トイレを作ろう④
さて、前回ではお店のオープン以来、最も落ち込んだ日のことを書きましたが、その続きを。
その後、たなか氏(夫)に、
「もう無理だ。もういやだ。私にはできない」
と当たり散らしたところ、お休みの日にでかい流し台や建具を外へ出したり、トイレ廻りの小屋の掃除をしてくれ、店内からトイレへいけるようにしてくれました。
さらに、トイレ小屋の暗くてどんよりした空気をなんとかしたいと、小屋の一部分のトタンが引っぺがされておりました。
(…これはしなくてもよかったとは思う…)
残るは、トイレのある個室内を掃除したらいいだけにしてくれましたが、肝心なことが解決していません。
そう、洋式便座のこと。
弁付きの洋式便座は相変わらず見つからず、さてどうすっかなと困っていたところ、今後のためにもう一度現場をみたいとのことで、リノベーションをお願いしているSTUDIO36のアダチさんと業者の方々に確認してもらうことになりました。
私の考えていること(洋式便座をポコッと載せたい)を話したところ、トイレの個室部分が狭すぎるので、
「無理じゃない? でも、実際に載せてみないとわからないよね。」
となり、水道関係の業者さんがなんと、一度事務所に戻って便座をもってきてくれまして。(ありがとうございます泣)
3種類ほどの便座を持って来てくれて、和式便器にのせてみようとしたのですが…どれも載せられない…
和式便器をガコッと外してからまた便座を載せてみても、穴がうまく合わずに、載せられない…
ぐぁーーなんでだ!なんでこんなにうまくいかないのかっ!!
業者さんがせっかく便座を取りに帰ってまた来てくれたのに、一銭にもならず、申し訳なさすぎるし…(ほんとごめんなさい泣)
結局のところ、ただ載せるということでは対応できず、工事がいるとのこと。
仮設トイレを手配してくれた友人の知り合いの業者さんにも、事前に簡易工事の見積もりをだしてもらっていたので、その話を今回の業者さんにお伝えしたところ、その金額は最低ラインで、もう少しかかるのではというお話で…。
しかも、ちゃんとのリノベーションのときには、この工事した部分はおそらく壊してしまうことになるので、完全に二度手間。
やる意味がない…
ということはですよ。
和式でそのまま使えば断然安いが、洋式便座を設置するのならば仮設トイレを半年間借りる方が、え、安い…ってこと?
えぇぇもう。
そういうことか…そういうことなのか…(泣)
なんでこんな必死に、早急になんとかしたいと焦っていたのかと言いますと、11月2日から本屋の2階 ふたしずくにて、初めての二人展が開催されるからだったのです。
だって、作家さんが在廊してくださるんですよ。
それなのに。
トイレが、ない。
二人展だったのですが、そのお一人はひとしずくおなじみの作家さんで、当店の状況をよくご存じでいてくださったので、お二人ともおおらかに許してくださいましたが、本当に申し訳なさでいっぱいでした。(ご迷惑をおかけしました…すみません…)
結局のところ。
おかえり、仮設トイレ!
ということで、ふたしずくの二人展の展示会後半には、仮設トイレのレンタルがなんとか間に合いました。
カムバックしてきた前回と同じタイプの仮設トイレが、同じ場所に設置されるのを脇でみていた私は、心の安寧がじわじわと回復することを感じ、設置が完了する頃には、見事に安らかな気持ちになっておりました。
果てしない安心感。
なにものにもかえがたい。おおげさだけど、まじで。
ということで、再びの仮設トイレ生活がはじまりました。
たなか氏(夫)、トイレの小屋を掃除してくれたのにね、意味なかったね、ごめん。
そしてなぜか、業者の方が引き抜いた和式便器が戻されずにそのままそこに置かれたことによって、現代アートチックな感じになっております。(便器だけど。)
はからずも、『ノートイレ!ノーライフ!』の帯に、元ちくさ正文館の古田さんが下さった言葉の和式版のようになっております。
→ 古田さんは、現代アートのはじまりと言われる、マルセル・デュシャン作『泉』(これは、男性用小便器を展示した作品)=トイレ とかけて、帯に言葉を下さったのです。
なかなかみない、映えスポット(「映えスポット」ってもう死語ですかね?まだ使っても大丈夫です?)となっております(なってるのか?)ので、ひとしずくにお越しの際にはぜひ、お写真などお撮りになられてはいかがでしょうか(笑)
ということで、「ぼっとんトイレ復活させよう作戦」は失敗に終わり、よかったのかよくなかったのかわからないけど、再び仮設トイレ生活となったため、少しの間はトイレに振り回されることはなさそうです。
また、動きがあったら続きを書きますね。