「簡単だがインパクトがあるレセプトデータを用いた外来診療分析」 / 今日の病院コンサルメモ
特異的な診療情報管理士の仕事関連活動 #005
今月2回目の顧問先病院への訪問
受診中断した糖尿病患者の受診勧奨後の診療提供実績は?
(およそ2ヶ月前)
病院スタッフのAさん「・・・」
僕「どうしたんですか?」
A「実は,院内学会発表会の演題登録の期日が迫っているんですが,発表のネタがなくて困っています」
僕「えっ!院内学会発表会もあるんですね!それはすばらしい!」
僕「僕も以前に勤めていた病院で,医療の質向上の院内活性を目的に,院内学術大会を企画提案して立ち上げたんですよ.そうしたら,意識の高い医療スタッフたちに喜ばれて,とても盛り上がりましたよ.ぜひ,診療支援部からも何か発表しましょう!」
僕「ん?ちょっと待ってください.糖尿病外来の患者さんが外来にあふれてるじゃないですか」
A「はい.糖尿病内科医の先生がとても熱心で,糖尿病診療の多職種チームと一緒に積極的に診療にあたってくれています.私たちの診療支援部も,「受診中断した糖尿病患者の受診勧奨」を手伝っているのですが,一方で,外来患者が増えすぎて,外来が回らなくなっているというジレンマがあるんです」
僕「それ,院内学会で発表しましょう」
A「え~っ!」
僕「テーマは『受診勧奨の取り組みの効果』と『外来診療体制の見直し』に分けることができますが,演題登録の期日まで時間がないので,今回はレセプトデータを用いた『受診勧奨の取り組みの効果』にフォーカスしません?」
A「いいですね!」
僕「後で構わないので,『受診勧奨の対象になった患者IDのリスト』と『2022年4月1日から1年分の入外のEファイル』を僕に送ってください」
A「分かりました!」
【データ活用事例】 エクセルを用いた診療行為実績の調査概要
院内学会発表会当日のAさんの口頭発表
A「以上のとおり,受診中断糖尿病患者の受診勧奨後の診療提供実績は,糖尿病内科だけでなく,その他の多くの診療科でも提供されていました.また,入院診療や検診・介護サービスにも波及効果を認め,これは新規外来患者の獲得と同様の効果があったといえます」
A「しかし一方で,こうした取り組みが外来診療を圧迫しているという側面もあることから,これは今後の糖尿病外来の診療体制を見直す必要性を示しています」
A「結語です.本成果は,今後の糖尿病外来診療をデータに基づいて見直す際の基礎資料に活用できます.ご清聴ありがとうございました」
会場「パチパチ!パチパチ!(拍手)」
次は,「糖尿病外来が抱えるジレンマ」の課題解決へ
A「ありがとうございました! 発表して,本当に良かったです!」
A「それに,糖尿病内科の先生たちも喜んでくれました!」
僕「それは良かったです.この成果をもとに,『糖尿病外来患者が抱えるジレンマ』の課題解決策を一緒に検討しましょうね」
A「はい!」
僕「それと,今回発表した演題をもう少しブラッシュアップさせて,全国学会で発表しましょう」
A「え~っ!」
僕「あと,先日病院経営幹部に報告した『5年後の入院需要予測が当院与える影響』のデータ分析結果も全国学会に発表しましょう」
A「え~~~っ!」
僕「はい.ここに学会発表抄録のドラフトをおいておきます.日本医療マネジメント学会か,日本診療情報管理学会のどちらでもよいので,演題登録をしておいてください」
A「え~~~~~~~~~~っ!!」
【編集後記】
今日のメインは,病院経営幹部に向けた次のデータ分析報告会「1.5次診療圏の地域医療貢献分析(マーケットシェア分析)」の準備を進めました.具体的には,分析データセット用のマスタをエクセルで作る方法を一緒に攻略しました.意欲的なスタッフが多いので,一緒に課題にチャレンジしていると僕も楽しくなってきます!
2024年2月
【仕事関連活動の履歴】