父ちゃんになった日(2023年9月)
「予定日より4日遅れた」と妊婦健診を終えた妻が言った。
いよいよ「父ちゃん」になるという不安と、我が子にようやく会えるという期待で胸がいっぱいだった。
少し予定が先に延びたので、今のうちに一人の時間を堪能しておこうと思っていたら、すぐに当初の予定日前日がやってきた。
23時過ぎに寝ようとしていたところ、「破水した」とトイレから妻の声が聞こえた。
病院に電話をすると、すぐに入院することになり、着替え一式を持ってくるように指示された。
心の準備はしているつもりだったが、実際には冷静さを失っていた。一方で、義母は落ち着いており、「もうすぐ生まれるね」と言っていた。やはり経験者は違うものだと思った。
急いで車を手配し、病院へ向かって妻を降ろすと、私は自宅で待機することになった。
破水後のトイレや使用したタオルを片付け、深夜2時を過ぎていたが、全く眠れずに朝を迎えた。
朝6時にLINEを確認すると、陣痛の間隔が短くなっているとのことだった。
さらに、9時には促進剤を使って陣痛を強めていたが、「もうすぐ生まれるから来て」と妻から電話があった。
急いで病院へ向かい、分娩室で立ち会うため受付に行くと、看護師から「緊急処置中なので待合室でお待ちください」と告げられた。
「それはどういう意味ですか?悪化しているのですか?」と聞きたかったが、先生からの報告を待つしかなかった。
待っている間、ただ無事に生まれてくることを祈るしかなかった。
まだかなと思っていた20分後、「無事に生まれました」と助産師さんが報告に来てくれ、その時初めて我が子に会うことができた。
最初はこれが自分の子どもだという実感が湧かなかったが、抱っこして写真を撮ってもらいながら、徐々に無事に生まれてきたことに感謝の気持ちが込み上げてきた。
「妻も無事です」との報告を受けて、部屋へ案内されると、疲れ切った様子ながらも、安心と喜びが入り混じった表情をしていた。
あれから一年が経つが、生まれるまでの出来事は今でも鮮明に思い出す。