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【ALPS処理水について知ってほしい3つのこと】

 2021年4月13日に復興庁が公開した、ALPS処理水やトリチウムについての説明チラシ及び動画。
 公開直後に、トリチウムの「ゆるキャラ」が気に喰わないという絶望的にどうでもいい理由でバッシングを受け、翌14日に復興庁はチラシと動画を削除した。
 当然ながら本件チラシ・動画に科学的な誤りや欺瞞はない。
 というよりそんなものがあればキャラクターがどうのと言っている場合ではないわけで、叩かれているのが「キャラクター」のみであることがすでにその証明のようなものである。
 
 ではその「キャラクター」とはどういったものかというと、これである。

 この絵のデザインなり何なりに問題があるのかというと、一切ない。このデザインが関与している説明にも誤りはない。
 福島第一原発事故を巡っては、オカルトまがいの疑似科学的な「危険性」を唱え続ける人々が、いわゆる左翼系の人々を中心に発生しており「放射脳」と呼ばれている。本件チラシは「誤った情報に惑わされないために。誤った情報を広めて苦しむ人を出さないために。」という副題がついているが、まさにその誤った情報を流したい「放射脳」達にとって、このような分かりやすい解説は最も邪魔なものであった。 

しかし内容には問題がないので「キャラクターにした」ということ自体を叩くしかなかった''}わけである。
 なお、ネット上では「トリチウムくんというゆるキャラを作るために電通に3億700万円が支払われた」というデマが流れているが、そもそも『トリチウムくん』などというキャラクターは存在しない。バッシング側が勝手に作り出した架空の名前である。この絵はただ「図解の一部」であるに過ぎない。

 ALPS処理水とは、福島第一原発事故の燃料デブリ冷却に使用した水を、多核種除去設備(ALPS)によって浄化したものである。ALPSによって大部分の放射性物質は除去されるが、トリチウム(三重水素)という物質は例外的に除去できず残留する。
 このトリチウムを含んだALPS処理水を、希釈して海に放出するというのが政府の計画であるのだが、例によって放射能に対するヒステリックな拒絶反応と風評被害が出ているので、科学的に正しい情報を伝える意図で作られたチラシ・動画である。

 チラシ版を見てみると説明されているのは、
1.トリチウムはすでに水道水や体内を含め、地球中の水のなかに存在している。
2.トリチウムから発せられるβ線の透過力は極めて微弱で、健康被害の心配はない。
3.処理水のトリチウム濃度はWHOが定める飲料水基準の1/7程度で、水道水と同程度である。
 という3点であり、さらに
処理水の海洋放出は世界中の原子力施設でも当たり前の処理法に過ぎない
 ことが付け加えられている。

 トリチウムとは質量数3である水素の同位体で、1つの陽子と電子、2つの中性子からなる。半減期12.32年を経て崩壊しヘリウムへと変化する。化学的性質は水素と同じであるため、酸素と結合して水を構成している。
 この水は化学的には水そのものなので、普通の水と同じように、体内に蓄積されることなく循環し、排出される。一部の者が叫んでいるような「生体濃縮の心配」は荒唐無稽な言い掛かりである。
 というか生体濃縮など起こるのであれば、それこそ処理水の中に魚なりなんなりの生物を入れておいて、その生物の体内に蓄積させてから生物を取り除けば、簡単にトリチウムを処理水から取り除けることになる。

 トリチウムを処理水から取り除けないこと自体、まさにトリチウムが体内に蓄積されない性質を持っているからなのだ。

 本件のチラシ・動画は、このような風評被害から福島を守るための広報であり、政府がこのようなバッシングに応じて広報を取り下げたのは世紀の愚行であったと言えるだろう。
 
参考リンク・資料:

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