【R6.6.9】エプソムカップの予想

【切れ味よりも持続力の勝負】

 東京芝1800で行われるこのエプソムカップですが、過去の傾向を見てみると意外なことにあまり鋭い決め手が要求されるレースにはなっていない。
 近10年で33秒台の上りを使った馬が馬券内に好走しているのは3年間の身であり、展開が極端にスローで、究極の瞬発力勝負になった場合は上がりが求められるが、基本的には開催が進んで馬場も荒れてきていることと、季節柄雨が多い時期というのもあり、タフな馬場でのスタミナ比べになりやすい。
 今年は晴れ、良馬場で行われそうではあるものの、例年通り馬場は傷んできており、例年よりクッション値は高めで安定しているものの、時計がでる高速馬場!という感じではなくなってきている。
 また、持続力勝負になりやすいのは1800mという距離特有のものでもあり、マイル質の馬と2000以上の距離がベストの中距離質の馬が交わる距離設定なので、テンのスピードはマイル基準だけどスパートのタイミングは中距離質、最終的にはマイル組も中距離組も苦しくなりながら、しぶとく足を伸ばせた馬が勝つという展開になりやすく、18頭中7頭がマイルからの延長、5頭が2000からの短縮ローテである今年も似たようなスタミナ戦になる可能性は高そう。

【展開想定】

 逃げ候補は内から10シルトホルン、12グランスラムアスク、13ラケマーダ、18セルバーグあたり、スピードで言えば大外のセルバーグはマイル重賞でも逃げられるレベルのスピードを持っているのでこのメンバーだと最上位。大外を引いたことと、前走の新潟大賞典ではスタートで躓いて出られなかったところからの継続騎乗ということで、かなり積極的に押して出てくることが想定される。シルトホルン、ラケマーダはハナに拘りたいタイプではないので、グランスラムアスクがどこまで抵抗するかというところ。グランスラムアスクに乗るのが今回御神本騎手ということで、出鞭を入れてでもハナを獲ろうとしてくると中々タフな逃げ争いになるかもしれない。
 あっさりセルバーグが取り切ったとしても、セルバーグが素直に逃げた場合マイル質のスピードにはなってしまうので、想定としてはテンの3Fが35秒台、1000通過が58秒前半といった感じのペース。グランスラムアスクが抵抗して更に流れれば57秒台中盤もあり得るかもしれない。
 いずれにせよ、マイルから距離延長で臨む馬からすると、シンプルに前走並のペースから長い直線でラスト1F長いという体感の競馬になりそうで、よほど中距離に適性が向きそうな馬以外は最後苦しくなりそう。
 また、今回積極的に前に行きたい馬が比較的外目に寄ったこともあり、スタートしてすぐにコーナーがある東京1800mの都合上内の馬は比較的窮屈な立ち回りになってしまいそう。外の馬が切れ込んでくるのに上手く対応しながらポジションを確保する必要があるので、逆に言うと少しでも後手を踏むと一気に押し込まれて想定よりかなり後ろの苦しいポジションになってしまう内の先行馬にはリスクの高い枠並びになった。
 以上より、基本的な展開想定は外から逃げ馬が一気にポジションを取りに来てのミドルからハイペース寄りの締まった流れ。それに対応しながら後半長く11秒台のラップを刻みつづける必要があるので、展開的に向きそうなのは外目の枠に入った短縮or同距離の差馬と見て、ここを中心に狙っていきたいと思います。

【予想印】

 ということで今回は
◎16グランディア
〇15アルナシーム
▲7マイネルケレリウス
△1トゥデイイズザデイ、17ニシノスーベニア
 これで行きたいと思います。

【各馬の評価】

◎グランディア
 これまではハービンジャー産駒らしい、タフな展開でも長く足を使える、持続的な末脚が魅力の馬だったが、末脚の爆発力がもう一つ物足りなかったせいで勝ち切れず3勝クラスを抜けるのに時間がかかっていたが、前走のパドックを見返すと明らかにトモの筋肉にボリュームを増して、その体の変化が影響してか、前走はスローから着差の付きにくい展開で、馬郡を切り裂く一気の末脚を見せつけた。
 まさに本格化という感じの勝ち上がりから臨む重賞挑戦になるが、まず展開的に恵まれそうな「外枠、同距離の差馬」には該当。血統的にも基本的には減速要素が無い時に長く加速し続けられるのが魅力のダンチヒ系なので、揉まれずに思う存分末脚を伸ばせる外枠は歓迎。
 前走は一瞬のキレで勝利したが、2走前3着だった常総Sはかなりタフな持続力戦、後半1000mが11.6-11.7-11.5-11.5-11.9というかなりタフなスタミナ比べを前目から上がりも使って0.1差3着にまとめており、今回のメンバーの実績と見比べてもも光るものがあるラップ。
 持続力、末脚のキレには不安が無く、今回に向けての調教も前走から好調キープか更に上積みありという感じで抜群の動きを見せることが出来ている。中山での好走が多い分、ハイクッション値の今の東京都も相性がよさそうというのも推せるポイント。
 東京ダービーを制して勢いもある三浦騎手の騎乗で、前が苦しくなる直線を外からぶち抜いてほしいと期待して本命で行きます。

〇アルナシーム
 基本的にはタフな条件×非根幹距離で高く評価したいのがモーリス×ディープインパクト。アルナシーム自身も古馬になってから重傷で最も惜しいレースになったのが小倉大賞典の4着だが、これもセルバーグ大逃げからのタフなロンスパ勝負、時計のかかる馬場で前目からしぶとく粘っての4着であり、この血統らしい非根幹距離適性を見せた。
 2走前のダービー卿、前走と控えて差しに回ることで、これまで勝ち切るには足りなかった切れ味に一つ磨きがかかり、調教の動きからも末脚のトップスピードに向上が感じられる好活気。
 今回は典さん継続騎乗で、調整過程がこれまで坂路仕上げが多かったところからCWでの終い重点に変わっているなど、変わり身に期待できそうなところであり、展開的にも枠的にもかなりマッチしそうということで、グランディアを評価するならばセットでこちらも高く評価したい。叶うならば2頭併せ馬で最後直線を上げってきてほしい。

▲マイネルケレリウス
 前走人気薄で勝利してOP入りを果たし、その勢いのままに重賞挑戦だが、前走のパフォーマンスは人気薄での激走と侮るには結構強烈なラップ。時計が出やすい馬場状態だったとはいえ、レースラップが13.1-11.3-11.2-11.6-11.9-11.9-12.0-11.7-11.8-11.3とほぼ全て11秒台で構成されるよどみないラップ、縦長の展開の中団から前の馬が苦しくなるようなスタミナ比べを上がり33.5でまとめて最後11.3に加速しながら突き抜けて1.57.8はかなり強い。
 今回に向けても前走はフロックじゃないと言わんばかりの好気配を調教の動きからも見せており、展開的にも短縮ローテで控え気味のポジション取りになればハマってもおかしくない。
 小柄な馬なので斤量が前走の58㎏から1kg減るというのも効果が大きそうで今回も侮られてオッズが付くならば積極的に狙いたい。

△トゥデイイズザデイ
 本当ならば本命か対抗にと考えていたが最内でこの人気だとリスクが勝つので△までに。
 前走谷川岳Sで2着からの延長ローテだが、末脚の持続力と体幹の強さ、走りの安定感が求められる新潟1800で上位の上りを使って勝利している実績もあり、というかむしろマイルで勝ち切っているのは重馬場でスタミナがより求められた2勝クラスの時のみであり、本質的には1800の方が向きそうなので距離の面では心配が要らない。
 あとは最内からロスなく無理せず欲しい最内の3列目あたりに納まることが出来るか次第だが、津村騎手の東京中距離における最内の捌きにあまり信頼感が無く、足を使った上で結局取り切れずに抑えて中団で折り合いを図るちぐはぐな立ち回りになるか、惜しすぎて思ったより前になってしまい、距離延長ローテが響く形で最後伸びきれないとなる可能性も結構高そう。
 馬自身はこの条件かなり合っていそうであり、状態面もかなり良さそう。

△ニシノスーベニア
 マイルや1400で勝ち上がってOP入りしてはいるものの、2走前の幕張Sしかり、勝ち切っているのは切れ味よりもスタミナが求められるようなタフな条件での持続力比べなレース。2勝C、3勝Cともに34秒台で上がりが上位になるレースを勝利しており、逆に言えば良馬場マイルの切れ味比べではややトップスピード不足なのが現状。
 そこでの今回距離延長になるが、過去の実績から見てもここでハマり得る可能性大いにあると見て期待を込めての△。
 過去のこのレースの傾向を見ても、延長ローテで結果を出すのはマイルだと重や稍重で良績が目立つ馬が多く、今回この馬も外枠の差に該当するということで、展開面での追い風も期待できる立場。
 調教も2走前の内容と近く、実績ある過程で動きも良い。この人気ならば高めに評価して狙いたい。

【無印の各馬】
3ルージュリナージュ
 内枠の追い込み馬だが、今の東京コースで末脚が届き切るかかなり怪しい。馬場の傷みが進んでいる影響で内外のスピード差が無くなってきている状態であり、前の馬が34秒前半を出す中で33.8とかの上りではポジションの差を埋められない。前走も展開的にかみ合った部分もあり、実績から考えるとかなり過剰評価気味な今回は軽視したい。

4ヴェルトライゼンデ
 故障明けで調教の動きも休み明け感にじみ出ており、枠脚質的にもあまり恵まれなさそう。自力はもちろん上位と思うが、今回は走られたらごめんなさいで軽視していいかと思う。

6レーベンスティール
 強い馬だとは思っているが流石に59㎏かつこの展開想定では買いづらい。過去の実績を見てもスローからの切れ味勝負で力を見せており、タフな持続力勝負になるとコロッと崩れてしまっているのが現状。前走ポジション取れずにそのまま見せ場なしの大敗にも関わらず1人気ならば逆らいたい。

11サイルーン
 基本的に延長馬ならば中距離への適性を既に示していない限り疑いたい。評価しているマイルからの馬と比べると、サイルーンはしっかりマイル質のスピード勝負で早い上がりを使って勝利している分、今回適性がハマらないのではないかと思う。

(抑えたい)
5タイムトゥヘヴン
 これで走らなければもう今後復活は厳しいかなと思わせるほどの張虎湯の動き。

14カレンシュトラウス
 前走ブリンカー装着で久々にポジションをとる競馬で着差も少ない。今回引き続きブリンカーで調教時計も目立っており激走があるならばここか。

 あとの馬については横の比較であえて今回評価をあげるポイントが無く軽視したい。

【まとめ】

 持続力勝負で前が苦しくなり差がきまる!という想定で決め打ちして馬券を絞って勝負していきます。
 馬券としては
〇単勝 グランディア
〇ワイド 16-7.15
〇3連複 16-1.7.15-1.5.7.14.15.17
 これをベースに単勝かワイドが当たればまず負けなくて、3連複来たら結構跳ねるようなイメージで買いたいと思います。
 グランディア!覚醒した末脚で大外一気を決めてくれ!!

いいなと思ったら応援しよう!