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義理チョコは絶滅危惧種!?甘くて苦いバレンタイン回顧録

「義理チョコ」は、今や絶滅危惧種かもしれません。
職場の男性に「いつもお世話になってます」と、バレンタインデーにチョコレートを配る、あの習慣です。

フリーランスで働く私には、もはや無縁の習慣となりました。
私の義理チョコエピソードを、いくつか披露します。

【エピソード1】生花店での義理チョコ騒動


私が働いていた当時の生花店は、おおよそ20対5の割合で女性が多い職場でした。
あるとき、主力店舗の店長が唐突に言い出しました。
(支店がいくつかあったのです)
「バレンタインに、みんなでお金を集めて男性社員にチョコレートを贈ろう!」
私は内心「面倒だな」と思いつつ、やんわりと反対しました。
しかし、彼女は聞く耳をもってくれませんでした。
「いつもお世話になっている、女性が多いのでそんなにお金はかからない、買い出しから配布まですべて自分がやる」と主張します。
結果、私たちは1,000円に満たない金額を徴収され、彼女に一任することになりました。

そんなやり取りもすっかり忘れた3月14日。
男性陣は、私たち一人ひとりにきちんとお返しをしてくれたんです。
心遣いが、素晴らしいですね。
女性陣を敵に回さないための、細やかな配慮が感じられました。

次の年から、義理チョコの慣習は自然消滅しました。

【エピソード2】派遣社員を悩ませる義理チョコ問題

義理チョコにおける最大の問題点は、職場の男女比ではないでしょうか。
私が派遣社員として働いていたのは、男性が多い職場でした。
派遣社員なので、義理チョコを配る義理はないと思っていたら……。

女性社員に「私たちは、お金を集めてみんなに毎年配っている。あなたは社員じゃないけど、どうする?」と言われてしまったのです。
職場には、夕方しか顔を合わせない方、協力会社の方、嘱託勤務の方など、本当にたくさんの男性がいたので、さすがに全員に配るのは難しい状況でした。
そこで「お世話になっている方にだけ、個人で配ります」と伝えてしまいました。(ああ、面倒だな……)

とは言ったものの。
ざっと計算しても20個以上のチョコレートを用意しなければなりません。
もちろん、お世話になっている女性社員にも、配らないわけにはいかないでしょう。
どうしたものか。

悩んだ挙句、お菓子作りが得意な友人に依頼することにしました。
彼女は他にもチョコレートを頼まれているらしく、快く引き受けてくれました。
しかも、お友達価格で!
さらに事前に打ち合わせの時間を取ってくれて、私の希望をヒアリングしてくれたのです。
素晴らしい!
私の希望は、当然女性社員のウケを意識したものになります。
生チョコのような食感で、甘すぎず、お酒にも合う、1粒でも満足感が得られるものが理想。
我ながら、ずいぶんな注文です。

完成したチョコレートは、それはもう素晴らしい出来栄えで、今思い出してもウットリするほどです。
それは、1.5cm角ほどの小さな立方体で、1袋に10粒ほど入っていました。
ココアパウダーがまぶしてあり、口に入れると洋酒の華やかな香りがフワッと広がります。
ゆっくり、ゆっくりと舌の上で滑らかに溶けていく。
1粒をじっくり味わいたい、濃厚なチョコレートでした。

「ありがとう。すごくおしゃれだし、美味しいね!それに、とってもいい香りがする」とメールで伝えると。
「実は、レシピの3倍の量の洋酒を入れちゃいました」と返信がありました。

チョコレートに添えるメッセージカードには、私ではなく友人が作ったこと、そして念のため、車の運転前には控えた方が良いことを書き添えました。

予想通り、友人のチョコレートは好評を博しました。
女性社員からも「あのチョコレート美味しいね」といわれ。
オジサンたちからも「酒のつまみにもよかったよ」「あんなチョコレート食べたことがない」「奥さんが感動していた」と絶賛の嵐。
ある年配の男性社員からは「自分で作りたいから、レシピを聞いてきて」とまで言われました。

そして、すっかり忘れていたホワイトデー。
持ちきれないほどのお返しをいただくことになりました。
お返しは嬉しかったのですが、やはり職場の義理チョコは、贈る側も贈られる側も少し負担になる習慣だったのかもしれません。

【まとめ】バレンタインデーの理想の形とは

生花店で働いているとき、2月14日の夕方に欧米人の男性が駆け込んできました。

(カタコトの日本語)お客様:「赤いバラはありますか?」
私:「はい。こちらに、たくさんありますよ」
(カタコトの日本語)お客様:「オー!valentine's dayに赤いバラが残っているなんて、シンジラレマセン!」
私:「バレンタインデーには、赤いバラを贈るんですか?いいですね。日本では女性から男性にチョコレートを贈るんですよ」
(カタコトの日本語)お客様:「赤いバラと決まっているわけではありません。valentine's dayは、愛を伝え合う日なので、赤いバラはとても人気です。どこの花屋でも夕方には売り切れてしまいますよ」

日本のバレンタインデーも、いつかこんな風になるといいのにな、と思いました。

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