『20年続ける』を目標に、私たちがパティオ手づくりフリマを開催する理由
『20年続けよう』
京都から香川県にUターンしてきた翌年2011年に、高松の商店街でハンドメイド作品を作者本人が売るイベントを開催させていただく事になりました。
小学生の頃にビーズアクセサリー作りを始めた私は、嵯峨美術短期大学在学中に雑貨店やイベントで自作のアクセサリーの販売を始めました。香川県にUターン後、自分のアクセサリーを直接売れる場所を探してみたものの、当時の香川県にはハンドメイドイベントがほとんどなく、じゃあ自分たちでやるか、というのが最初のきっかけです。
ただ、『ハンドメイド作品を販売するイベントをしたい』と考えたものの、Uターンしたばかりで友人も知人もほぼ居なかったので、香川県内のお店などが載っているフリーペーパーやタウン紙などに載っていた面白そうなお店にとにかくいろいろ行っていました。『まずは知り合いを増やしたい』くらいの感覚でしたが、ある時高松のボックスギャラリーメイクメリーさん(今はメイクメリーオフィス&ギャラリーさん)に行ったら、初対面にも関わらずオーナーの三宅さんが『いいですね!〇〇さん紹介しますよ!』という感じで、あっという間に開催場所と、商店街の備品からテーブルや椅子などを貸していただく段取りもできてしまい、開催するために警察などに提出する必要な手続きも教えていただきました。メイクメリーの三宅さん、その際は、お世話になりました。今も三宅さんが街でお仕事を続けていらっしゃることが、励みになっています。
さて、イベントを自分たちでできる事になり、参考にさせていただいたのは京都の知恩寺で開催されている「百万遍さんの手づくり市」です。
学生時代から数えて10年ほど京都に住んでいたうちの7〜8年の間、私は毎月15日は「百万遍さんの手づくり市」に出店していました。事前の出店申し込みも要らず、ふらっと現地にさえ行けば空いているスペースで出店できた頃から、知名度が上がり集客も何万人規模になり、往復はがきで出店を申し込み当選しなければ出店できなくなった頃まで、イベントの変遷を肌で感じ、出店者としてあの場所で出会ったもの、学んだものは数え切れないと思っています。
そんな中、知恩寺手づくり市の運営スタッフの方と知人たちと、たまたま食事をさせていただく機会がありました。その時のスタッフの方の話は印象的で「最初の頃は出店も数ブース、集客も少なく、そこから20年かかって、それなりになった」というような話をされました。その言葉がずっと私の中にあり、自分たちもハンドメイドイベントをしようと考えたとき「20年続ける」と目標を立て、私含め3人のメンバー全員が同意して、今に至ります。
「パティオ手づくりフリマ」が「手作りフリマ」と漢字表記でなくひらがななのは、百万遍さんの手づくり市への私の(勝手な)リスペクトからです。
そして始まったパティオ手づくりフリマは、のんびりと、本当にのんびりと、雨が降ったら中止し、真夏と真冬もお休みし、それ以外は毎月第二土曜日に毎月開催、ハンドメイドを作者本人が売ること、というシンプルなルールで開催しています。
そして、初めての開催から10数年経ちました。コロナ禍で数年休みましたがまた再開し、変わらず初期からのスタッフ3人は10年を過ぎた今もそのままで、折々でスタッフが増えたり減ったりしながら、のんびりやっています。
パティオ手づくりフリマは公募制なので、ベテランの作り手さんから、初めて自分の作品を販売するという方まで、色んな方が出店してくださいます。ハンドメイドイベントは、主催者の選考がある場合や、最初から公募せずに主催者が選んだ方に声をかける場合も多いです。なぜならイベントの趣旨に合うよう統一感のある作家さんに集まっていただいたり、季節感や話題性を考慮したり、クオリティの高い方を選ぶことでイベント全体の集客をあげるなどのためです。私も主催側の1人として、すごく分かります。
それでも、選考もなく応募すれば基本的に誰でも出店できる公募制を選んでいるのは、モデルにさせていただいた百万遍さんの手づくり市が元々そうであり、その玉石混交と言える出店者さまの中から自分好みの作家さまと出会ったり、推し作家さまの成長を見守ったり、また出店者として、一緒に切磋琢磨して成長していく過程を感じられたのが好きだったから。
何を隠そう、私の手づくり市初参加は実に酷かったのです。
ハンドメイドアクセサリーを初めて売ってみようと初参加したその日。土が剥き出しの会場の地面に直接布を敷き、ハンドメイドアクセサリーをポンポンと置いていました。見たいなーと思ってお客さまが近寄ってくれると、蹴飛ばされた土がアクセサリーにかかって土まみれ!
見かねた近くの出店者さんが『これを(机がわりに)使いな』と小さなダンボール箱を貸してくれました。何が売れたとか売れなかったとかは全く覚えてないのですが、ダンボールを貸してもらったことは何十年経っても忘れません。そして酷かったなあと思い出して恥ずかしい気持ちはあるけど、悲しかったとかネガティブな記憶はなくて、楽しかったし、有り難かったから、今もこうして続けているんだと思います。
そんな酷いイベントデビューから少しずつディスプレイを改善しながら、イベントと、そこにいらしている出店者さまやお客さまに育ててもらったと思います。
パティオ手づくりフリマもそういう場所にと思うので、どんなレベルの出店者さまも出られる仕組みにしています。あの頃の私に比べたら皆さんめちゃくちゃちゃんとされてます、笑
初期からずっと出店してくださっている出店者さまは、スタッフと同じくらい、いえスタッフ以上に、初めての出店者さまにお声をかけてくださったり、慣れない搬入を手伝ったりしてくださり、本当にいつも感謝です。
これからも、20年目指してのんびり続けていきます。20年後にどうなっているか、ぜひ一緒に見届けてください。その前に、第100回があるのですが、何か特別なことするのか?と思いきや、私たちはいつも通りな気がします。
▼出店者さま募集中!
真夏(8月)と真冬(12〜2月)を除く毎月第2土曜に定期開催しています。