に入ってしまいました。
オ パフュメ フィグ(ロジェ・ガレ)
私がフィグの香りだと思っていたのはまさにこれでした。この香水が元々家にあって、他のフィグ香水の探索を始めました。もろもろ見る前にお値段を見てくださいよ。6,200円。なん、安ゥッ、安すぎない!? 100mlでこの値段はもはや寄付。5万どころか1万しない、だと……!? それでいいのかロジェ・ガレ。いや、だからこれで満足できるなら永遠にロジェ・ガレでいいじゃん、って話なんですけど。ともあれ、公式サイトの説明は下記です。
イチジクの実とグレープフルーツの香り。ちょっとお花もある気がします。こっちにも「木陰のシエスタ」ってあるけど、青みがないせいか、あんまり暗いイメージはないです。明るい地中海~! って感じの香りです。晴れわたった空に、いろんなお花が咲いている道を歩くみたいな気分になれます。
色々調べて知ったのですが、ロジェ・ガレのフィグ香水の調香師はフランシス・クルジャン氏なんですね。クルジャンといえば、私の中では「メゾン・フランシス・クルジャン」=お高い香水ブランドのイメージ。他にもゴルチエの「ル マル」の調香など、あちこちでお名前を見かける人です。いつかクルジャン氏の他の香水も試してみたいなぁ。オパフュメフィグはほんのりした香りなので、他の香水とあわせてもいい気がします。フローラル系も合いそうだし、甘い香りともマッチするかもですね。
FIG POUDRE(フィグポードレ) YOUFIRST
※公式サイトがわからず、香水のサブスク「カラリア」さんのリンクを貼っています。
イチジクと金木犀の香り、というおしゃれな触れこみに引かれ試しました。ちょっと合わなかった。もったりと甘い。吹きつけた瞬間「うっ」ってなるほど強烈な匂いがします(これがフィグ?)時間をおいて甘くなり、金木犀の香りもほんのりと。何回やっても合わなかったので、手ではなく腰あたりにつけ、距離をとって試してみました。すると、どうでしょう。これは……ママンの香り! 想像上のお母上の香りがする。マダムの香り、ではなく、ばぶみを感じる。甘えたくなるような感じの女性の匂い。だから……男性受けはいいのかもしれません。これをつけていれば、ばぶみを感じたい男性が寄ってきて……いや、キモいな。YOUFIRSTはたしか女性の方(元哲学者?)が作られていて、リラックスできるような香りになっている、と聞いた気がしましたが、まあ、人によってリラックスできる香りは違うよなぁ、と。勝手なイメージですが、商社勤めの綺麗めお姉さんが、袖なしニットの服でつけていそうな香りでした。
香水について書くと本当にきりがなくなりそうなので、今日はこの辺にしておきます。最後に、最近の創作状況も少々。9月やることと、10月やることについて。
◆9月やること
・コバルト短編:10月分1本
・ノベル大賞長編:残推敲 1万字。 clear!
・日本ファンタジーノベル大賞:完成推敲1本
……終わりませんでした。ファンノベさん用の推敲がね。20万字近くあるほうからなぜか始めてしまったため、直しても延々と直しがあるみたいな状況になっています。とはいえ、もう10月なので次の目標を。
◆10月やること
・ノベル大賞長編:7割作成1本、完成推敲1本
・日本ファンタジーノベル大賞:完成推敲1本
・飽きたらコバルト短編:2月分
富士見Lさん用にしようと思っていた7割作成済分を、ノベル大賞へ回すことにしました。こんなに推敲ばっかりあって絶対に飽きるので、合間にプロット練ったり短編書いたりしていきたいです。そんな感じでした。それでは~。