【R6.4.7】桜花賞の予想
【はじめに】
かなりの混戦となった今回の桜花賞。
人気サイドとしては阪神JF上位のアスコリピチェーノ、ステレンボッシュ、コラソンビートの3頭、クイーンC勝ちのクイーンズウォーク、アルテミスS勝利から阪神JFじゃ大本命と目されたが回避、異例のローテで直行してくるチェルヴィニア、チューリップ賞勝ちのスウィープフィート。
この6頭が現時点で10倍を切るオッズとなっており、恐らくこのままレースを迎えることになるでしょう。
順当にこの6頭で決まるのか、伏兵が穴をあけるのか、今年のメンバー構成、馬場状態を踏まえてしっかりと考えていきます。
【かなり特殊な馬場状況】
土曜日に行われた阪神牝馬Sについて、レースラップは
12.6-11.1-11.7-12.0-12.1-11.3-10.8-11.4 全体1.33.0 前半47.4 後半45.6
前半がかなり緩い流れで全頭足が溜まった状態で直線を向き、各々がキャリアハイに近い上がりを使いあって、勝ったマスクトディーヴァが上がり2位で33.0。2.3着馬が上がり最速の32.9と足が溜まっていれば直線はかなり早い上がりを使うことが出来る馬場コンディションになっている。
そんな時計の出る馬場状況でありながら、インは過去に例が無いほどタフ。今回の阪神牝馬Sでも上位3頭は結構外まで持ち出しながら終いのキレで上位まで来ており、条件戦等を見てもあまり内は伸びていない。
過去の桜花賞、阪神牝馬Sを見てもここまで内が避けられている年は無く、今年は例年とは違う”トップスピードは出せるが内外で差のある馬場”という特殊な条件を如何に乗りこなすことが出来るかが桜花賞の明暗を分けるのではないかと思う。
【先週の大阪杯にも異変有り】
先週の大阪杯の予想でも散々書いていたとおり、例年であれば大阪杯で求められるのは”トップスピードを如何に長く維持することが出来るか”という能力であり、血統的にも米国型のスピード血統を内包している馬の方が活躍が目立っていたが今年は違った。
勝ったべラジオオペラはロードカナロア×ハービンジャー、2着のローシャムパークはハービンジャー×キングカメハメハ、3着に差し込んできたルージュエヴァイユはジャスタウェイ×フランケルといずれも米国よりは欧州的なタフなスピード能力を高めるノーザンダンサーを持っている3頭が馬券を独占、4着に突っ込んできたステラヴェローチェもバゴ×ディープインパクトと似たような適性を持っていた。
桜花賞もペースや馬場によっては、イン前を上手く使ってスピードで押し切る年もあればタフなスタミナと末脚のキレが求められる年もあり、傾向は一定ではないが、今年の馬場であれば欧州系のスピード血統を持っている馬が活躍する可能性は高いかもしれない。
今年のメンバーだとアスコリピチェーノ、セキトバイースト、ライトバック、テウメッサ、エトヴプレ、チェルヴィニアが父か母父に欧州系のダンチヒを持っており今年の馬場とはかみ合いが良い可能性が高い。
また、今の馬場状況はクッション値、荒れ具合を含めて昨年末の阪神JF開催時ともかなり似ているため、そこで結果を出したコラソンビート、ステレンボッシュも相性的には悪くなさそう。
こういった馬場だと、ディープインパクトを持っている馬はかなり良い傾向にあるが、今年の出走馬だと父、母父にディープを持っている馬はゼロ。父がディープ系なのも父キズナのクイーンズウォーク、ライトバックの2頭のみ。これも高く評価できそう。
【いびつな経験値】
今年の出走メンバーだと、コース問わずで1600mの持ち時計が最も早いのは阪神JF組の1.32.6だが、週頭の記事でも書いていたとおり今年の阪神JFは例年の阪神JFに比べてやや前半のペースは緩めであり、レコードにつながったのは後半ラップの優秀さ故。
例年であれば、適性的にスプリントの色が濃いメンバーが多く出走してくることからペースが流れやすく、早いペースに対応したうえで最後まで足を伸ばす能力、地力の高さが求められるレースになりやすい阪神JFだが、今年は少し違った内容だった。
これは週頭の記事でも載せていた一覧表だが、桜花賞メンバーの前走ラップを並べたもの。
阪神JF組は4F目に12.0が入っており、コーナーで一回軽く息が入ったので終いまでしっかり足を使えたというレース内容。息が入らないタイトなレース展開の経験が無く、今回のラップ次第ではもろさを見せる可能性も十分あり得る。
タイトなペースへの経験値という点で見た時に注目すべきはチューリップ賞とFレビュー。コーナリングでも息が入りづらいタイトなラップでしっかり結果を出せたことはメンバーレベルが上がる今回でも価値がある。特にこのレースを前目からこなして結果を出したセキトバイースト、エトヴプレ、コラソンビートはかなり評価できる。
【ポイントを整理】
今年の桜花賞を評価するにあたってのポイントをまとめると
・特殊な馬場を乗りこなせる適性
前に行くならば多少の荒れ馬場は苦にせずこなせる適性
後ろからならば末脚のスケール感とトップスピードの高さ、最後まで足を伸ばせるタフなスタミナ
・血統適正
例年よりもタフな馬場に対応するための適性を助ける欧州系ダンチヒを持っているのが理想
・タイトなペースへの経験値
チューリップ賞組とFレビュー組を特に評価
これに調教から見た状態面などを考慮して選んでいきます。
※調教評価の詳細は「桜花賞の追切メモ」をご参照ください。
【予想印】
◎8コラソンビート
〇9アスコリピチェーノ
▲11ライトバック
△10セキトバイースト
18チェルヴィニア
これで行ってみたいと思います!
【各馬の評価】
◎コラソンビート
週頭から注目していたが、やはり今回の予想のファクター全てで高く評価できるこの馬から素直に行ってみたいと思う。
まず、前提として今年の阪神JFで好走できたというのは非常に価値が高い。例年とは違って後半で長く足を使うタフさが求められる展開だった今年の阪神JFは本来であれば距離延長ローテで臨む馬には厳しい内容だったと思うが、それを枠なりにある程度外々を回す競馬で前目のポジションから僅差の3着に持ち込むことが出来たのはこの阪神1600mという舞台にかなり高い適性が無ければできることではない。
それだけだとペースへの耐性に不安点が残るところをFレビューを挟んだことでタイトな展開への経験値を積むことが出来たのもアドバンテージとして大きく、更にFレビューを使ったことで長期の栗東滞在をすることが出来ているのも良く、調教後馬体重は+16㎏と、あれだけハードに好時計を連発しながらでもここまで増やせているのは状態の良さゆえだろう。
また、ペースへの経験、栗東滞在以上に前走内容が良く、これまで控えて後方からの競馬か外枠から揉まれない競馬で結果を出してきていたが、Fレビューでは最内枠から終始馬郡で揉まれる競馬。道中は接触もありながら決して楽な展開ではなかったが、最後はエトヴプレを捕まえられなかったもののしっかり伸びて2着を確保。かなり価値ある経験だったと思う。
父スワーヴリチャード的にも基本的には直線の長いコースの方が成績が良く、前走初の小回りで窮屈な競馬だったところから、今回改めて外回りの長い直線に変わるのは適性的に大きくプラス。
タイトなペースからのスピード能力を試される展開、溜めての切れ味を求められるような展開どちらでもメンバー上位の能力を発揮できそうで、4枠7番と好枠を取れた今回、素直に本命で勝負したいと思う。
〇アスコリピチェーノ
無敗の2歳女王、血統、これまでのパフォーマンスどこを取っても特に非の打ちどころがなく、操縦性の高さと走りの完成度からもこれ以上評価は落とせない。
阪神JFからの直行ローテでペース経験値がやや不足な点、先を見据えた仕上げ方に見える点でコラソンビートを上位に取ったが逆らえない一頭。
▲ライトバック
前走はエルフィンSを勝利。
2歳時はスタートから行き脚が付かずに後方からの競馬になっていたが、前走のエルフィンSではスタートまずまずから抑えて好位で溜める競馬が出来ており、脚質に幅が出た。
時計は平凡に見えるが、当時の京都は直線を向いてかなり広範囲で内が傷んでおり、馬場状態もクッション値低めでかなりタフだったので1.35.1の走破時計以上に価値がある。実際同レースで2着だったスウィープフィートが次走チューリップ賞で乗り替わり効果もあったが次走チューリップ賞で1.33.1の好時計に即対応しており、ライトバックもそれだけの可能性がある。
また、エルフィンSでの上がり33.9もかなり価値が高く、前述のとおり、直線ではかなり外に持ち出すロスがあったのでそもそも33秒台を出すこと自体がかなり困難な状況、その上直線では前に居た馬に進路を塞がれて一度ブレーキがかかるロスがありながらも勝ち切るだけの破壊力を見せており、能力の底を見せない、スケール感を感じさせる内容だった。
そこから間隔をあけての出走だが、調教からはかなり良化が感じ取れるいい動きが出来ており、まだ状態面で上げられる余地を残しながら、前走以上のパフォーマンスには期待できる仕上がりにあると思う。
血統的にも今回非常に相性が良さそうで、王道条件に強いディープ系を父に持ちながら、母父のExceedAnExelは父Danehill、2003.2004年にオーストラリア最優秀スプリンターに輝いたスピード馬であり、まさに今回の桜花賞で最も欲しい血を母系に持っている。
馬単体で見てもかなり今回の桜花賞へ期待が持てるが、坂井騎手が前走から継続騎乗というのもかなり熱い。
高松宮記念で最内を突いてマッドクールを勝利に導いたように、非常に馬場状況を踏まえた進路選択が上手く、当日もレースに乗りながらどこが伸びるかをしっかり確認したうえでメインに望んでくれるので、こういった特殊な馬場状況ではかなり頼りになる。
かなり実績よりも可能性を重視しての高評価なので、これ以上印は上げられないが、かなり期待できる一頭だと思う。
△セキトバイースト
正直本命まであり得ると思いながら悩んでいた馬だが、今回展開的に恵まれる可能性が低めだと考えた分評価を割り引いてここまで。
今回メンバー的に、逃げの候補が内から、シカゴスティング、セキトバイースト、ショウナンマヌエラ、エトヴプレ(あとはキャットファイト、マスクオールウィンも一応)あたりかと思うが、前走のFレビューで早い展開を作ったエトヴプレは調教的にも陣営のコメント的にも行かなさそう。
セキトバイーストも調教の内容から少し足を溜めそうな気配もあり、行ったとしても溜め逃げを選択しそう。
シカゴスティング、ショウナンマヌエラが行った場合はそこまで極端にタイトなペースを刻むことは無さそうで、展開的にはあったとしてもチューリップ賞並か、少し早いかくらいなものかと思う。
後方の馬がある程度足を溜めたうえで切れを発揮できるペースになってしまうと、馬格で劣るセキトバイーストはトップスピードの差で差されてしまう可能性も十分あり、荒れ馬場適性も活かしながら、コースロスを抑えて番手あたりから上がり34.0くらいを使う理想の競馬ができたとしても頭で残しきるのは結構ハードルが高いのではないかなという想定で△評価まで。
逆に◎〇▲に評価した3頭はある程度足を溜められる展開になったとして上位の上りを使えるだけのスケール感も踏まえて上位に評価した。
だが、理想は雨が降って前走時のような稍重ではあるものの、今のインがタフになっている阪神ならば、多少の荒れ馬場も苦にせずこなせるこの馬にとってはインをロスなく立ち回れる分アドバンテージではあり、頭の期待は低くとも、馬券内の可能性は十分あると見て馬券では高めの評価にしておきたい。
△チェルヴィニア
この馬を高く評価した理由として、前走からの位置取りの違いによる末脚の爆発に期待してというのが一つある。
これは、自分が予想する中で重視している前走ギャップからの派生的な考え方。前走ギャップ自体が「前走ハイペースなどで苦しい競馬を経験した馬が、次走スローで楽な追走に変化した場合に足が溜まりやすく、思わぬパフォーマンスを発揮することが多い」という考えに基づいた穴馬をピックアップするファクターだが、前走ペース以上に激走を産みやすいパターンとして「前走先行→次走後方待機で差しに回る」がある。
今回出走の馬でも行ってしまえばスウィープフィートはエルフィンSで道中押し上げてポジションを取る競馬をしたところから後方待機で折り合いに専念したという位置取りの変化が、タフな展開でも突き抜けられるだけの爆発力を生んだと理解することが出来、他にもフェアリーSのマスクオールウィンもスプリントで前に行っていた馬がいきなり最後方待機で目の覚める末脚を使っている。(その分今回はこの2頭はやや評価しづらいが…)
その点で言えばこのチェルヴィニアはかなり前になるが前走のアルテミスSはインから上手く前で立ち回り3番手から突き抜け、2走前の未勝利戦もスピードの違いで楽に前から押し切っており、これまでは基本的に前目から競馬をしている。
だが今回は痛恨の8枠18番大外枠。強引に前を取りに行くにはやや厳しい枠であり、休み明けで相手も強くなる分先行するには無理がある。
末脚の破壊力がある馬ということはムルザバエフ騎手のテン乗りだが理解しているはずで、陣営の仕上げ的にも次のオークスにつながるような、折り合いをつけて足を溜めて末脚を活かすようにとの指示が出る可能性は高いと思う。
枠なりに控えて末脚に賭ける競馬を選択した場合「前走先行→次走後方待機で差しに回る」パターンでの末脚爆発が発動する可能性はかなり高い。
ストライドの大きいスケール感のある末脚を持っている馬なので、多少後ろの位置になったところで直線だけで馬券内にねじ込んでくるだけのスピードは出せそう。
調教的にも休み明けからでもそれぐらいの爆発力を出せそうな状態に映り、本来であればあり得ないローテで嫌いたいところだが、オッズ的にも前評判以上に甘くなっている今回、馬券では高めに評価しても面白いと思い△評価としたい。
【無印の各馬】
・クイーンズウォーク
前走後方で控えて追い込む競馬を選択した分、今回更にパフォーマンスを挙げられるような選択肢が少ない。流れに乗って直線での末脚を伸ばすことに徹したとしても、横の比較でそこまで上位の切れ味があるわけでもなく、来ても3着までかなと思い無印で抑え評価としたい。
・スウィープフィート
前走はローテ、展開がかみ合った感あり素直に高評価はしづらい。
稍重→良馬場の変化でどこまで上昇があるかというところだが、どちらかと言うと少しタフなくらいが合っていそう。ただ、インが荒れている差馬場での武豊騎手はかなり上手いので、無理に嫌わずに抑え評価
・ステレンボッシュ
阪神JFはルメール騎手の完璧なマークからの差でもアスコリピチェーノを捕まえられなかったこと考えると、同ローテで臨む今回逆転は難しい。能力はあると思うが高く評価は出来ず抑えまで。
・ハワイアンティアレ
前走タフなインをついて唯一馬券内に伸びてきたパフォーマンスは評価できる。調教内容も更に一段ギアを上げてきており、枠もいいところを取れた。侮られるならば穴で高配当を狙いたい。
(以下軽視)
・ワイドラトゥール、キャットファイト、セシリエプラージュ、マスクオールウィン
米国的な要素が強い血統構成の馬は今回機械的にはじいて馬券を組みたい
・イフェイオン
前走のフェアリーS勝ちの内容は悪くないが2走続けてかなり高いクッション値で結果を出したところから、クッション値が下がっての相手強化は期待しづらい。
・シカゴスティング、ショウナンマヌエラ
ちょっと横の比較で力不足感否めず
・エトヴプレ
ちょっと調教の動きから前走が拾い時だった感が強く
・テウメッサ
最終追切の動きが思ったほど上がってこなかったので評価を落としているが、血統、前走内容的には直線の長い阪神1600替わりでパフォーマンスを上げる可能性は十分あり、内の有力馬をマークしやすい枠に入ったのでパドック次第では抑えまで考慮
【まとめ】
今回は流石に上位強いと見て、無理に逆らわず人気サイドから最も買いたいコラソンビートを本命にしたいと思います。
相手のアスコリピチェーノも阪神JFで本命にしているように強さは十分理解しているつもりなので、この舞台の世代戦であっさり馬券外に飛ぶというのはあまり考えづらい。
ここ2頭を軸として、固めに絞って馬券は組み立てていきたいと思います。
〇単勝 コラソンビート(ライトバックも少々)
〇馬連 8-9.11
〇ワイド 8-10.11.18
〇3連単 8-9.11-2.6.7.9.10.11.12.18
これをベースにオッズを見ながら調整していきたいと思います。(資金配分しながら印を打った馬で決着した時に配当が上がる感じで)
今年の牝馬はかなりレベルが高いところで拮抗しているので、その上位走の中でもこの一冠目に最も強い思いを持っていそうなコラソンビートを本命に、クラシック初戦は勝負していこうと思います。
頑張れコラソンビート!!