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市場サイクルを見極めて、安定した投資を目指そう
投資の世界には、まるで季節が移ろうような「サイクル」があるのをご存じでしょうか。好調な時期には、わずかなプラス要素でも市場参加者は大歓喜し、株価は上昇します。一方で、ムードが沈み始めると、たとえプラスの材料があっても「本当に大丈夫かな?」と疑い、なかなか相場が盛り上がらないこともあります。
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こうした市場の「揺れ」を意識してみると投資スタイルを見直すきっかけになるかもしれません。
相場は振り子のように揺れる
市場は、時に「陶酔感」に包まれて、投資家たちが浮き立つような高揚状態になります。すると、どんなニュースも好意的に受け止められ、株価は右肩上がり。一方で、「沈滞感」が広がれば、どんなポジティブな材料もほとんど評価されず、株価は停滞しがちです。
投資の世界でも、市場は、
・陶酔感と沈滞感の間
・好材料への歓喜と悪材料に対する強迫観念の間
・過大評価と過小評価の間
を振り子のように揺れ動いている。こうした振動は投資の世界に見られるきわめて確かな特徴の一つである。そして、投資家の心理は振り子の「幸せな中心点」よりも、両端に長く位置するように見える。
この振り子のような動きは、「好材料への歓喜と悪材料への恐怖」や「過大評価と過小評価」の間を行ったり来たりしています。市場はまっすぐ一方向に行くことはほとんどなく、上下を繰り返しながら、長い目で見れば平均的な水準へと戻る傾向があるのです。
現在の相場はちょっと強気すぎる?
私は今の市場を「やや過大評価気味」と感じています。こうした局面では、たとえ悪いニュースが出ても「まあ、そのうち良くなるでしょう」といった楽観論がはびこりやすく、「グッドニュース・イズ・グッドニュース、バッドニュース・イズ・グッドニュース」状態になりがちです。
結果として、実力以上に評価された株価は、後々調整局面(下落)を迎える可能性が出てきます。いつその時が来るかは誰にもわかりませんが、株価の過大評価はリスクサインとして心に留めておくとよいかもしれません。
攻めるばかりが投資じゃない
過大評価された局面では、守りのポートフォリオにするのも一つの方法です。具体的には、保有銘柄を少し手放して現金比率を増やしたり、市場全体がどちらに動いても対応できるようなバランスを意識したりすると、気持ちにも余裕が生まれやすくなります。
もちろん、フルインベストメント(常に全力投資)を貫くスタイルもあります。相場のアップダウンを気にせず、長期的な成長を目指す投資家にとっては「サイクルに惑わされない」姿勢も十分アリです。ただ、その場合は下落局面でメンタル的な揺さぶりが大きくなる点に留意しておきましょう。
サイクルを意識すると投資がちょっと面白くなる
市場の「揺れ」を意識してみると、投資そのものが違った角度から見えてきます。過大評価のときにはリスクを抑え、過小評価の局面では勇気を出して買い増すといった行動が取りやすくなり、「なぜ今自分がこの選択をしているのか」がより明確になります。
これは中長期の資産形成を考える上で有益となります。日々の値動きに一喜一憂するのではなく、「今は振り子のどちら側に傾いているのだろう?」と捉えることで、落ち着いて状況判断ができるようになるでしょう。
まとめ
相場は、一定方向に突き進むものではなく、揺れ動きながら長い時間をかけてバランスを取っています。その過程で私たち投資家は、一喜一憂しながら理解を深めていくことになります。
過大評価と過小評価、歓喜と不安が交互に訪れる相場は、一見すると気まぐれですが、それを「サイクル」という視点で捉えると、ちょっぴり面白く、そしてわかりやすくなるはずです。
市場の振り子に合わせて自分なりの動きを考えることで、投資体験はより豊かなものになるかもしれません。ぜひ一度、サイクルを意識してみてください。
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