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ウルトラマン初見によるシン・ウルトラマン初見感想
当然だがネタバレ記事だ。私のように、ジャンル初見勢の感想を読んでニヤニヤする方々に向けて書いた。ご笑納されたし。
また、書き出しから恐縮だが、「シン・ウルトラマン」には、私が覚えている限り、以下の描写がある。
女性が自分の尻を服の上から叩き、尻がアップになる
女性が他人の尻を服の上から叩く
女性の恥ずかしい様子がネットに晒される
男性が女性のにおいを嗅ぐ
この辺りの要素自体を受け付けないなら、「シン・ウルトラマン」の観賞はおすすめしないし、この記事の閲覧も勧めない。ほかにも楽しい映画やコンテンツはたくさんある。楽しもう。
また、私は以下のような人間だ。
「シン・ゴジラ」が初めて観た怪獣映画。好き。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」と「ゴジラvsコング」と初代ゴジラは観た。好き。
制作陣のことはよく知らない。エヴァンゲリオンもテレビ版を少し観たことあるぐらい。
ウルトラマン初見。
いわゆるニワカだ。しかも一回しか「シン・ウルトラマン」を観ていない。なので、描写の誤認や設定への誤解が多々含まれるだろう。
では、感想はじまり。敬称略。
気になった点
長澤まさみの尻。
尻がノイズ
難点からはじまる感想なんて、とは思う。けれど、ここを片付けなければ尻に気を取られ続けてしまう。
スタッフロール直後の心境は「なぜ尻???」だった。美女のスーツ越しの尻は好きだ。でもいまじゃない。私は巨人と禍威獣のバトルを観に来たのであって、尻じゃない。浅見弘子が他人の尻を触ったり、気合を入れるときに自分の尻を叩くことが、特に物語のおもしろさに貢献していないから、余計に気になる。
これまでコンプラ通報されたことないのか? ほんとうに公安エリートなのか? 彼女だけ違うドラマから来たのか?
おそらく尻のシーンがなければ、巨大化した浅見のセンシティブな動画が晒されるところも、ウルトラマンin神永が浅見のにおいを嗅ぐところも、物語のパーツになっていたので、ここまで気にしなかっただろう。尻描写の尺を、もっとバトルや、この世界の描写に費やしてほしかった。
私が知らないだけで、しずかちゃんのお風呂シーンのような定番なのかなあ。Twitterでちらちら感想見る限り、そんなこともなさそうだが。
そのほか
神永が許諾をとって単身子どもを助けに行くのに違和感があった。
自衛隊が行くんじゃないのか。
自分のぶんのコーヒーを持ってこない神永に説教する浅見、ひとりだけ時代がやっぱり違う。
ガボラ戦、神永が勝手に外出したことに誰か気づきなよ! 止めなよ!
ウルトラマンを幽閉したところにトラップとかセンサーとかないんだ。
ザラブ星人が地下をぶん殴って浅見を捕まえていたので、一応わかってはいた……のかな……??
最後まで、あまり相棒感はなかった。
滝と船縁はとてもがんばっていたが、浅見はなにをしてたんだ……? 神永の看病?
尺が足りないのかもしれない。浅見と神永が人間×人外のすっとこどっこいバディとして難題を解決する話があと三話は必要。
逆に映画一本に納めるなら、ひどい言い方だけど、いっそ浅見はいらなかったんじゃないか?
おもしろかった点
ウルトラマンは、エーリアン
ウルトラマンの異物感が最高だった。
私はこのキービジュアルが大好きだ。ヒロイックなエーリアンが、日本の田舎町に立っている。フォトショップで合成したような、のっぺりとした巨人。この強烈な異物感は、本編でも健在だ。
私が一番笑いそうになったのは、ウルトラマンがぐるぐる大回転するシーンである。ポプテピピックの「そうはならんやろ」「なっとるやろがい!!」の元ネタって、まさかこれなのか?? 違うかも。
もしかしたらCG予算の都合かもしれない。でも、私はこれぐらいのチープさが、却って人の手ではどうにもならない次元で争っているように見えて、好きだ。
大禍威獣バトル
禍威獣との戦いは迫力あったし、見ごたえもあった。
ネロンガ戦では、発電所大破壊に興奮した。「損害ウン百億円――――!!」と戦慄するつまらない大人だが、それがいいのだ。ある種のマゾ趣味かもしれない。また、はじめてウルトラマンが光線を撃ったが、あの空手のカタめいた予備動作が美しく、真剣に見入った。
ガボラ戦は、まずガボラの造形に興奮した。なんだあのドリル。一瞬、「メカが頭にくっついているのか?」と思ったら、ヒレ。「シン・ゴジラ」の蒲田くん的ビジュアルが性癖なので、心の中でいいねボタンを連打していた。
ザラブ星人戦(ザラブ星人は禍威獣カウントしてはいけない気がするが)でも、やはりザラブ星人の造形に興奮した。あんなに"開い"ちゃっていいんですか!? あきらかにこれまでの禍威獣と異なるビジュアルだ。文字通り次元が違う、人類が正面から殴っても倒せない敵だと実感した。
メフィラス星人……!!
メフィラス星人との絡みだけで90分ぐらいのドラマ、撮らない?
総理大臣たちを最敬礼して迎えるシーンと、ことわざを多用する点で、メフィラス星人のことを大好きになった。ウルトラマンin神永とメフィラス星人が飲み歩くだけのドラマを見たい。孤独のグルメみたいに。
あと、ウルトラマンのことを紳士と茶化すところもいい。ゾーフィを見て、面倒ごとに巻き込まれたくないからと、さっさと帰ってしまうところも更にいい。あの調子で、ウルトラマンに人類存続に関わるちょっかいをたまにかけてほしい。
滝の堕落、からの復活
人間サイドで一番気に入ったキャラクターは、滝だ。特にヤケになって職場でストロングゼロを飲むシーンが好きだ。
滝はウルトラマンたちの使っていた超技術に近いところが専門分野だったのだろう。現実を理解できるから絶望してしまう。だが、船縁にハッパをかけられ、ウルトラマンの助けもあり、立ち直る。がんばれ、人類はまだまだやれるぞ! とすなおに応援できるキャラクターだった。
また、滝のVR会議に対し、
「世界中の天才たちが会議しているのに、こっけいですね」(うろ覚え)
「現実はそんなものかもしれない」(うろ覚え)
という船縁たちの会話も、のちのゼットンに対抗するウルトラマンのシュールさにつながっているようで、好きだ。たしかに、必死でシビアな局面は、ときにこっけいに見えるものだ。
そのほか
冒頭の人類VS禍威獣○本勝負が楽しかった。ああいうの好き。
レヴィ・ストロースの「野生の思考」を速読するウルトラマンin神永。私はあのシーンで「神永はすでに、神永のガワを被った『何か』なんだな」と気づいた。
ザラブ星人がデータを戻してあげるところ。
メフィラス星人が巨大浅見でデモンストレーションするところ。
ザラブ星人とは異なる恐ろしさがあった。たぶんこいつの方がザラブ星人より一枚上手なんだろうなあ、と予感した。
また、実際にでっかい女性が現れたらああなるよなあ、という説得力のあるシーンだった。私だって現場に居合わせたら股を盗撮しない自信はない。
メフィラス星人が巨大浅見動画を消してあげるところ。
やさしい。(?)
ゾーフィのキャラ。
理性的にゼットンぶちかますところ。
太陽系吹き飛んでも構わないとか、宇宙広すぎる……。
リピアといい、激強エーリアンになんとなく女性的な名前がついてるの、いいね。
まとめ
おもしろかったし、超加点できる要素もあったけど、何度も観るかなぁ……テレビで流れたら観るかなあ……友人にもちょっと勧めづらいな……ぐらいの映画。
勧めづらい理由の8割ぐらいは尻周りにある。かといって、「パフューム ある人殺しの物語」のように変態描写を目当てに観るものでもないので、ほんとうに勧めづらい。尻を叩くだけだし。困った。尻周りの要素がなければ、「一度観る価値はあるぜ!」と勧めて回ったかもしれない。
メフィラス星人の地球さんぽドラマ、待ってます。