バンド『KING GNU』を好きになって起きた想い出
僕がKING GNUを好きになったのは2019年末。
たまたま聞いていたラジオ番組『オールナイトニッポン』で、僕が推していたアイドルの事を、Vo.の井口理が話していたのがきっかけだ。
聞いていると、ものすごいド下ネタや思わず笑ってしまうような軽快なトークで、徐々にハマっていった。
『オールナイトニッポン』のトークを聞き流していると、たまに挿入してくるKING GNUの曲。
その頃は『白日』や『傘』などの曲がかかっていて、それらが心地よく脳内に入り込んできた。
段々と気になり、僕はMVを観だした。
『白日』のMV、最初はおちゃらけた感じで、ラジオ番組を回していた彼は別人だった。
出だしのブレス(息継ぎ)、しっかりとしたファルセット(裏声)に胸が高鳴り、そして何よりカッコいい!
そう、彼のギャップにまんまとハマってしまったのだった。
『傘』のMV、アニメーションで雨が降り、風が吹いていて、小さな女の子が大人へと成長し、その大人になった女性の元に、子供が駆け寄って、傘を受け取るという動画で、シュールなものになっていた。
初めて見たときは、淡々としていて、気にも留めなかった描写だった。
そう、『白日』も同じだった。
ただのミーハーな感覚で見ていただけで、カッコいいとしか思わなかった。
そんなフワフワとした中で、何曲かMVを観ていった。
気が付くと、僕は、タワーレコードの一角で3rdアルバム『ceremony』を握りしめていた。
あるMVがそうさせたのかも知れない。
『Vinyl』
サムネイルの女性に惹きつけられた。
テレビの試験放送の様な画から、アイシャドウを濃く塗りたぐった女がこちらを睨み、ドラムソロの映像になったと思ったら、お互い下着姿で女が男にまたがるサブリミナルが入り、ドラムを叩いていた演者が女にビニール袋で頭を覆いかぶさられる。
ここまでわずか15秒。僕の心は完全に掴まれていた。
90年代を彷彿とさせるようなファッションやメイク、ラブホテルの回転ベッド、インスタントカメラ、映像の撮り方。どこかノスタルジックな感じがして、自然に好きになっていった。
次第にメディアに出だしたKING GNU。
SONYのワイヤレスイヤホンやアルフォート、車、ANAのCM、映画『スマホを落としただけなのに』の主題歌。
ミーハーな僕は、すぐに虜になってしまった。
2020年夏、ネットを通じてある少女と出会った。
KING GNUが好き、という一つの共通点からだった。
徐々に性格や雰囲気が分かっていき、気が付くとお互いが好きになっていた。
その彼女がふと言った。
「この曲は病む」
『The hole』という曲だった。
その時の僕は、曲の歌詞がうろ覚えだったからか、ぼんやりとそういう曲なんだなと思っていた。
彼女がそんな気持ちを抱く曲が気になり、僕はその曲に聞き入り、しまいには涙するほどになっていた。
その彼女とはすぐに別れを迎えた。
何とも言えないもどかしさで、KING GNUのファンをやめようとも思った。
彼女の言った「病む」という言葉、僕は理解しているつもりでいた。
今も分かってはいない。それは彼女にしかない感情。
少しでも理解しようと、僕は『The hole』という曲と向き合うことにした。
"ぽっかりと空いたその穴を 僕に隠さないで見せておくれよ あなたの正体を あなたの存在を そっと包み込むように 僕が傷口になるよ"という歌詞がある。
僕はこの部分に感銘を受けた。彼女はどこに「病み」を感じたのだろうか。
今でも思い出す事がある。
そんな夏の出来事で、この曲に想い入れが出来た。
『The hole』
この曲は忘れられない作品になるだろう。
これがKING GNUを好きになって起きた、およそ半年の僕の想い出だ。
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