友人の娘さんがゆるい写真部に入ったのでなんかいい感じのカメラを選ぶ話⑪
M42マウントアダプター編
二万円以下で買える「グッとくる写真体験ができるカメラ」を探索しPENTAX k100dからのOLYMPUS E-500に流れてきた。
そして気がついた。
安く買えるボディは正義。画素数など問題ではない。ボディを安く手に入れて、単焦点レンズを手に入れる事!
これがグッとくる写真体験を手に入れるコツだと。
初めてカメラを買おうという人が「普通のレンズ(キットのズームレンズ)で練習して慣れたら他のレンズも考えます」と良く言うけど、残念ながらその時はほとんどくることはない。
キットレンズをつけた一眼レフは、何も知らない人が電源オンとシャッターボタンを押すだけで写るようになっている。それってもうほとんどスマホと変わらないわけで。
ズームするから「被写体になるべく近づく」「自分の立ち位置を考える」っていう写真体験として重要な事にも触れる事なく、ちょっとスマホよりは画質が良いような気がするな、程度で終わる。
最初のうちはうん十万も出したのだからそんな筈はないと自分に言い聞かせているが、最新スマホを手に入れたあたりで「もうこれ(スマホ)でよくね?」になる。
そんな人が処分したカメラがヤフオクでどんどこ流れてたりする(ちなみに元の値段が高いから中古でも高い。僕の手の届く範囲ではない)。
キットレンズは便利さと引き換えに、光を取り込むというレンズの最も大事な部分を大きく引き換えに失っている。
キットレンズの作例をみると、どれもすごく良く写ってる。でもあれはプロの仕事である。作例のように撮れるというのは事実だ。だけど、キットレンズで良い写真をとるのは、強力なレンズで良い写真を撮るよりずっと難しい。
これって当たり前のことで、たぶんだけどその写真を撮ったプロは、普段はそのキットレンズを使ってないと思う。
むしろ初心者をターゲットにしたカメラなら、カメラメーカーは「このセットを初めて買った◯◯さんが初めて撮ったのがこちらです」と、ほんとに初めて撮ったイマイチな写真を並べるべきだ。だってそうなるんだから。正直なところが消費者としては知りたいだろうし。
さて、キットレンズの悪口みたいのを長々と書いたけど、キットレンズは便利で安くてまあそれはそれで良いものです。(言い逃れ)
そう、安いの。キットレンズは。
メーカーだって本気性能のレンズを使ってもらえば、初心者だって感動の写真体験を得やすいとわかっているけど、本気のレンズってそれはそれは高価。高いボディにそれと同じかそれ以上の価格のレンズが別だなんて、初心者は理解できない。レンズはおまけでついてくるもの、いやむしろカメラはレンズがついていて当然じゃん?
でも実際はボディとレンズは別物。レンズの価格と感動体験は比例しやすい。
それをできる限り安価で達成しようとしてるのがキットレンズなんだよね。
というわけで(どういうわけ)初心者ほどキットレンズではなく強力な単焦点レンズを使ったほうがずっと楽しい。という話に(やっと)戻る。
が、単焦点レンズはもはやそれだけで二万円以上してしまう。二万円以下で感動写真体験という条件から外れてしまう。
しかーし! オールドレンズならいけるのです!
オールドレンズというのは、そのまんま古いレンズのこと。オールドレンズ最初の一本として良く紹介されるスーパータクマー(前回記事の作例はこのレンズによるもの)は1960年代とか1970年代とかのものだ。
古いから安いというのもあるが、現行のレンズとは違い、全てがマニュアルの時代のものなので自動化に伴う機構(オートフォーカス用のモーターとか)がそもそもなく、金属の筒にガラスのレンズという潔よさ。シンプルで元々が安かった。いやむしろその時代は単焦点レンズがキットレンズだったらしい(良い時代!)そう、キットレンズだったから市場に残っている数も多い。古くて数が多い=安い。今はものによっては数千円で十分買えちゃう!
安いけどレンズとしての描写性能はちゃんとしてる。グッとくる写真体験が得やすい。むしろ現行レンズでは表現されないエモい描写ができると評判だったりする。
二万円以下でボディと単焦点レンズの組み合わせ、グッとくる写真体験を実現する僕の一番のオススメ。
さて、デジタルカメラでオールドレンズを使うにはマウントアダプターというパーツが必要です。
ボディにレンズをくっつけるところをマウントって言うんですが、これが時代やメーカーによって全部違うわけ。基本同じマウントのレンズしかつかないんですが、違うカタチのマウントに変換するのがマウントアダプター。特にM42というレンズマウントがオススメ。
M42というのは42mm口径のただのネジ穴なので、変換パーツもシンプルで安いのです。
しかもM42はかつてユニバーサルマウント(世界基準)だったので世界中に色々なレンズが現存しています。スーパータクマーもM42マウントです。
ちなみにPENTAXは純正のM42マウントアダプターが存在します。先に紹介したk100dにはそのアダプターとスーパータクマーがついた状態だったわけ。それで数千円だった。こういうのがあったら絶対買いです。まあ状態にもよるとは思うけど。
普通は手持ちのボディに合うM42のマウントアダプターを買う事になります。
OLYMPUS E-500の場合(他のEシリーズも同じです)はM42からフォーサーズマウントへの変換が必要です。気をつけなくてはならないのはフォーサーズマウントとマイクロフォーサーズマウントは別物ということ。今はマイクロフォーサーズが主流なので、検索するとそればかり表示されるので気をつけて。
フォーサーズは4/3 マイクロフォーサーズはm4/3という表記です。mがついてるのは全部Eシリーズでは使えません。
マウントアダプターを探すには、自分のボディのマウント規格を正確に把握する事がまず必要です。カメラの説明書に書いてあるはず。説明書は大体メーカーホームページで公開されています。
OLYMPUS E-500ならフォーサーズ(4/3)PENTAX k100dならKマウント。
マウントアダプターは、つけたいレンズの規格、持ってるボディの規格の順番で刻印されてる事が多いです。
なのでそれでAmazonとかで検索かけます。例えば「マウント M42 4/3」(2025/01/14追記 4/3の代わりにOMでも検索してみると出てこなかったのが出てくることがあるかも。exakta→4/3のアダプターはこれでやっと見つかった。ただしOM4/3のやつね)というふうに。
外国から送られてくる場合は、注文から到着までちょっと時間がかかるかもです。
確かに初心者にはちょっと、いやかなり難しいですよね。まあそうかも。できればそういうのに詳しい知り合いが近くにいれば最高なんですが、そうでない事も多いでしょう。
ただ、わかってしまえば、乗り越えてしまえばどうってことないレベルです。ちょっと頑張れば越えられるレベルだと断言できる。
こういう経験を楽しんでできる人は、写真を撮る本当の面白さも誰よりも早く手にできると思います。写真だってスポーツに近いものだと思うんです。ちょっと頑張って手にした結果のほうが嬉しいし、そのスポーツの魅力にも気がつける。
スマホと同じように撮っていても気がつかない魅力を、表現する喜びを知って欲しい。
なのであえて初心者にこそM42マウントアダプターを強くオススメします。
長くなってしまったので、僕が選んだM42マウントのレンズについてはまた次回。