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 僕のヒーローアカデミア という漫画がある。
 週刊少年ジャンプで連載していて、8月に最終回を迎えた。
 娘のおすすめで、家族でアニメを一期から観てはいたし、それなりに面白いと思っていたが、そこまでハマってはいなかった。
 2022年に病気で入院した時にやることがなさすぎてタブレットで原作を一気見したあとアニメの6期が始まった。このタイミングが自分にとって転機となる。
 アニメ6期は物語が大きく動き、全面戦争になった上、主人公がとても苦しむ展開で、続きが気になってたまらず、次の放送までの一週間が辛いほどだった。
 追い討ちをかけるように、大好きなアーティストが後半の主題歌を担当し、6期の終末ごろにはいくつかの場面で涙するほどハマっていた。
 これは、まずい・・・と正直思った。
 気をつけて距離を取るべく暮らしていたが、大インターネット時代においては、情報が勝手に目に飛び込んできてしまう。毎週月曜日(週間少年ジャンプの発売日)にはSNSのトレンドに上がる関連ワード・・アニメの続きが始まるまで我慢するつもりだったが、「え?嘘でしょ・・?」とあるキャラクターの生死に関わる言葉を踏んでしまい、仕事の行き帰りもずっと、「どうしよう・・もしそれが本当なら・・」と気持ちがいっぱいに・・
 漫画の中の人のことを我が子のように心配している自分がちょっとおかしいと気がついた。

 我慢できずアニメ6期の続きの話が載っている単行本を購入し、そこからは単行本でストーリーを追うようになった。ジャンプには手を出すまい。それは最後の砦・・と思っていたが、最新刊41巻を読み、号泣したのち、映画を見に行き、その次の日に発売の少年ジャンプに最終話が載ると知って、記念に買おうとコンビニに行った。
 最終巻は12月に発売。4ヶ月も待つのか・・それまでこのジャンプは封印だ。
 そう誓って本棚にしまった少年ジャンプ。
 41巻はクライマックスの最高潮で終わっている。
 ここから単行本1巻分の話を読まずに最終話だけ読むのは、邪道、人の道にあらず。きっと読んでも意味が分からないだろうから、12月まで待つべきだ。
 そう思って二日は耐えた。
 でも、やっぱり、どうしても知りたくて、とうとう読んでしまった。

 読んでよかった。後悔はない。

 それから何度も何度も最終話を読み返し、その度に泣いている。
 (自分でもかなり気持ち悪いと思う)
 41巻のラストから、この最終話に至るまでにあったことはあまり想像しないようにしているけど、この最終話だけで、今までの物語が全部詰まっているくらい、やさしくて、寂しくて、そして勇気と希望が伝わってくる。
 小さなコマ一つ一つに込められたメッセージをもっと深く読みたくて、他の人の感想を追っかけてしまう。
 もっと、もっと、彼らの紡ぐ物語を見ていたかったと、まだ全部を読めてはいないのに、そう思ってしまう。
 こんな素敵な物語に出会えて本当によかった。

 気づいたら、毎日単行本を読み返し、主題歌を聴き、今までのストーリーを振り返って、反芻している自分がいる。
 これは、もしかしなくても、沼ということか。

 いつまでこの沼が続くか自信はないが、
 心を動かされ、満たされてしまった気持ちは本物だから、
 今は、こっそりと自分の愛情を、精一杯この作品に注いでいたいと思う。

 好きなものがある事は 人生最高の幸せである。

 

 

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