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女のひとり旅ってこんな気持ちになるよねって映画(『20センチュリー・ウーマン』)

本当は観に行くつもり全くなかったんだけど、
『人生はビギナーズ』の監督作品と聞いて、
居ても立っても居られず初日鑑賞。
(人生はビギナーズの紹介記事はこちら)


私はフェミニズムとか女性讃歌とか聞くと
ちょっと嫌煙しちゃうタイプの女で
もしそういう人がこの記事にたどり着いたなら
そんな方ほど安心して観て頂きたい
性別関係なくオススメしたい映画。
本年度アカデミー賞脚本賞ノミネート作品です。


私もよくわからなかったのですが
映画通の方曰く、
脚本がすごい作品はハズレがないとのこと。
これはその通りですほんと。


◆20センチュリー・ウーマン

予告はこちら


予告を観ると、




14歳チェリーボーイのジェイミーと

オカンの思春期あるある家庭内事情の話。



とか思いがちなんですけども、
これがねぇ、そうなんだけど
子どもがいようがいまいが
若かろうが年老いてようが



女性が歩む道


について、絶大に共感し過ぎて
手元にいいね!ボタンがあったら
連打しちゃうシーンが何個もあったのです。


今回はそんな、いいね!!!部分を3つ、
予告以上のネタバレなしでご紹介します。
観ようか迷ってる人は参考にされてください。


【いいね!そう!これぞマイク・ミルズ節!】

マイク・ミルズ監督の前作といえば
監督の父親との実際にあった出来事を描いた


『人生はビギナーズ』。(予告)
これも見てると完全に、本作も
マイク・ミルズ監督だなぁ!って思う
特徴的な描き方なんですよね。



監督自身の経験をもとに描くスタイルで
必ずどんな時代だったかっていうことと
セリフでというよりは
本などの引用をして
相手に哲学的に問いを投げかけてくる。


どう思う?って感じで全然重くなく
むしろコメディタッチで軽やかに。



今回も、女性の性やキャリアなど
センシティブな話も結構出てくるんですけど
ドラマチックな展開はなくて
淡々と物語は進む傍ら、
観てる方を、ポジティブに唸らせる魅せ方を貫いてる。
深刻になり過ぎずに、
でも頭をよぎるような語りかけ。
映画で考え過ぎるのが苦手な方には向かないけど
映画を通して、何かヒントを得たり
ちょっと自分を整理したり
そういう機会にしたい人には
とても良い機会になると思います。



【ポイント②誰かに共感というより共鳴する】


主演はアネット・ベニングなので
メインは彼女が演じるバツイチ子持ちの
キャリアウーマン、ドロシア。


とはいえ、他の人物も丁寧に描かれてる。


ドロシアの息子、チェリーボーイから脱皮したいお年頃のジェイミー。


ジェイミーの幼馴染、17歳の小悪魔ツンデレ女子のジェーン。


ドロシアの空き部屋に住む、アート系不思議女子のアビー。


同じくドロシアの空き部屋に住む、ザ職人オタク気質なのに女が寄ってくるウィリアム。



それぞれが、それぞれの立場で
それぞれの思いで生きてる様が
とてもライトに描かれてる。

この作品
フェミニストの話とか女性讃歌とかって言われると
私は何となく観るのをためらう部類の女だけど
これはそういう概念の押し付けはなくて
女性ってこんな感じで生きてんのっていうのを
角を丸くして伝えてくれてる感じ。
なので、逆に普段の人生の中で



あっ...こういうことあるよね。



って、激しく共感するというよりも
ほんのり、じーんと心にゆっくりと
共鳴する感じで、響いてくるんですよね。


私は数カ所今の自分にピンポイントすぎる
セリフが数回登場して
やっと理解者を得れた気がして思わず
ほんのり涙してしまいました。
感情が高まったからというより
安心して、ホッとしてしまって、
ホロリときてしまったんです。


恐らくこれから観る方も
きっと出てくる誰かに共鳴して
自分の時間を振り返ったり
これからに思いを馳せたりするんじゃないかなと思います。
それはしかも決して重たいことではなく
どちらかというと前に進めるような
そんな少しの勇気をくれる
時間になるのだと思います。


【ポイントひとり旅をしてる時の気持ち】

この映画を観終わった時に
初めての気持ちというよりは
どこかで感じたことあるなぁと思ったんです。




あぁ、ひとり旅の時のアレだ。


って。
ひとり旅でも1人お出かけでもなんでもいいんですけど、
1人で外にいて
ふと物思いにふけったり考え事をしたりする時に
深刻に考えることはないんだけど
頭をよぎるのって
今の自分はこれでいいのかな?ってことが
少なからずあると思います。


別にその時の自問する問いの答えを
出してくれる映画では決してありません。



どちらかというと、

とても冷静で、
こちらにも味わう余韻をくれて
改めて自分が女に生まれて生きてること
他の多くの女の人と生きてること
それと同じくらい男の人とも生きてること
家族だろうとそうじゃなかろうと
私も、その人も、その人の時間をその人の想い出過ごしてること
そんなことを観てる間も
観た後もほんのり考える時間をくれる感じ。



こんなこともあんなこともあるよなぁって
ランダムに思いを回らせつつ
まあ、旅だしとりあえずゆっくりコーヒーでも飲むか。



みたいな、ちょっとしたきっかけをくれる感じ。
でも、旅の時に考えたことだから
旅の後もちょいちょい頭をよぎる感じ。
嫌ではなくて、その時々で思い出しては
さてどうするかと
一呼吸置かせてくれる系の映画。





ということで、
私も今これを書きながら
一呼吸置いてる。

みんなに見て欲しいようで
でも、ひとりでひっそりと噛み締めたい。






こうやって文章を家の近くのオシャレカフェで
ぽちぽち映画の余韻に浸りながら書いてる横で



お声が大きめのレディ達(おそらく看護師さん)が
先生のファッションについて
ピーコもビックリの辛口トークを繰り広げてて
いつもなら、ちょっとお口を慎みなさいよとか
思いがちな小姑のような32歳の私も
寛大に



いや、オンナはそういうときあるよね。

今がそういうときなのね。わかる。


ってなれたことにこの作品の偉大さを感じる。



心を整理整頓して

実はこんなところにいい感じにスペースがあったわよ!


っていう作用がこの作品にはあるようで。
さながら、ひとり旅でゆっくり考える時間を設けた時のようです。

ぜひ、映画館でカフェラテ飲みながらゆっくり観て頂きたいオススメ映画です。



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キャサリン
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