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【ヒュラスとニンフたち】
イギリスの画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによる1896年作の油彩画。
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この絵はギリシャ神話の「アルゴ号の航海」の一場面を題材にしている。
アルゴ号はとある島に立ち寄り、そこで仲間のひとりヒュラスは水を汲みに泉を訪れた。泉には水の妖精ニンフたちがおり、ヒュラスを水の中に引き込んでしまう。ヘラクレスたち仲間の必死の捜索にもかかわらず、水に引き込まれたヒュラスは二度と帰ってくることはなかった
……という話である。
制作された1896年にすぐマンチェスター市立美術館に購入された。
他の裸婦画を扱った作品とともに「美の追求」と題する展示スペースで公開されていたが、この美術館にはクレア・ギャナウェイなる学芸員がおり、彼女はこれらの作品を「受動的な着飾り」や「ファム・ファタール」として扱った「とても時代遅れ」な表現であると注意書きをしていた。
2018年1月26日、美術館は本作を撤去し、その壁に張り紙を掲示。撤去は録画され、現代の芸術家であるコニア・ボイスの展示会の一部となると説明されていた。
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我々はJ.W.ウォーターハウス作『ヒュラスとニンフたち』をこのスペースから撤去しました。マンチェスターの公共の芸術作品コレクションを、いかに展示・解釈するかについての対話を促すためです。コレクションについて、我々はどのような21世紀に相応しい語り方ができるでしょうか?
・このギャラリーは女性の身体を「受動的な飾り物」または「ファム・ファタール」として表現している。このヴィクトリア朝的幻想に挑戦しよう!
・このギャラリーは、ジェンダー・人種・セクシュアリティ・階級などの問題が絡み合って私達に影響を及ぼしている世界の中に存在している。芸術作品は、より現代的で適切な方法でどのように語ることができるでしょうか?
・他にどのような物語を芸術作品とその登場人物は語ることができるだでしょうか?ギャラリーで探究する上で、他の興味深いテーマは?
この絵の撤去行動は2018年1月26日夕方から、ギャラリーのチームと関係者が参加するギャラリー「乗っ取り」の一部として行われました。この「乗っ取り」は録画されており、2018年3月2日~9月まで開催されるソニア・ボイスの展示の一部となります。
美術館では来館者に、撤去について意見を書いた付箋を貼るように募っており、実際に貼られた付箋の意見は大多数が撤去に批判的な内容であった。美術館は1週間後の2月3日に本作をもとの位置に戻している。
その付箋を貼られるように促された場所は、館内の本作がもともとあった展示室である。
すなわち、実際にお金を払って入館した人々による投票結果ということになり、「クレーマーはその商品の実際の消費者でない」という通説の実例の新たな一つとなったと言える。
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参考リンク・資料:
![](https://assets.st-note.com/img/1638182588395-W2J2497SWM.png?width=1200)
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