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アイドル150人取材!エンタメライター・ヨシキさんに聞くキャリアの始まりと成功の秘訣
「アイドルにインタビューしてみたい」
「キラキラしたエンタメの世界を取材したい」
インタビューライターに興味をもっている方のなかには、エンタメの取材に憧れている方も多いのではないでしょうか。
夢のように見えるアイドルたちを取材する仕事。その裏には確かなスキルと情熱、そしてちょっとしたきっかけが必要です。
150人以上のアイドルに取材した実績をもつ、ライターのヨシキさんにキャリアの始まりと成功の秘訣を聞きました。ヨシキさんの取材ノウハウ、仕事のリアルや、未経験からエンタメ取材ライターを目指すヒントまで、たっぷり伺いました。
憧れを現実に変える第一歩をここから始めてみませんか?
たまたまエンタメ業界へ
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ーヨシキさんが取材ライターを始めたきっかけから教えていただけますか。
ヨシキ:生きていくために始めたというのが正直なところです。私はもともと、在宅ワークでライターをしていたんです。2〜3年前AIが登場してきたのをきっかけに、対面で取材するスキルも磨いておいた方が、将来的に自分のためになると考えてインタビューの仕事を始めました。
ーエンタメに絞って、インタビューや取材の仕事を探したのですか。
ヨシキ:いえ、インタビューの仕事を始めた当初は、エンタメの取材をやりたいなんてことは、少しも思っていませんでしたね。とにかくインタビューの仕事で1件でも多く実績を積もうと考えていました。さまざまなクライアントに営業をかけていたところ、たまたまエンタメのメディアから仕事を受注できたんです。
ダメ出しの洗礼! 初めてのエンタメ取材はこうして始まった
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ー最初のエンタメ取材はうまくいきましたか。
ヨシキ:インタビュー自体に抵抗はなかったものの、いざエンタメの取材をやってみると、とても緊張しました。ダメ出しも受けてしまいました。
ーそうでしたか。インタビュー相手はどのような方だったのですか。
ヨシキ:はい。インタビューしたのは、テレビにも出演しているような有名な方でした。著作の出版を控えている関係で、その方の半生を伺いながら、どのような本を書いたのか聞くという取材だったんです。
ーどのようなダメ出しを受けてしまったのでしょうか。
ヨシキ:そうですね、徹底的にリサーチしたので質問はうまくできたと思います。しかし、記事を書いた後に「文章が硬すぎる」と指摘を受けてしまいました。
ー何が原因だったと思いますか。
ヨシキ:エンタメに適した柔らかい表現や、突き抜けた感じが、当時はまだ理解できていなかったんだと思います。反省しました。
ー最初の取材が一つの経験になったわけですね。その後は、次々とエンタメ取材の仕事が入ってきたのですか。
ヨシキ:そうですね。最初に発注してくれたメディア様からは、定期的に仕事をいただけるようになりました。
エンタメ取材の面白いところは、自分から企画を出せるメディアが多い点です。例えば「タレントの〇〇さんに、このような内容でインタビューしたい」と企画を提出し、メディア側がOKすれば、芸能事務所などにアポイントを取り、取材を実現できるという流れです。私は自分から企画を出してエンタメ取材の実績を増やしていきました。
自ら仕事を生み出す力!企画力
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ー自分で企画を考えるというのは、ハードルが高いイメージがあります。ご自身で「この人が面白そう」「この人にこんな話を聞いてみたい」と考えて、企画力を磨いていったのでしょうか。
ヨシキ:企画力というほど、大げさなものではないかもしれません。もちろん数をこなすのは重要ですが、シンプルに「自分が面白いと思うかどうか」を重視していました。一度企画を出したら、企画を考える脳に切り替わりました。何か情報を目にすると「これは企画にできるかもしれない」と、とっさに判断できるようになったんです。仕事全般に言えることですが、経験を積みながら磨かれていったのだと思います。
ー企画作りのための情報収集は、どのように行っていたのでしょうか?ネットに出てからでは、企画としては遅いですよね。
ヨシキ:確かに、未だ世に出ていない面白いものを、いち早く発掘したいというメディア側の要望はありますね。ただし、ネットの情報が必ずしも遅いとは言えません。
一つの方法として、私はまず人に注目したんです。各芸能事務所のタレント一覧を全部見て、面白そうな人をメモしておくということをやっていました。また、自分が興味のある分野のキーワードを「24時間以内に更新された情報」に絞って検索していました。意外と地道な方法で、コツコツ探しますね。
ーご自身で「興味がある」「この人面白そう」と思って取材しても、予想よりもPV(ページビュー)が伸びなかったということはありますか?
ヨシキ:確かに、私が予想したよりも世間に見てもらえなかった企画もあります。「これは面白いぞ!」と自信をもって記事にしたのに、コメント欄の反応が薄かったときは悔しいですね。取材を受けてくれた方に申し訳ない気持ちになります。
ーそういった経験を踏まえて企画を考える際は、世間受けとご自身の感覚、どちらを優先させますか。
ヨシキ:自分の感覚を信じつつ、世間のトレンドを掛け合わせることが重要だと考えています。どちらか一方だけでは、そもそも企画が通らないですね。
例えば「このアイドルが可愛いから」という理由だけで企画を出しても、絶対に通りません。「このアイドルが、今こんな面白いことをやっているから取材する」というような、トレンドを意識して客観的な視点も取り入れないと、企画は通らないんです。
ーなるほど!主観だけでは企画を作れないんですね。質問を考える際に、意識していることはありますか?
ヨシキ:これはインタビュー全般に言えることなのですが、ターゲットの読者を明確に決めるのは重要です。例えば、取材の目的が「2月に行われるワンマンライブに来てもらうため」だった場合、ライブに関する質問を増やし、「ライブに来たら、どんな楽しいことが待っているのか」「特典会では、こんなことができる」など、取材で深掘りすべきポイントを意識して質問を組み立てていきます。そうすることで、自然と質問内容は固まります。
ー企画段階で記事の目的とターゲット読者を明確に決めて、質問を組み立てるんですね。
150人のアイドルを取材!現場のリアル
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ーヨシキさんは、多くのアイドルを取材していらっしゃいますよね。アイドルの取材は「時間がない」「写真をキレイに撮って欲しい」など、さまざまな要望があるイメージですが、実際はいかがですか。
ヨシキ:アイドルの取材では、予定通りに進まないことがよくあります。例えば、たっぷり1時間の取材予定だったのに、写真撮影に時間がかかってしまって、インタビューの時間が20分になってしまうとかですね。内心では焦りながらも、クオリティを担保するために頭をフル回転させて対応します。
アイドルグループの取材ではメンバーが5人・10人と多く、誰かが休んだり、当日になってメンバーが変更になったりすることもあります。「10人グループだけど、今回は選抜で5人」と聞いていたのに、当日になって「やっぱり10人全員来ます」と言われ、大慌てで顔と名前を覚えたこともありました。
ーなかなか、計画どおりにいかない部分がありますね。
ヨシキ:さまざまな人が関わるエンタメの現場では、急な予定変更はしょっちゅうです。トラブルが発生しても、面白いと思えるようになりました。
ー書き上げた原稿のチェックは厳しいですか?例えば「この表現はNG」などの規制はありますか。
ヨシキ:細かい言い回しで「ここをもっと前向きな表現にできないか」と相談を受けることはあります。でも、大幅な修正を求められたことはないですね。なぜなら、アイドルの方々は、話すことがとても上手だからです。
ー具体的には、どのように上手なのでしょうか。
ヨシキ:例えばライブ後に「今日のライブはどうでしたか?」と聞くと、その一言だけで、2つも3つも言葉を返してくれます。雑談の中で深掘りしていくだけで、十分な情報を得られるんです。私が引き出した言葉ではないので、記事にする際に補足する必要がないんですよ。
―お話を聞いて、納得しました。自分の言葉で発信する能力がある方がアイドルになるのでしょうね。では、緊張してあまり話してくれないという場面はないですか。
ヨシキ:本当に稀ですが、そういったこともあります。デビューして間もない方は緊張してしまって、うつむいて話すようなこともあるんです。しかし、初々しい感じもファンの方に好まれるので、逆にチャンスだと捉えています。緊張している様子をそのまま記事にする場合もあります。
ーアイドルの取材で、その人の魅力を引き出すために心がけていることはありますか。
ヨシキ:これは私の考えですが、人間は誰しも少し変わって見られたい、という願望があると思います。アイドルの方々も「ただ可愛いだけではなく、私はこんな変なところがある」というような個性を持っている方が多いんです。例えば、普段はキュートなアイドルが、ライブになると豹変するということがあれば、そのギャップを記事にしますね。
ーちょっと変な部分やギャップがアイドルの個性や魅力なんですね。最後に、エンタメ系取材ライターを目指している方に伝えたいことはありますか。
ヨシキ:エンタメ系に限らずですが取材ライターに興味があれば、まずは一回やってみるのがいいと思います。対面でのコミュニケーションに苦手意識があり、取材ライターを諦めている方がいるとしたら、それはもったいないです。例えば私自身、人と話すことに抵抗はありませんが、実はテーマのない雑談が苦手なんです。大勢でフリートークするような場面では、何を話せばいいのか困ってしまいます。しかし、取材のようにテーマが決まっていると、自然に会話できるんですよね。
「取材ライターをやってみたいけど、人と話すのが苦手」と感じている方も「テーマをもって話す=取材」だと考えれば、意外とスムーズに会話できるかもしれませんよ。取材は、ただ雑談するのではなく目的をもって質問し、情報を引き出すものです。話すことが苦手だからと諦めずに、まずは挑戦してみてください。
ー興味があれば思いきってやってみることですね。とても心強い言葉をいただきました。ヨシキさん、本日は企画のノウハウやアイドル取材のリアルなど、大変貴重なお話をありがとうございました。
インタビュー・文/wakka
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