【R6.7.13】函館2歳Sの予想

【トリッキーな条件で行われる2歳重賞】

 2歳世代の最初の重賞、早い時期にデビューした馬たちが最終週の函館1200とかなりトリッキーな条件設定でぶつかる。
 函館1200はスタートから3コーナーまでの入りが500m近く、コースの半分近い距離を緩く坂を上りながらのポジション争い。そのまま4コーナーの入りまでを上り続けてラスト2F、下りと平坦気味の直線での末脚勝負。
 逃げ先行馬が多いメンバー構成だとどうしても前半はハイペースになりやすく、上り坂でのポジション争いになるので体力の完成度が低いこの時期の2歳馬が前から押し切るには厳しい条件ではあるものの、後方から差そうとしても直線は短く、追走するだけでも厳しいペースになってしまうと後方勢も足が溜まりづらい。
 渋った馬場で行われたかなりスタミナを求められるここ2年でも逃げた馬はどちらも馬券内に残しており、良馬場だと逃げ馬ではなく、2.3番手で進めた馬が良く粘り込んでいる。
 馬券を考える上での定石は、前目で余裕をもって進められそうな馬、前を取り切らなくても末脚を伸ばして勝ち負けを狙えそうな馬を狙うべきかと思う。

【簡単に傾向で絞り込む】

 傾向として、初戦の勝ち時計はそこまで結果に直結しておらず、好成績なパターンは勝ったレースで次のどちらかに該当している馬。
・函館コースで4角通過順位が先頭ではなく、差して勝利した馬。
(今年の該当馬)
 エメラヴィ、カルプスペルシュ、シュードタキライト、チギリ、ヤンキーバローズ
・7枠よりも外から逃げて勝利している馬
(今年の該当馬)
 リリーフィールド

 この2パターンに当てはまる馬の成績が良くなるのはコースの特徴からも理解しやすく、前者このレースに至るまでに先行して上がりを使うという経験が出来ており、函館2歳で求められる脚質にぴったり。
 後者は激しい先行争いを外から枠並びのディスアドバンテージを跳ね返して前を取り切るスピード能力の高さを見せており、ハナを取り切れなかったとしても余裕をもって追走することが可能。特に芝ダート問わず、1000m戦で外からハナを取り切っている場合は、直線までの入りが短いコース設定でも外からハナを取り切るだけのスタートセンスの良さも備えているので更に高く評価できる。

・頭で狙うべきは継続騎乗
 過去20年を遡っても乗り替わりで勝利しているのはたったの2頭のみ。基本的には継続騎乗の馬を狙うべき。
 その2頭についても、前走で乗っていた騎手が函館2歳Sで騎乗していないパターンであり、前走のジョッキーが函館2歳Sで他の馬に乗っているパターンでは勝ち切れていない。
 今回乗り替わりで、前走の騎手が別の馬に乗っているのは
 エンドレスサマー、チギリ、モズナナスター、シュードタキライト
 の4頭、ここは頭では狙いづらい。

・前走が函館以外
 このコース自体がトリッキーなコースということもあり、2歳のこの時期でコース経験がない馬はなかなか厳しい条件。実際に成績も悪く、昨年もバスターコールが東京で強い勝ち方をして出走、2人気を背負ったが馬券外。
 サトノカルナバル、ラインパシオンの2頭が今年は前走函館以外だが、積極的には狙いづらい。

・8枠の差馬
 ここ3年間は8枠の馬が勝利しているわけですが、差して勝ったここ2年はイン前が苦しい渋った馬場での開催であり、そういう条件ならば過去を見ても外からでも差届いているが、良馬場だと8枠の馬は前目につけていないと馬券内には届いていない。
 今年の8枠はエメラヴィとヤンキーバローズ、どちらも先行差しで函館を勝利した継続騎乗と他の条件は満たしているだけに怖いところではあるが、ここからは買いづらい。

 簡単ではありますが、ここまでの傾向から考えると今年勝利を狙えそうなのは2頭で、リリーフィールドとカルプスペルシュのみ。
 果たして今年も傾向通りに決まるのか。

【予想印】

◎10カルプスペルシュ
〇3リリーフィールド
▲2チギリ
△9ヴーレヴー
 これで行きたいと思います。

【各馬の評価】

◎カルプスペルシュ
 本命はリリーフィールドとの2択でしたがこっちで。
 主な理由としては新馬戦の内容が目立つことと枠並び的にこちらの方が恵まれそうかなという2点。
 新馬戦ではスタートの反応自体は良かったが、外によれるような形で少しバランスを崩してインの2列目に。
 そこからは問題なく追走して直線では末脚を伸ばそうとするも緩めの流れだったことあり前も手ごたえ良く進路は簡単に開かず。苦しいところから自分で外のラパンチュールを押しのける形で進路を確保、ゴール前でしっかり差し切って勝利は強い。
 時計的にもかなり目立つところであり、上がり3Fは33.8。レースラップが11.6-11.0-11.5であり直線を向いてからの加速が凄まじく坂を下りながらのコーナリングで11秒フラットはかなりコース適正が無いとできない。
 カルプスペルシュ自身の上りが33.8、レース映像を見る限り残り2F3Fでは前との距離に変化はあまり見られないので単純に考えれば11.6-11.0-11.2で33.8。ラスト1Fで進路をこじ開けながら11.2はかなり評価できる。
 更に過去を遡っても函館の新馬戦を上がり33秒台で勝利して函館2歳Sに出走してきている馬はおらず、前走の上りは早い方が成績もよい傾向にあるので今年のメンバー内では抜けた上がりを使ってきたこの馬は期待できる。
 枠並びも良く、前走までに目立つテンの脚を見せてきた馬が割と内目の枠に固まったので、外目の偶数枠である6枠10番からであれば、そのポジション争いに巻き込まれずに自分のペースで中団の動きやすい位置を取りに行ける。あまり揉まれずに追走して、直線前が苦しくなったところを前走並とは行かずとも上位の末脚を見せてくれれば十分勝ち負けを狙える。

〇リリーフィールド
 もう少し中目の枠だったら本命にしたかったがちょっと内すぎる。すぐ隣に新人騎手騎乗のヒデノブルースカイ、そのもう一つ外に初戦で好スタートを決めたニシノラヴァンダが入ったのも嬉しくないところで、その2頭が被せてでも強引に前に行こうとした場合、不本意な形でポジションを落とす可能性も。
 それを差し引いても初戦の内容は強く、外から楽な感じでハナを取り切り、コーナーでは鞍上の指示に従って少し息を入れて直線は突き放す一方の59.0。2歳新馬にしてはかなり優秀なタイム。
 小柄なのもあって仕上がりも早く、今回のメンバーではトモのボリュームや完成度では目を引く。内からでもスタートでは優位に立てそうなので、内のエンドレスサマーを制してのハナ、行かせての2番手とかになると馬券内の可能性はかなり高まりそう。
 武騎手継続騎乗も良く、調教も良く動けている。ここは順当に高評価。

▲チギリ
 こちらもちょっと内過ぎるがデビューからの2走はどちらも内容として悪くない。
 前走はスタートよく飛び出した逃げ馬の外にぴったりつけて、コーナーでは楽に先頭に、そのまま後ろを寄せ付けずの0.3秒差快勝。初戦はスタートを決めたヴーレヴーの行った行ったで勝ち負けには絡めずも、2番手争いはしっかり制しており力を見せた。走破時計はどっちも9秒台であり評価できるし、差の経験も〇。
 今回やや内過ぎるのは不安ではあるが、周りが分かりやすく前に行きたい馬ばかりなので、内の好位は取りやすく、血統的にも良馬場であれば多少荒れた芝は苦にならない。レッドファルクスにフジキセキとスタミナが求められるスプリント向きの血統で仕上がりも早く、血統構成だけ見れば今回の出走馬で最も向いていそうなのはこの馬。
 過去の傾向などから頭では狙いづらいものの、人気薄からならば積極的に馬券内には抑えておきたい一頭。

△ヴーレヴー
 過去の傾向からはあまり評価しづらいが、ハマれば頭までありそう。
 血統的にはサトノクラウン×マンハッタンカフェと父母父はタスティエーラと同じ。馬体や調教の動きを見てもスプリンターというよりはもう少し長めの距離、1600~2000くらいのほうがハマるんじゃないかなという感じがするが、能力とレースセンスの良さで初戦は快勝。
 スタート自体はそこまで早くなかったものの促して2F目10.5はかなり早く、前半で突き放したままそのリードを後ろに詰めさせず0.2差の1.09.2は今回のメンバーの中で最も早い。
 今回は枠並び的に外から強引に前を取りに行くのは厳しそうではあるが、逆に少し溜めながら追走できれば差でも競馬ができそうなセンスとバランスの良さを感じる。血統的にも前走比較で溜められるのはかなり良く、浜中騎手がどう乗るか次第ではありますが、前走はハイペースで逃げ切り、2走目で控えて上がり最速で勝利というのもあり得そう。
 血統、馬体的にもう少し長めの方がよさそうな点からも、メンバーでの比較でスタミナに余裕がありそうで、そこでも有利を取れそう。

(無印だが抑え)
・エメラヴィ、ヤンキーバローズ
 8枠じゃなければ印を回していた。外すぎるので頭までは厳しいと思うが馬券内は十分ありえる。どちらも調教の動きよし。

・シュードタキライト
 勝ち上がりに3戦を要したが中一週でも調教の動きは元気そう。ウインブライト産駒、ステイゴールド系ということで、前走比較で追走スピードが緩んで時計がかかった方が能力を発揮しやすい。これまで悉くハイペース戦を走っており、それを前から競馬していた。前走はペース慣れで前から上がり最速で勝利、今回は枠なりにこれまでよりポジションを下げることになれば前走同様上がりを発揮することに期待が持てる。開催が進んで馬場が荒れているのも悪くなく、人気が無いのであれば抑えて配当が跳ねることに期待。

・サトノカルナバル
 前走圧勝、強い勝ち方ではあるが非函館組の人気馬は軽視が定石なのが函館2歳S、血統的にもキタサンブラックに母父Numerousと早い時期からの完成度や追走力に期待できそうな組み合わせで、2歳時期からマイル戦で活躍できそうとPOGでも指名したがまさか函館2歳とは…
 前につけて長くいい脚を使うのがベストだと思うので前走の競馬を見て少し引き気味に構えると厳しいが、良い枠も取れたので積極的に前付しようと促していけば、この割り引きローテでも能力の違いで…ということはありそう。適性は悪くない。

(今回は軽視)
・エンドレスサマー
 初戦快勝である程度人気になりそうだが、乗り替わりはマイナス。最内からの逃げ狙いというのもかなりピンパーで、ビアンフェ並みのスピード能力とスプリント適性が無ければ厳しい。エンドレスサマーがビアンフェ級のスピード馬であればあっさりもあり得るかもしれないが、同じタイプには見えず、前走あれだけ揉まれずの逃げで快走したので、今回内で包まれて揉まれたときには脆さを見せる可能性の方が高そう。馬券的には切った方が期待値高いと見て。

・ニシノラヴァンダ
 こちらも新馬戦のタイムが優秀ではあるものの逃げての勝利。今回内の3枠2頭を制してハナを取り切るのはハードルが高く、外3.4頭目を回すとなればかなり厳しい。函館2歳で崩れやすいパターンであり、ここは軽視。

【まとめ】

 今世代最初の重賞は◎カルプスペルシュで行きたいと思います!
 個人的に乗り方があまり好きじゃないということもあって、鮫島騎手鞍上の馬を本命にするというのはめったにありませんが、今回は流石に条件が揃い過ぎというか、この予想の組み立て方でこの馬以外を本命にするのは無いなという感じでしたので素直に選びました。
 馬券としてはレース直前までオッズと相談ですが、カルプスペルシュが人気サイドになりそうなので単勝にはこだわらず
〇単勝 カルプスペルシュ(少な目)
〇ワイド 3.10-2.3.9.10
〇3連複 10-2.3.9-2.3.7.9.11.13.14
 こんなイメージでワイドが本線、3連複まで拾えればうれしいなという感じで行きたいと思います。抑えで枠連2.3.6のBOXもあっていいかも。
 クラシック戦線を目指しての世代戦が始まるのはやはりワクワクしてきますね。なかなか難しいレースではありますが、的中させて、今年の世代戦も弾みをつけていきたいです。

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