「Wonka〜ウォンカとチョコレート工場のはじまり〜」のトップハットを作る
「チョコレート工場のひみつ」をティム・バートンが映画化した時もそりゃあ嬉しかったものですが、あれから18年ですか……そうですか……歳月!
今回はショコラティエ、ウィリー・ウォンカ氏がまだ夢見る若者だった頃のお話。完全な二次創作ですね、好きなやつです。しかも若きウォンカ役にはティモシー・シャラメ。そしてパディントンシリーズのポール・キングが監督脚本。(パディントンは特に2が素晴らしい。完ぺきなファンタジー映画。何度も観てその都度笑って泣いています)うーん、これは楽しみ!(一息)
期待してウキウキと初日に観に行きました。ここはもちろんIMAXレーザーで!
(2024/02/26 現在、有料ですが配信で見ることもできます)
ミュージカルシーンがまるで夢のような楽しい映画Wonka。でも私がストーリーそっちのけで追いかけてしまったのはキャストの方々の衣装。ミュージカルシーンのモブキャラクターまで本当に行き届いていて、服だけでなく、麗しいハットの数々!全体のカラースキームも素晴らしい。ああ、眼福!
ここでやはり目を惹くのは若きウィリー・ウォンカ氏のかぶっていたチョコレート色のトップハット。トリュフチョコレートのような質感、くたびれた感じもイイ!
「ああ、真上から見たい!」「うしろ、うしろを映してください」などと思いながら観ていたので、映画鑑賞としてはイマイチ入り込めなかった気がしますが、あのトップハットの可愛さはしっかり目に刻みました。
ここは帽子屋として、トップハットラバーとして、作らないわけには行きません。今回はヤングウォンカ氏のかぶっていたチョコレート色のトップハットを作ってみたいと思います。
まんま作ると「工作」になってくるので、布帛でできる限り再現します。
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その前に、ティム・バートン版のウォンカ氏がかぶっていたトップハットを見てみましょう。
板チョコのような巻飾りが印象的。トップに向かって広がりのある、ハイトッパーとかウェリントンなどと呼ばれるタイプ。光沢の感じから素材はシルク・プラッシュ(シルクのビロードのような生地)と思われます。スタイリッシュかつ上品です。
対するウィリー・シャラメ・ウォンカのトップハットはまだ若き修行時代。ジョニー・デップのウォンカさんと違って、資金不足が身なりにも表れています。糸のほつれた上着、穴のあいた靴……トップハットもしわしわですが、素敵な造形です。チョコレートへの愛を感じます。
かたちをよく検分してみましょう。
確認するのにうってつけの写真がパンフレットにありました。
仕様を考えます
ブリムは型入れ、クラウンは布帛で作っているようです。(イラスト参照)シワ感のあるクラウンは問題なさそうですが、このクルッと反り返ったブリムが難しそうですね。
それでは型を起こします。
洋服などはシーチングで、帽子の場合は寒冷紗や不織布で作るのが一般的です。私が最近使っているのは厚めのクラフト紙。amazon発送の紙袋などをを柔らかくして使っています。布のように伸びないので失敗した部分がよくわかるし、見た目が面白いので作るのが楽しいのです。
実は途中まで「紙でもいい感じで出来るのでは?」と思っていたのですが、これはいけません。しわしわのトップハットをスタイリッシュに見せるには法則があったのをワタシも忘れていました。
しわしわトップハットをカッコよく見せるには、ブリムはキリッと!
現代もののハットはいい感じにシワの入ったものもありますが、映画として映えさせるにはブリムはカチッとしていたほうがいいでしょう。
ほつれたり、ちょっと変色したりしているのはいいんです。使用感があってもかたちは保っていること!さらにこのハットの場合、トップクラウン(てっぺんの部分)もピンっと張っています。
全体的にしわしわしているように見えて、シワが入っているのはサイドクラウンだけ。くたびれているようなのに、みすぼらしく見えないのはシャラメがかぶっているから……だけじゃないのです。
全体のバランスはいい感じなのでこのペーパートップハットからパターンを作ることにします。
布地はシワになった時に可愛い、パラフィン帆布を使います。アウトドアギアによく使用されている、防水機能のある布です。
トップハットのパターンは簡単です。
「top hat pattern」「how to make a top hat」などで検索してみてください。ダンボールで作ったり、ウレタンで作ったり、イベント用、コスプレ用、ペット用、時々見られるガチなやつ……世界中の素敵な力作がたくさん見られます。ちょっと工作の要素があるのが良いんですよね、みんなすっごく楽しそう。私もトップハットを作っている時は口がずっと笑っているんですよ。ふふふ。
バックの縫い合わせは生地方向に沿って……生地をバイアスで使用しているので縫い目は斜め45度になります。トップクラウンをピンッと張らせるためにちょっと工夫してみました。ふっふっふ……いい感じに出来たのでは?
ほつれた部分は始末をしてありません。このままでもデザイン的には可愛いのですが、ここは映画に忠実に、ブリムの縁をパイピングしてみましょう。
グログランリボンの色の濃さが目立ちます……写真に撮ると素材感の違いも気になるし、グログランがブリムのかたちに干渉してしまっています。イメージと違う!やり直し。
ふう、こんな感じに出来ました。
パラフィン帆布だけでかなり雰囲気が近いものが出来たんじゃないかと思います。作っているとつい「盛り方向」に考えがちなのですが、引き算した方がうまく行くことが多かったりしますね。忘れがちなんですけど。
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ところで、このハット、ぺしゃんこにして持ち運ぶことが出来ます。つまり……これは……「オペラハット」と言ってもいいのではないでしょうか!
ファミリーで見ても安心、ファンタジーでドリーミーな映画『Wonka~ウォンカとチョコレート工場のはじまり~』は遊園地に行くような気分でぜひ。なんだかんだ言って私の推しはシャラメでなく……ウンパルンパを演じるヒュー・グラント様です!
今回はここまで。どうもありがとう!
持ち運びが便利なトップハット(つまり広い意味でのオペラハット!)
過去にも何点かデザインしてきたので、お目汚しですが(潰れるタイプではないものもあります)
過去作↓
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