【非実在児童ポルノ】
未成年の、あるいは未成年程度に若く見える登場人物(いわゆる「非実在青少年」)の裸体や性的行為などを描いたアニメ、漫画、イラスト、ゲーム等のこと。法令上の用語ではないため話者によって言い方はまちまちで、日本ユニセフ協会は「準児童ポルノ」、渡辺真由子は「創作子どもポルノ」と著書の表題で命名している。
日本の「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の成立時・改正時の議論では大きな問題となり、同法では「児童ポルノに含まない」ということで決着している。
国によってはこのようなものも含めて取り締まっているが、このような規制は現実の児童虐待防止に資するという科学的根拠はなく、現時点でそのような成果をあげた国も確認されていない。
なおかつ実在児童の保護や救出に使われるべき捜査機関のリソースを、漫画の摘発に浪費させてしまうという問題点がある。
2021年10月、日本共産党が「2021年総選挙政策」のなかで「漫画やアニメ、ゲームなどのいわゆる『非実在児童ポルノ』」の規制立法を明言したことであらためて話題となった。「7、女性とジェンダー」の項に記載されており、発表日は10月6日。
同党はこれを含め「児童性虐待・性的搾取描写物」として一括規制する立法を目論んでいるとみられる。
関連部分は以下の通り。
引用文中の「国連人権理事会の特別報告者などから勧告」というのはいわゆる【ブキッキオ報告】のことで、この勧告については来日時に「日本の女子高校生の3割が援助交際経験者」というトンデモない見解を、何の根拠もなく発言したことで知られる。なお3割はのちに誤訳であるとして13%に訂正されていたが、いずれにせよ何の根拠もない誇大な数字であることに変わりはない。
このように根拠の無い発言をもとに「子どもを性欲や暴力の対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広め、子どもの尊厳を傷つけることにつなが」るなどという、主観的な想像によってする表現規制論などは暴論と呼ぶしかない。
過去には、日本共産党は2019年の政策発表に「『児童ポルノ規制』を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。」という文言を入れているなど、表現の自由を重視する建前を取っていた。
(日本共産党HP「52、文化(2019参院選・各分野の政策)」より)
この言葉と今回の「非実在児童ポルノ」「性的虐待・性的搾取描写物」論とは真っ向から矛盾するが、2021年でも「60、文化」の項にこの文言だけが存置されているのは不可解であり、消し忘れの可能性も指摘されていた。
(同「60、文化(2021総選挙/各分野政策)」より)
これについて漫画評・書評サイト「紙屋研究所」管理人漫画でコミュニストでもある紙屋高雪氏などは「共産党は法的規制に舵を切っていない」と擁護論を展開した。
が、筆者を含む複数の者が日本共産党中央委員会に対して、電話等での問い合わせを行い、「児童ポルノについて『議論なしの法的規制』に反対であるが、法的規制にはあくまで反対というつもりではない」という回答を得たている。
なお2020年1月には、同党の浅野史子がイギリスでの有罪判決に「『表現の自由』を盾にしない英国司法の賢明で潔い判断」と肩入れする発言をツイッター上でしたことがある。
このとき少なくとも表立っての訂正や咎め立ては党からなかったことから、当時から表現の自由に対する同党の姿勢について危惧の声があがっていた。
参考リンク・資料:
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