冬のある日のひとりごと いつかのあなたに届け

ある日の日記から。


愛すべき日々が、確かにあったんだと思う。
そのときそのときであらゆる種類の孤独や虚無を感じていながらも私は日々を心から愛していて、ささやかながら日々からも愛されていたんだなと。
それがもう戻れない類いの若さだろうと、その記憶は私を救いつづける、温めつづける。
そして今日も、そんな日々のひとつなんだ。

この部屋の光や、街並みや、個々の気苦労が、少しずつ少しずつ私の中で大切になってゆく。
新しい暮らしを好きになってゆくということ。
どうしても逃れられない時の流れに抗ったり感謝したりしながら、今日も丁寧に生きられたことが嬉しい。

去るものが多いと感じてしまうのは、きっと幸せなことなんだ。
緩やかに見えて確実に通り過ぎてゆく今を触れ損なわぬよう。残酷さに負けぬよう。負けぬようという思いに負けぬよう。
恐れるなんて甘い。恐れずに心を動かしたいと思う。迷いと憧れの中で、ともに。

今日見つからなかった言葉は、過去や未来の自分がちゃんと持っているから大丈夫。
無理に変わっていかなくて大丈夫。変わっていくことしかできないから。
だから格好つけずに今夜も苦しんだり愛したり、するよ。

たっぷりと水を飲む。


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