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 日本の都道府県のひとつで、いわゆる【有害図書】について定める「青少年健全育成条例」が全国で唯一、存在していないことで知られる。
 2016年になってようやく可決した「長野県子どもを性被害から守るための条例」がいわゆる青少年条例であると言われることがあるが、実際には有害図書を始めとするメディア規制については全く定めていない
 禁止事項として存在するのは17条(威迫等による性行為等の禁止)、18条(深夜外出の制限)のみであり、インターネットについての条文は第11条(インターネットの適正な利用の推進)にあるが、情報モラル教育の充実のための県からの教材や資料提供などの支援について定めたもので、何らかのコンテンツを規制する趣旨ではない。

 さて、仮に有害図書の類が青少年に悪影響を及ぼすならば、このように有害な図書類・有害情報が野放しになっている長野県は、さぞや少年による性犯罪・凶悪犯罪が跋扈する世紀末的惨状を来たしているものと想像される。
 では、実際に統計から現状を把握してみよう。

 少年犯罪検挙人数(14~19歳人口1万人あたり)は28.42人で、47都道府県中第34位。1位の福岡県(74.52人)の4割にも満たない。(2016年)
 続いて性犯罪認知件数(人口1万人あたり)は0.41件で33位。1位である大阪府(1.51件)の3割以下である。
 刑法犯総合ではどうであろうか。人口1万人あたり、62.86件。37位である。1位はやはり大阪府(158.78件)で、やはり長野は大阪の4割にも満たないのである。

 いわゆる有害図書指定については、その効果の検証がなされていないことが指摘されているが、間接的に長野県の事例はその傍証を示していると言えるだろう。

 ネット上では、東京都への不健全図書指定を受けた作家などが都への納税を拒否する手段として、長野県へのふるさと納税を活用しようという動きも生じている。

参考リンク・資料:

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