過去作品①
健やかな獣臭ある夏野かな
サングラス外す巡査の津軽弁
夏帽子持つ女優ゐる警察署
ふくよかな風創りたる団扇かな
焼酎の生まる杜氏の上腕筋
クローンのような家家炎天下
三線の響く白砂や夏の月
インターホン鳴りて素麺のびてをり
溶鉄のやうな運河の暑さかな
削氷に触れて削氷雪崩をり
何人モ加熱ノ自由ヲ保障スル
光死ぬとき死ぬ光放ちけり
二、三人遠く眺める塾や秋
予告なく担任変はる休暇明
ウルトラライトダウン明るし九月尽
ホノルルの五世の踊弾みけり
秋天の底突き破るトライかな
空高し吉見百穴工廠跡
木犀や養生テープ剥す窓
アナログ放送のボタン蚯蚓鳴く
戦場に林檎が芯のままでゐる
空間に檸檬 重力の軋み
石室の彩色美しや竈馬
初冬や左の陰嚢は温い
森の息やはらかく抱き木の葉散る
オーロラのささめく空やボアミトン
ピアニカのチューブ真白き聖夜かな
部室の戸粛として閉ぢ大晦日
月/無反応/生 命/無限装置
血液洗浄/ (蚊) /わたし → わたし
Réchauffez le ressentiment
et la Terre colle les continents
Viscosity index of the cream
to bind up a boy and a girl
Nonviolenza
induce la reazione nucleare
di limone
Rayons de fin d'été,
la corde restée
sur la crevasse
(2019年の作品群)