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【落米のおそれあり】

 岡本光博氏の作品で、スーパーマーケットのシャッターのペイント画。
 交通標識の落石注意をパロディにした図柄で、在日米軍問題を風刺している。
 2017年に沖縄県うるま市の美術展「イチハナリ・アート・プロジェクト+3」に出展された作品のひとつで、同プロジェクトは1つの美術館内の展示会ではなく、市内島嶼部のさまざまな場所に点在するアートを見て回るという趣旨のもの。本作は地元「伊計島共同スーパー」のシャッターに描かれていた。

 しかし自治会から「人を呼びたいのに逆行してしまう」と反対意見が出た。自治会長(60歳男性)は「誰もが素晴らしいと感動する絵ではなく、政治的な主張をする作品」「基地問題には様々な意見がある。政治と切り離した作品がふさわしい。イベントは活性化を目指すもので、作家のためのものじゃない」と発言した。
 自治会の強い要望により、うるま市は展覧会開始前に独断でベニヤ板で作品を覆うという行動に出た。この対処について作者の岡本氏はおろか、プロジェクトのディレクターである秋友一司氏にも承諾はなかった。
 岡本氏は次のように主張している。

「私は『沖縄から米軍基地をなくせ』といった政治的なアピールをしているわけではありません。米軍の兵器が上空を飛び回る島の現状をうつす鏡として、この作品を描いたのです。また地域への集客力ということでいえば、非公開でこれだけ反響を呼んだことでも分かるように、この作品が他に劣っているとは思えない」

その上で、沖縄の人の複雑な地元感情について以下のように推測した。

「おそらくですが、京都在住のよそ者である私が、島の問題を描いたことへの心情的な反発もあるのだと思います。しかし、『島のことは島で決める』として、沖縄以外の地域に住む人の声を排除するべきではないと思っています」

「落米のおそれあり」は、なぜ封印されたのか? 作者の岡本光博さんは憤る「社会問題を切り取るのもアートだ」

 本作はのちに、あいちトリエンナーレ2019内「表現の不自由展・その後」に出展された。

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