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【一橋大学KODAIRA祭百田尚樹講演会】
2017年6月10~11日に開催された一橋大学の学祭「KODAIRA祭」で、10日に実施予定だった作家・百田尚樹氏の講演会。演題は「現代社会におけるマスコミのあり方」。
生徒で構成される実行委員会が前年から企画していたもので、副学長が統括する学内組織の許可も取り付けていた。が、同じく一橋大学の生徒らによる「反レイシズム情報センター」(ARIC)なるグループが4月に抗議している。抗議理由は過去の百田氏の言動に差別的なものが少なくないからだという。
実際に百田氏は、2016年11月に「千葉大医学部の学生の『集団レイプ事件』の犯人(中略)は在日外国人たちではないかという気がする」とツイートするなどしている。またいわゆる差別発言とは異なるものの、2014年2月に東京都知事選応援演説で、他候補者を「人間のクズ」と呼んだり、2015年6月に自民党議員らの勉強会で、沖縄にある地元新聞社2紙を指し「絶対につぶさなあかん」と言ったことなど、過去の「問題発言」をもARIC側は問題視しての抗議であった。
彼らはこう呼びかけている。
「(前略)百田尚樹氏は、悪質なヘイトスピーチ(差別煽動)を繰り返してきました。下記はその一例です。(中略)『もし北朝鮮のミサイルで私の家族が死に、私が生き残れば、私はテロ組織を作って、日本国内の敵を潰していく』(中略)これらヘイトスピーチは、日本も95年に批准した人種差別撤廃条約が法規制の対象としている極右活動・差別の煽動行為に当たる違法行為です。(中略)このような殺人・テロをふくむ差別煽動を繰り返す百田尚樹氏が、学園祭に招かれることで、私たちは学園祭期間中に深刻な差別・暴力が誘発されることを憂慮せざるをえません。(中略)また国立大学法人一橋大学という公共性ある大学の施設で、公式に学園祭のゲストとして招かれることじたい、彼の差別・テロ煽動に大学がお墨付きを与えることにもなります。(後略)」
もう一度言うが、講演会のテーマは「現代社会におけるマスコミのあり方」である。このテーマでの講演を認めることが「差別・テロ扇動にお墨付きを与える」ことに何故なるのかという説明はここには全くない。
企画していた学生たちに対する圧力や実に苛烈なものであったらしい。百田氏はその実情について下記のようにツイートしている。
聞くところによると、私の講演を企画した学生たちは、サヨクの連中から凄まじい脅迫と圧力を受け続けていたらしい。
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) June 3, 2017
ノイローゼになった学生や、泣き出す女子学生までいたらしい。
そこまでやるかと思う。おぞましさに吐き気がする。https://t.co/xunR2ucvs5
また産経新聞はこのように報じている。
反対の動きは、主に3つの方向から起きたという。一橋大の大学院に在籍する学生が代表を務める、研究者やNGOらでつくる団体「反レイシズム情報センター(ARIC)」は、百田氏が在日外国人に対して差別的な発言を繰り返してきたとして、差別は許さないとする署名約1万人分提出。大学院生が中心の「講演会中止を求める一橋生有志の会」は開催反対の署名とともに、反差別規定をつくるべきだと求めた。教員からも反対の声は上がり、実行委には「一橋大の品格をおとしめる」「中止しろ」などのメールが届くようになったという。
さまざまな形で中止を求める声が寄せられても、「表現の自由は民主主義の根幹だという信念を持っていた。中止は考えていなかった」と男子学生。開催の道を探るべく反対派との折衝にあたり、警備体制強化の検討を重ねていたが、心は疲弊していった。
5月下旬、ARICと2回にわたり話し合いを実施。外国籍の学生を伴って臨んだARICのメンバーは、席上で「講演開催の事実や内容にショックを受け、自殺する人が出たら賠償責任を取れるのか」「講演をきっかけにヘイトクライムが起きて負傷者が出たらどうする」などと詰め寄った。「責任を追及されると、もう何も言えなくなってしまった」
このため企画側はHP上で中止を発表し、その理由としてこう述べている。
実行委は「発言の場を奪うことは表現の自由という民主主義の根幹を揺るがす」として開催の意向だったが、その後も教員の有志約60人が「適切な処置」を求める要望書を大学側に提出。実行委は今月2日に中止を発表した。実行委は「(講演当日の)警備態勢があまりに大きくなりすぎ、大学祭の根幹が揺らいだ」と説明している。
つまり安全上非常に問題のある危険行為が予告、あるいは仄めかされ、別の企画や発表にまでも影響が出てしまうほどに危険な状態となったということらしい。それがいかに酷いものであったかは、百田氏のツイートからも伺えることである。
評論家の潮匡人氏や産経新聞のコラム「産経抄」は本件について「リベラル派文化人の言論活動が妨害されると大騒ぎするものの、保守系文化人が同じ目に遭っても、それほど関心を示さない。奇妙な二重基準」を強く批判している。
ただし実際には、普段は百田氏の意見に批判的な人物のなかにも講演の弾圧・中止を批判している人物は存在する。上武大学の田中秀臣教授(百田氏のツイッターアカウントにもブロックされているとのこと)はその一人である。
参考リンク・資料:
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