ゴルフ、練習嫌いは『タテ振り』だ
1 ゴルフを始めた頃は怖いものなし。でも・・・
ゴルフを始めた頃は、何も考えずに、クラブを振り回していたものです。 ミスショットだらけ。それでも、偶然ミラクルショットがでて、有頂天になったりします。
幼いうちからゴルフを始めれば、うまい人のスィングを真似して、そこそこ打つかもしれません。
ところが二十歳を境目にして、私にこのマネする本能がなくなったように思えます。それからは、どんなスポーツも、理屈で考えすぎて、ものにならなくなりました。スキーしかり、テニスも、そして、30歳も半ばで始めたゴルフも。
最も、どれも「練習せずにうまくなろう」という安易な取り組み姿勢に問題はありました。
『仕事を言い訳にできる年齢』でスポーツを始めると、なかなか上達しませんね。
2 三つのタイプに分かれる
年取ってゴルフを始めた方に、三つのタイプがあるようです。
① 自己流を貫く努力のタイプ
プロのレッスンは受けない。他人のアドバイスには一切耳を貸さない。うまい人のスィングも、観察せず自分は自分と割り切っている。
理論には見向きもせず、ひたすらに自分なりの素振りをして、打ちっぱなしの練習場でたくさんのボールを打ちまくる。
信念の人ですね。確固たる人生観の持つ主です。苦労人かもしれません。
理論より実践。
これで、なんとか「自分流のスィング」を作ってしまう。練習場で、個性的なスィングなのに、とてつもないビッグボールを打つ人ですね。
こういうタイプは、正直言って尊敬してしまいます。
「人生もゴルフも、我が道を行く」というタイプですね。
② プロや先輩のアドバイスに素直に従うタイプ
ゴルフを始めたら、すぐにプロに習い、正しいクラブの握り方などを一つ一つ学んでいく。レギュラー教室に通い、プロとレッスン生とも親しくなり、個人レッスンも受けている。
自宅に帰っても、教えられたことの復習を怠らない。
こうした真摯な姿勢、素直な性格、師の教えを絶対とする道。
これが王道で、近道のように思えるのです。きっと①以上に②のタイプは、伸びることでしょう。
③ 練習しないで、うまくなりたいタイプ
私はこのタイプですね。
残念ながら、怠け者で、移り気で、スィングを自分のアイデアでいじくってしまうタイプです。
レッスンプロに教えてもらっても、自分本位に変えてしまい身に付かず、練習もしないで「レッスン書ばかり読むだけ」
これで上達しようという、超安易なタイプです。
その結果、頭でっかちになり、毎回違うスィングを試しては、ストレスの塊に。悩むタイプがこれです。
理論から入って理論に終わる。
こんなタイプには、「悩み脱出の方法」が、どうしても必要です。
では、始まり、始まり。
3 学ぶことに目覚めて壁にぶつかる。
ゴルフ理論を本で学び始めると、レッスンプロの指導より、ゴルフ雑誌、ゴルフ番組、ゴルフビデオ、そして、ゴルフのレッスン書を買いまくります。
理論から入りたがるタイプは、スィングの本質はなんぞやとノートを作り、ファイルし、パソコンに自分のアイデアを入力したりします。
議論だけなら負けません。
でも理論と自分のスィングは、自分の動画を撮ると、全然違うわけです。 愕然としますね。自分のスィングに。
自分が実行できていないのに、理論ばかりに熱中して、時々ボールを打っては、「どうしてボールがいうことをきかないんだ」と悩むわけです。
ボールを打つより、しばらく頭を冷やしたほうが、健康に良いかもしれません。
冷静になり、本来の自分を取り戻そう。しばらくゴルフをやめているうちに、ゴルフでなくコロナが流行って、さらに練習を自粛するようになったりして。
でも、この自問自答の時期を、無駄にはしたくないですよね。
そこで、冷えた頭で理論を整理して分析していたら、なんとキーワードが浮かんできました。
4 二つの理論
キーワードとは、「タテ振り」「ヨコ振り」、これです。
そうだ。ゴルフには、主に二つの理論がある。
「タテ振り理論」
「ヨコ振り理論」
「タテ振り理論」は、両腕の三角形をできるだけ崩さず、腕は上下に動かし、体は横に回転する。女子プロの多くは、高いトップのスィングで、この理論で振っているように見えます。
わたしは湯原信光プロの本とビデオに熱中した時期があります。このままこの道を進めばいいのに、好奇心で別の理論に首をっっこみました。
それが「ヨコ振り理論」です。
「ヨコ振り理論」は背骨軸に直角にスィングしようというものです。
マイク小西氏の『ボディーターンバイブル』にはまり、こちらも本とビデオを買いまくり、ご本人の指導も1回だけ直接受けました。
お弟子さんにも、質問したこともあります。
女子プロでは、渋野日奈子プロが、どうもこの横振りの典型に思われます。
残念ながら、「ヨコ振り理論」はものになりませんでした。飛ぶときは飛ぶのですが、乱れるときは乱れます。
クラブを開いて閉じるため、まっすぐ行く自信がもてませんでした。
結局、スィングが分からなくなると、「タテ振り理論」に戻りました。
気が付いたことは、多くのレッスン書、雑誌は、両方の理論の合併が多いのですね。
「タテ振りヨコ振りの混合理論」略して「混合理論」
多くの理論はこの混合理論なんですね。
律儀にシンプルな理論を求めると、逆に「混合理論」では悩むことになるようです。
5 混合理論の難しさ
雑誌や書籍、ビデオでは、「混合理論」のタテとヨコの要素を独自の割合で組み合わせて体系化することで、様々なスィング理論が発生しています。
昔から『〇〇打法』なんて銘打つパターンがこれですね。
素人ゴルファーを悩ませるのは、実にこの混合理論の複雑さ、ではないでしょうか。
このために、スィング理論にこだわりだすと、泥沼にはまって、出られなくなったりするわけです。
「混合型の理論」は、かの有名なレッドベター氏の理論書が典型のように思えます。タテとヨコの要素を組み合わせて、テークバックで、クラブを動かす角度ごとに、ヨコ、タテと解説していく印象でした。
そもそもゴルフ雑誌は、様々な読者を想定しているので、一つの理論に絞っては編集されていません。ページごとに異なる理論の記事が、ワンポイントに絞られて、部分的にまとめられています。
素人ゴルファーとしては、記事ごとに、三つの理論に分けて受け止めないと整理がつきません。
結局、私などは身に付かないことになります。
特に「混合理論」は、理屈より形から入って、自分に合うか考えるしかないでしょう。
理屈から入ると、悩みやすいのが「混合理論」です。
6 それぞれの理論の特徴
だからこそ、それぞれの理論の特徴を把握しておれば、随分と頭の中が整理されると考えます。
①「タテ振り理論」の特徴
体は起こし気味。体の回転に対して、両腕は立て中心に動きます。
剣道で上段に振り上げて、まっすぐ振り下ろす、この面を打つ動作を基本とする。これに前傾した上体の回転を重ね合わせます。
クラブはスィングプレーン上、開いたり閉じたりがほとんどなくなり、ボールを長いゾーンで捉えるため、方向性が高まるのがメリットです。
これは高くグリップを上げていくため、スィングプレーンが地面に対して起き上がっているからです。
小柄で非力な女子プロは、長いシャフトのクラブを使い、この方法でボールを飛ばしているように見えます。
両腕の三角形を維持する。体はヨコ、腕はタテ。
野球のバットを振り慣れている人には、違和感があるでしょう。これで飛ぶのかと。
飛距離は、テークバックで右後方、天高くグリップを突き上げ、体のねじりと引き延ばしの極限で、一気に打ち下ろす。切り返しのコックと体の回転、左の壁、『引力』により、飛ばすのがこのスィングです。
②「ヨコ振り理論」の特徴
タテ振りと全く別です。背骨に対して、水平回転ししようとするものです。両腕は回転すれど、剣道の上から面を打つような上下の動きはありません。
野球のバットスィングで、真ん中の高さのボールを、センターに打ち返す。足腰を使って、上体の回転の延長でボールを捉えます。
スィングプレーンは、ちょうで胴体の周りにフラフープをぶら下げていると思えばわかりやすいでしょう。このまま上体を深く曲げていきます。
フラフープが設置するところがアイアンのインパクト。
テークバックの際に、クラブを90度開き両肩の横にトップを作り、ダウンで右肘が脇腹に押し込まれ、インパクトで90度開いたフェースを180度閉じる。この一瞬でボールを捉えるのです。
当たればぶっ飛び、スピンも強烈。
でも、インパクトは点になります。
外れれば、フックもスライスも出るでしょう。
お相撲さんのようにお腹が出ていたら、無理ですね。
③ 「混合理論」の特徴
「タテ振り」「ヨコ振り」の良いところを混合させようとしたのが「混合理論」です。
ゴルフならではの理論ですが、様々な体格や運動能力の違い、多様なクラブや芝のライに対応しやすいということで、混合理論が展開しているように思えます。
タテとヨコの組み合わせ方は、理論により色々です。
ただ、タテとヨコの理論を知って受け止めるのと、知らずに学ぶのとでは、悩みの度合いが違うのではないでしょうか。
両方知って、自分なりに整理して、よしこれを学ぼうと思えないと、身に付かなくなる可能性があります。
この理論で、どちらの要素が強いのか、例を上げます。
グリップがトップに入る時、左手が上というなら「ヨコ振り」理論が強く右手が上というなら「タテ振り」が強いと思います。
よくトップの切り返しはハーフスィングのようにコンパクトというなら「タテ振り」系でしょうし、上から突くなんというのも、「タテ振り」系でしょう。
右手で、トップはお盆を持つようにして、グリップを握った左手を乗せるのであれば、「ヨコ振り」の要素が強いわけです。
7 悩みからの解放 結論
自分はどの理論で行くのか。自分に合った理論を決めることで、混乱と悩みから解放されます。
私の結論としては、シンプルなのは「タテ振り理論」だと思います。
「ヨコ振り理論」は前傾が深い人が、向いているかもしれません。
人により事情は様々なので、絶対というのはないでしょう。
私の場合、「タテ振り理論」だと、自然にトップが決まります。上体が起きているため、テークバックではボールは目の隅で見づらいです。しかし、スィング軌道は、庭の素振りでは、安定していました。
「ヨコ振り理論」の魔力は、「無意識に軽く振ったら、突然50ヤード以上飛距離が伸びた」という伝説です。自分も9番アイアンやピッチングウエッジで、とんでもないビッグボールが出たことがありました。
でもそれ以上の長さのシャフトでは、うまくいきません。
前出のマイク小西氏のお弟子さんに「長尺ドライバーは、前傾45度で打てますか」と質問したことがあります。
お弟子さんからは「無理ですね」と回答をいただきました。
それに「ヨコ振り理論」は、相当な練習が必要と考えます。練習嫌いの私には無理でした。
「混合理論」は、色々あって、複雑で、私は避けることにしました。
というわけで、理論だけの練習嫌いの私でも、なんとかいけそうなのが、「タテ振り理論」いう結論に達しました。
今、湯原信光プロの古い本を取り出して、再読している次第です。
ゴルフは自分に合ったスィングは自分で見つけるしかありません。ただ、その手順として、アプローチ、ショートアイアンのコントロールショットから入るとよいと思います。
ボールが同じ位置に落ちるようになったら、徐々にフルスィングに近づけていく。番手を上げていく。この繰り返しでしょう。
ご健闘をお祈りします。