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【#専門家が選ぶ新書3冊】
2021年2月9日、法学研究者の「ぱうぜ」氏というツイッターユーザーによって始められたハッシュタグ。
関連ツイートは同氏によってtogetterにまとめられており、それによると企画の発端は「歴史関係の研究者の間で、「新書を読んでから考えてほしい」というのが話題になっておりました。それをうけてまとめ主が基礎ゼミの課題を思い出して…」とのことである。
念のためにいうと新書とはここでは新しい本のことではなく、学問的な内容を一般人に読みやすいようにまとめた本のこと。大抵が103×182㎜前後のサイズの寸法で、出版社の名前を冠して「○○新書」として発行されているものが多い。
なお専門家が選ぶ、とやや範囲を限定したのは、学生など全くの一般人に選ばせるとトンデモ本がかなり混じることを危惧してとのことだという。
どう考えても人畜無害なハッシュタグなのだが、またしても「ジェンダー」論者から噛みつかれた。
選定された書籍の著者が男性が多いのが気に入らないというのである。
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このツイートは筑波大学准教授の礪波亜希(となみあき)なる人物によるもので、分野はビジネスサイエンス系だという。
彼女は挙げられている最初の60冊ほどの本――つまり推薦ツイートでいえばせいぜい20――を確認し、著者の名前から性別を推測して、女性が少ないことを「気持ち悪いな~」と粘着する行動に出た。
まあ数えるという確認行動をしただけでもまだフェミニストとしてはマシな部類だが、正直あなたの方がよっぽど気持ち悪い。
あまりにも反応がヒステリックである。
そもそも一人一人が選んでいる本は3冊ずつであり、彼らは自分が良い本だと思った新書を推薦しただけである。他の誰がどんな本を選ぶかはお互いあずかり知らないことなのだから「合計して男女比がどうなるか」など誰の知ったことでもない。
これが、それぞれの選者が女性の本を選ばないのは「女性の本などどうせ大したことないに決まってる」という偏見のためである、と礪波氏が思っているから言っているのなら、(本当にそうかどうかはともかく)まだ話は分かる。
しかしそういうわけですら無いらしい。
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どうやら、本当に良書だから選ばれたかどうかは関係なく、男性の本が多いというジェンダーのギャップ自体が許せないらしい。
これは極めておかしな論理である。
自然に(つまり無作為な)選択をしてジェンダーや人種的ギャップが生まれること自体、性や人種にかんする何らかの格差を示唆する事実のはずである。その事実は事実として受け止めて、その背景にあるのが不当な差別なのかどうかを冷静に追究し、それを是正していく――これが社会科学とその実践のあるべき姿のはずである。
最初から「女性が劣ってるかのような差別的な結果が出るなんてけしからん!出てないかのように改竄しておけ!」などと言い出すのは科学ではない。
弁護士の山口貴士氏は次のようにツイートでコメントしている。
オススメの本を何冊か挙げるのに作者のジェンダーバランスガーとかクレームをつけている人は、頭がおかしくなりかけていると思うし、冷静になるべきだと思う。
— 山口貴士 aka無駄に感じが悪いヤマベン (@otakulawyer) February 11, 2021
参考リンク・資料:
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