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#2 新センサって称賛すべきこと?XRの普及に本当に大切なものってなんだろう。

新しいiPad Proが発売されましたね!

XR界隈にとって、iPad Proに搭載されたLiDARスキャナはとても魅力的です。

NASAでも利用予定のレーザー技術を使って、空間のデプスマップを暗闇の中でも正確に捉えることができます。

デプスマップ専用のセンサなので処理がとても早く、今までAR Kitでは難しかった隠面消去も行ってくれるなどAR体験をよりリッチにしてくれます。

すごく良いのですが...
すごく良いのですが...

これ、ハードルとても高くありません?

今の所LiDARスキャナを搭載しているのは新しいiPad Proだけ。
次出るiPhoneにも搭載されるとしても、きっとiPhone 12 Proにあたるものでしょう。

XR界隈の人は、XRが普及した世界を夢見ているわけですが、専用のパーツが沢山必要なのであればそれは普及しません。

XR技術は、世の中を良くする潜在能力を持っています。
それを発揮するには、普及することが大切です。

例えばインドの女性の間ではGoogle翻訳とAR、OCR(文字認識)、TTS(テキスト読み上げ)を応用した技術が、彼女らの生活を支えています。

インドでは女性の識字率がとても低いことが知られています。教育を受けることができなかったため、母国語ですら読むことができません。

そんな中で市場の料金表や、ATMの操作、食品の説明表示などを理解する必要に日々迫られています。

スマホで調べるにしても、読み書きができないということは、キーボードでの入力はもちろんのこと、音声入力もできないのです。

そこで、Googleが行っているのがAR x OCR x TTS x Translateの活用です。

カメラで文字をOCR技術によって読み取り、認識した部分を、AR技術を使ってカメラ映像にピックアップして表示します。読みたい部分をタップすると、TTS技術によって音声読み上げで内容を伝えるのです。インドは様々な言語が混じり合った国ですので、必要に応じて翻訳も行います。

この技術によって生活が支えられているのです。

このように、XR技術は立場の弱い人を助け、社会を良くしています。

ここでポイントなのは、インドのような貧民が多い国にiPhoneなどのセンサーをモリモリに積んだデバイスが普及するかです。

日本などは比較的富裕国なので、iPhoneなどの高価なデバイスでも売れます。しかしこれが貧富の差が激しいアメリカやインドなどの国になってみれば圧倒的Androidのほうが多いわけですね。

富裕国向けのスマホは、複数のカメラが付いていたり顔認証、深度センサーなどがついているのに対して、インドなどの比較的低所得な国向けのスマホは、カメラはおもちゃ程度のものが一つついているだけなことが殆どです。


これを踏まえた上で、みなさんに問います。
XRの普及にセンサの高度化は必要ですか?


私は、必要ないと思います。

それよりも重要なのは、少ないセンサで高いXR体験を実現するアルゴリズムの実現です。

実際、Appleとは対極的にGoogleは確実にこの道を歩んでいます。

この動画は、GoogleがAR Core向けに開発したDepth APIという技術です。

この技術は、iPhoneのように複数のカメラを必要とせず、一つのレンズのみでデプスマップを取得することをAIを用いたアルゴリズムによって実現しています。

これであれば、既に今世に出回っている多くのスマホでデプスマップを利用できるようになります。

Appleがセンサの追加によって成し遂げたことを、Googleは今あるセンサで成し遂げているわけです。

Googleがこういった道を歩む背景には、Android OSとスマホ本体を作る企業が別という理由があるのはもちろんですが、この成果はもっと称賛されるべきだと思います。


XRが普及することが肝心なのに、普及しにくくしては意味がありません。私達は、Googleのような普及しやすいXRの技術開発を行っているチームをもっと称賛すべきだと思いませんか? 


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