【書評】仕事を舐めるな。『なぜ、この人の周りに人が集まるのか―人望力についての実感的研究』

「好きなことをして生きていく。」「協調性なんかいらない。」という書物が近年非常に多くなってます、その考え方に対して、私はたまにカウンターとなる反対意見も聞きたくなります。

“自分らしく”とは、具体的に何でしょうか?職場に“素”で行くこと、それは未熟な自分の人格を周囲に押し付けることであり周囲に不快感を与えることではないでしょうか?未熟なエゴの排泄物を誰かが拭いてくれるという甘えが前提ならば「好きなことをしていきていく」とは、「周囲への配慮を怠り好き勝手すること」になってしまいます。

満員電車で肩肘を突き出し新聞を広げる人、泥酔して席を3席分占領する人、あなたの“自分らしさ”がその部類のものではないか確認しなければなりません。『部長 島耕作』では「きれいごとではつとまらない 販売の第一線で働くには今までの人格を変えなければいけない」とあり、もしかすると他人から信頼されるようになるには時には自分が苦手なこともする必要があるかもしれません。

『人生の勝算』で前田裕二氏は証券会社での先輩、藤井さんに「前田よ、仕事を舐めるな。」と言われます。「株の勉強して投資判断するのが仕事ではない。仕事はゲームで勝つためのルールがあり、お客さんとコミュニケーションをとらなければ仕事は始まらない。お前のその高いプライドはコミュニケーションの邪魔になる。」と言われます。そこから前田氏はプライドを捨てて飲み会で苦手なコールをし、裸同然でアイドルソングを踊ったりしました。その後、課題だった電話営業も非常にうまくいったそうです。

あなたの自分らしくとは何でしょうか?素のままで生きることと周りに人間が集まるためのルールを知りそれを遂行すること、どちらが仕事で上手くいくでしょうか?

あなたは、「仕事を舐めるな。」と言われてませんか? ちっぽけなプライドを守っていませんか?

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