【R6.6.30】ラジオNIKKEI賞の予想

【選ぶ馬の方向性】

 開幕週の福島1800で行われる世代限定のハンデ重賞という、意味が分からなさすぎる条件で行われるのがこのラジオNIKKEI賞。この意味の分からなさゆえに「一番好きな重賞は何ですか?」と聞かれると「ラジオNIKKEI賞です」と即答してしまう程、個人的に大好きな重賞なのですが、一言で言うとこの重賞は”1年を通して有数に特殊な条件設定”の重賞です。
 コース形態としては急な坂こそないものの、前半の4Fでアップダウンがあった上で後半1000mは平坦メインの小回りコース、ポジション争いが激しくなりやすい2F目がコーナーに差し掛かりながらの下りで勢いがつきながら曲がっていくなんとも前に負荷の掛かりやすいコース(横に広がった状態でコーナーに差し掛かると外の馬の負荷は大きい)。
 まず第一の方向性として今回はかなり前に行きたい馬が過多なメンバー構成。逃げた経験がある馬が内からシリウスコルト、メイショウヨゾラ、セットアップ、ヤマニンアドホック、ウインマクシマム、アレグロブリランテ、ミナデオロ、ジュンゴールド……と半分以上が逃げ経験馬。サトノシュトラーセとジュンゴールド以外の10頭が前走で4.5番手以内で競馬をしているほどの偏り。
 いくら開幕週で前が止まりにくいという考えがあったとしても、流れた展開で外々を回す負荷を耐えながら最後もう一伸びというのは現実的ではないので、”外3頭目以上を回しそうな先行馬”は一つ評価を下げることが必要かなと。今回枠並び的に内に入った3頭がマイルでも逃げられるレベルのテンを持っているので、そこが主張してくるのを制してまでハナを取り切るとその時点で負荷が大きくなりそうなので、ヤマニンアドホック、ウインマクシマム、アレグロブリランテ、ミナデオロあたりは素直に先手を取りに行こうとすると厳しい立ち回りになりそう。
 もう一つの方向性としては、基本的に福島1800はG1が行われるような主流条件とはかけ離れているので、東京2000とか、東京2400とか、そういう条件でパフォーマンスを上げてきている馬は全く適性合わずにあっさり凡走というのも珍しくない。血統的にも昨年で言えばディープブリランテ×ブライアンズタイムのエルトンバローズが買ったり、その前はブラックタイド×キングヘイローなど…東京ではちょっと買いづらいな、トップスピード足りるかな…という血統が来ているレース。しかも、それに加えて今回はかなり先行争いが激しそうでマイルよりの追走能力が求められそうなので、距離を伸ばして追走スピードを下げることで結果を出してきた馬も信用しづらい。
 つまるところ人気上位になる2頭、ウインマクシマムとサトノシュトラーセは前走パワーホールの大逃げがあって多少変わった適性が求められたとはいえ、王道中の王道コースである東京2400の重賞で惜敗というのはかなり怪しいと言わざるを得ない。あとはこちらも人気サイドになるがショーマンフリート、こちらも強いとは思うが、じゃあこの馬を福島と東京どっちで買いたい?と聞かれると東京と答える人の方が多そうな走りの内容と脚質。ここら辺は疑ってかかりたい。

【展開想定】

 今回のメンバー、確かに逃げ先行馬は多そうではあるもののハナに拘りがありそうな馬はそこまで多くない、出たなりにテンが早いのが内の1~3だが、そこが並んだ時に押してハナを取りに行きそうなのは2のメイショウヨゾラ、流石にこのメンバー、この斤量ならばハナに行く以外の選択肢は無さそうで、パンサラッサとこのコースで逃げて世界に羽ばたいた吉田豊騎手を配してきているのもそういった意図を感じる。そこから外だと、ウインマクシマムが逃げた時の方がいい結果が出ているので多少強引にでも押してきそうなぐらいで、あとは激しくぶつかるならば番手以下で良いという選択をしてきそうでハナはそこまで激しい争いにならないかもしれない。
 そうなると横に膨らむのはそれを見て進めたい先行勢。流石にそこをやすやすと譲ってもいいという馬はいないと思うので、1.3.4.7.10あたりがずらっと並びながら徐々に外が妥協する形で下がって隊列がまとまっていき、その後ろに差せる足のある5.9.11.12が溜めながら進める形でレースは進みそう。
 なので、先行争いとしては、内から3頭がまず出て、そこから抜け出すためにメイショウヨゾラが押して出すところにウインマクシマムが被せられるかどうかという感じで、コーナーの入りまでにかなり勢いがつきそう、テンの3Fは34秒後半まであり得そう。1000m通過が58.0前後の流れたペースになりそうだが、ここで重要なのがシリウスコルトとセットアップの脚質。
 シリウスコルトは弥生賞はコスモキュランダに引っ張られる形で4Fスパートだが、それで自信を得たのか前走の皐月賞はあのハイペースでも残り4F地点から能動的に動いて前を捕まえにいっており、キレの無さをロンスパの持続力戦で補うというのが既に板についている。
 セットアップも昨年連勝した札幌の未勝利と2歳Sではその時期の2歳馬としては並外れた体力の完成度の高さを武器に、逃げて残り4F地点から早めにスパートをかけて後ろのスタミナを潰す強い内容。このテンからのスピードがある上に持続力もある2頭が内の良いポジションを取れるせいで、多少ペースが流れたくらいでは、3コーナーあたりからロンスパ戦が始まりそうであり、前から押し切りを狙う馬には相当な持続力戦の適性の高さが求められる。結論から言ってしまえば、求められるテンのスピードと、ロンスパ展開をこなせるのはシリウスコルトとセットアップのみ。この2頭と非根幹距離に適性の高そうな差馬を組み合わせて馬券を組んでいきたい。

【予想印】

◎9ログラール
〇1シリウスコルト
▲5オフトレイル
△11ジュンゴールド
 これで行きたいと思います。ええ、本気です。

【各馬の評価】

◎9ログラール
 12頭立て12番人気想定ですが、馬柱や多くの人が確認しているであろう重賞の内容から評価ポイントが見つけづらいだけで、かなり不当な低評価だと思う。
 3走前の未勝利勝ちはかなり時計のかかるコンディションの小倉でかなり上りのかかる主流条件とはかけ離れたスタミナ重視のレースを1.6倍の人気に応えて勝利。2走前のスプリングSはどスローの前有利だったので後方に居た時点でノーチャンスの度外視可能だが、この馬は最後外回しでかなり良い手ごたえで上がってきたところで進路をカットされてブレーキがかかる不利がありながらも、しっかり伸び治して2着のアレグロブリランテとは0.3差の8着で、馬柱では大敗に見えても差の無い競馬が出来ている。
 そして前走の1勝Cだが、これは小頭数で前半スローから、後半1000が11.8-11.6-11.7-11.6-12.0と最後は坂もある阪神な分少し時計がかかったが非常に長く足を使うロンスパ戦。これを前目につけて折り合いに気をつけながら抑えて抑えての追走。コーナーでは早めに2着馬が仕掛けるのにインで構えていた分仕掛け遅れたが、荒れ気味の内をものともせず伸び返しての勝ち切り。かなりの持続力を見せた。
 かなり引っかかりながらの追走だったので、今回ペースが流れてくれそうなのはむしろ嬉しく、外枠が上手い北村騎手の継続騎乗なので、先行争いには参加せず割り切って前走比でポジションを下げながら勝負所まで溜めることが出来れば、前が苦しくなったところを差しに行けるだけのポテンシャルは持ち合わせている。
 調教の動きも終い重点でかなり良く、血統もモーリス×キンカメで非根幹適性は◎。斤量的にも恵まれた今回、条件、展開ともに噛み合っており、激走あると見て本命で勝負したい。

〇シリウスコルト
 弥生賞3着の価値がまず高い。勝ったコスモキュランダは次走皐月で2着、シンエンペラーもダービー3着、近差の内容でそこに次ぐ3着は今回のメンバーに入れば抜けた実績。
 前走皐月で2番手の一番そんな役回り、超ハイペースで逃げたタバルとの距離を詰める損な役回りになってしまい、大敗も止む無し。そこから短縮ローテで開幕週の最内、基本的には逆らう要素は無い。
 三浦騎手の継続騎乗なので、仕掛けどころもしっかり残り4F、3コーナーの入りから動き出して前を潰しに行く立ち回りになりそうで、馬券内の確率はかなり高いんじゃないかと思う。
 ただ、開幕週でもかなり上りがかかる展開になりそうなので、最後の最後、溜めていた差馬に捕まりそうで、単勝から狙うのはなぁ……という感じの対抗評価。3連系の軸はここから。
 調教は状態面だけで見れば前走がG1の勝負仕上げという感じで良かったが、今回は状態は落ちても、前走の経験値で素の能力の上昇が感じられるいい動き。総合的に見れば前走以上のパフォーマンスに期待できそうで、ここは人気でも逆らわない。マクフィ産駒というのも時計がかかる福島の内枠は実にマッチしている。こういう舞台でこそ買いたい血統。

▲オフトレイル
 マイルでも実績があるというのは今回に向けて一つ評価できるポイント。
 血統的にもFarhh×キングマンボとサンデーフリーの欧州系で日本の主流血統とはかけ離れており、今回欲しいタイプ。
 前走は距離延長で早い馬も居なかったせいで先行する競馬になり、コーナーでは前に馬も置けずに早め仕掛けになった結果、大事なところで逆手前で負荷大。それでも直線の手ごたえは悪くなく、内を上手く逃げたミナデオロを捕まえられなかったものの0.2差2着は上々。
 今回は同距離2走目で斤量-1㎏、前走比較でポジションが落ちる可能性が高く、多少流れたとしてもその分で足は溜めやすい。この枠からだと勝負所で馬郡を縫う必要性がありそうなのが少し不安点ではあるものの、そこさえハマれば十分上位に来る力はありそうで、調教も良さそうに見える今回は高めに評価して狙ってみたい。

△ジュンゴールド
 休み明け、斤量減、ローカル替わりのエピファネイア産駒というだけでもう抑えておいたほうが良いレベルの買い要素。
 年明けの重賞2戦は全く力を出せていないというか、京成杯はダノンミサイル被害者の会で度外視、前走はどスローの展開を最後方で上がり使っても届かずで度外視可能、今回休みを挟んで立て直しのタイミング。
 調教の動きを見るにかなり成長がありそうで、走りの質はかなり上がっている。元々先行力があって、気性的にも前向きな馬なので、展開が流れるのを外枠から見れるのは良さそうで、初戦、2走目と終い平坦なコースで上がりを使っての勝利というのもこのローカル替わりでの上昇に期待できる。
 調教から乗っている荻野騎手がレースでも乗ることで、楽に折り合いをつけながら終いを炸裂させれば……人気薄でも十分頭まで期待できそうなタイミング。

(抑え)
3セットアップ
 56㎏だったら本命だったけどこの時期の3歳に58㎏はやはりキツイ、シリウスコルトが早めに仕掛けたところでついて行けるかどうかが勝負であり、そこでスピードに乗って一緒に上がって行ければ十分チャンスはある。コース適正、能力的にはこの中では上位であり、それに福島の戸崎騎手ならば切るのは怖い。海外帰り初戦でも間を開けた分調子は良さそう。

10ミナデオロ
 前走は上手く逃げて勝利したが、2走前はハイペースの消耗戦を上がり最速で勝利。対応できる展開の幅が広く、今回外枠になったことで割り切って控えた時に終い伸ばせる可能性は十分。
 ただ、最終追切がポリトラックなのは流石にマイナスで、斤量の57㎏も実績的に仕方ないとはいえ、能力的にそれほど差がない中でディスアドバンテージとしては大きい。

(軽視の理由)
〇メイショウヨゾラ、ヤマニンアドホック
 メイショウヨゾラは唯一の牝馬で斤量的にも魅力的ではあるものの流石に延長ローテでこのメンバー相手に目標にされるのは厳しく、逃げられなかったそもそもノーチャンスっぽいことを考えると買えない。
 ヤマニンアドホックは前走ショーマンフリートに勝っているのも少し人気になっている要因かと思うが、そもそも山藤賞の週は逃げ馬の勝利が目立っており、スピードが出る内有利の馬場コンディションではあった、それで2.01.1の0.1差は評価しがたく、血統的には合いそうではあるものの、人気も加味すると魅力がない。

〇アレグロブリランテ
 スプリングSからのローテが悪かったとは思うが、前走勝負所でついて行けずに大敗というのは、着順は結果的に1つしか違わないが一度は馬券圏内まで上がっていったシリウスコルトと内容的に差がある。スプリングSも最大限に展開利を作っておきながら上がり34.3までというのはトップスピードの限界値の低さが露呈した形、調教からもそこまで上昇度感じられず。

〇ウインマクシマム、サトノシュトラーセ、ショーマンフリート
 前述のとおり、東京向きだったり、距離延長の主流条件で実績をあげた馬は今回合わないと見て軽視。

【まとめ】

 はい、年に一回しかない世代限定のハンデ重賞、今年のラジオNIKKEI賞は大穴も大穴、最低人気になりそうなログラールから行きたいと思います。
 まあ、最低人気とはいっても30倍まで行かなさそうなので、十分チャンスがあると評価されているんだとは思いますが……
 週の頭に各馬の前走内容を見ていた時から注目していたのですが、まさかここまでの人気薄になるとは思っていませんでした。前走は隊列のあやで一度2着の馬から置いていかれてしまったにもかかわらず直線で差を詰めなおして快勝と非常に強い走り。斤量減とモーリス牡馬のハイペース耐性、非主流展開への適性の高さを考えるとここは十分頭まで狙える馬だと思います。
 馬券としては
〇単勝 ログラール
〇馬連ワイド ログラール・シリウスコルト
〇3連複 1-5.9.11-3.5.9.10.11
 ここをベースにオッズを見ながら考えていきたいと思います。
 最低人気でも単勝があまりつかないので、単勝は気持ち程度に、ワイドを広めに狙っていくのが良いかなとも思っています。
 今回はそもそも特殊な条件設定な上に、メンバー構成もいびつ、上位人気の根拠も薄いと荒れる要素がかなり揃ったと思いますので、ここは恐れることなく、しっかり人気薄から踏み込んで勝負していきましょう!!

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