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秋草2025年1月号を読む②
引き続き秋草2025年1月号を読んでいきます。今月号は、昨年応募されていた秋草俳句賞の受賞作品が掲載されていました。それらの作品に触れていこうと思います。
秋草俳句賞作品で印象に残った句
俳句賞
加藤綾那「浮力」
頬杖を付けば曖昧水中花
茄子といふきれいな闇をぶら下げる
秋灯干し椎茸にある浮力
准賞
舘野まひろ「てのひら」
詩の匂ひ版画の匂ひ雪間草
芹の水みな愛されてみな独り
宮野しゆん「水着の子」
樹海より女出て来る薄暑かな
囮鮎水に還りたがつてゐる
入賞
松田晴貴 「すとんと」
夏鴨の微笑むやうに目を閉ぢぬ
水上ゆめ「鉄涼し」
八月の映写を過る大き影
鬼頭孝幸「風呂敷」
柿を食ひ人に酔はねばならぬかな
山口遼也「月に暈」
蟬つけて菌もつけて櫻の木
常原拓「虜」
萍に重なる泡寄る泡
小濱准子「傷」
さくらんぼ食べたいし絵も描きたいし
佳作
藤井万里「水嵩」
虚子の忌の牛乳瓶の厚みかな
村上瑠璃甫「眠たき耳」
尺取虫なんにも用のなき午後の
高橋真美「悪筆」
その肩のうすさを薔薇に愛される
小鳥遊五月「衣」
子規の忌の我が身に布団凹みたる
丸山せんかう「八頭」
青芭蕉もの書くほかは自堕落に
小山尚子「つれづれ」
白玉やがんばりすぎるなと云はれ
姫野みさき「怪獣になるのをやめて」
怪獣になるのをやめて柿を剥く
中村遥「羽音」
にはとりの足跡ふかき木賊かな
普段の「秋草集」とはまた違う視点からの句も見られて、この作家さんはこういう句もつくられるのかと改めて新鮮な気持ちで句群に触れていました。
今回俳句賞を受賞された加藤綾那さんは、最初から最後までトーンが一貫していて、昭男先生が仰っていた「綾那ワールド」にどっぷりと浸かれる、魅力的な句群でした。ぜひ機会があれば、全編読んでほしいなあと思います。
加藤綾那さん、受賞おめでとうございます。