ゆれる思い
特別支援学校の高等部に通う次男は、重度知的障害のある自閉症で母子分離不安が強く、昨年の初夏からずっと母子同伴登下校(授業参観付き)をしている。
強度行動障害もあり、自分の想像通りに物事がはこばなかったり、苦手な音声を聞いてパニックになったりすると、床や壁に額や後頭部を打ち付けたり私にしがみついて頭や背中に頭突きしたり髪を引っ張ったりする。
次男の、パニックになった時の行動が学校からも福祉の現場からも問題とされ、次男を私から距離を取らせるレスパイト入院や、(空きがあればだが)施設への入所を勧められている。
今年に入って次男のかかりつけの病院を変えた。
処方薬についても様子を見ながら調整するために、ほぼ毎週、診察に通っている。
初めは病院の駐車場で車から降りようとしなかった次男だが、だんだん慣れてきたのか到着するとスッと車から降りるようになった。
薬の調整の成果が出てきたのか、次男が癇癪を起こしても以前ほど頭突きが強くなくなったように感じる。
もしかして、私が次男の頭突きに慣れてきて痛さを感じづらくなっているのかもしれないが。
とはいえ、次男の突発的な行動や癇癪、過度な母親依存でストレスがたまるのも事実。
時々胸痛に襲われることもある。
いま倒れている場合ではない。倒れる前に次男から離れなければ。
そんな状況が続いていたが、最近になって次男のレスパイト入院が現実的になってきた。
もうすぐ病室に空きが出るという。
入院した後は、福祉相談員さんが次男が入所可能な施設を本格的に探してくれるという。
入院から施設入所への流れは、間に自宅に帰るとかえって母親依存の症状が強く出ることを避けるため。私の負担を減らしてくれようと考えてくれているのだ。
我が家には私だけでなくじーちゃんやとーちゃんもいるが、じーちゃんは90歳を超え次男につつかれて転んでしまう状態だし、とーちゃんは右手脚にハンデがある他何とも相性が悪い。
次男ととーちゃんのタイミングが合わないのか何なのか、次男がとーちゃんの嫌がることばかりしてしまい、それに対してとーちゃんが激怒して次男を怒鳴ることが多いのだ。
もし私が倒れて入院するようなことがあったら、この二人が次男の面倒を適切に見ることは不可能だろう。
もちろん、次男の世話のために長男を呼び寄せるなんてできない。しちゃいけない。
次男の入院や施設入所が具体的になってきて、ホッとする一方でこれでいいのかとも悩む。
次男を手元から話すことに躊躇もある。今更だけど。
例えば次男がとてもいい子にしているときは、「入院させる必要はないかも」と思うし、激しく頭突きされている最中には、「もう少しの我慢でこの苦しみから解放される…」とも思う。
思いはゆれる。