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秋草2024年8月号を読む

心に残った15句選

滴りのふくらみきれぬところかな 山口昭男
拭くやうに水底ありく山椒魚 松田晴貴
草矢うつ恋のくちびる乾きをり 土井一子
こんなにもつまらぬ色に藺の花は 藤井万里
マトリョシカ次々仕舞ふ暑さかな 野名紅里
たんぽぽの絮吹く息を残しけり 栗原和子
格子戸のはじめ重たき鰻かな 橋本小たか
音読に音色生まるる朧月 西江友里
あしか舎に鳥紛れゐるこどもの日 東野礼豊
沢蟹のなつかしき色してゐたる 対中いずみ
いちはつを子規の目で見る日の来たる 小泉和貴子
この指ならばとががんぼ摑みたる 村上瑠璃甫
鏡台のくらさに牡丹ひらききる 高橋真美
薔薇一輪医者は善人ともちがふ 竹中健人
音のまた変はりし噴水だけの昼 三輪小春

印象的だった特集

秋草遠近Ⅱ 木村定生「買物吟行」

木村定生さんによる句作の現場がリアルにつたわってくる特集。諸般の事情により、句会への参加がなかなか難しい定生さんが、普段の生活の中で、どのように句を作っていらっしゃるのか。1日の行動を詳らかに伝えながら、句がだんだんと結実していく様子がわかり、とても参考になりました。
定生さんによれば、頭を「俳句モード」にする(このチューンナップのあり方も特集では書かれていますが、ここでは割愛します。)と、あらゆるものが俳句の状態で迫ってくるので、それをそのまま書き留めていくとのこと。
ベテラン俳人さんの作句の現場を知ることはなかなかなく、今後もこの特集を読めたらと思っています。

追記
来年1月より、山口・徳山で「つゆくさ句会」が開催されることになりました。記念すべき第一回目は、1月13日(月・祝)です。
秋草の句会でもっとも西で開催される句会です。九州方面からも参加しやすい句会かと思いますので、ご興味のある方は是非ご連絡ください。


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