森の本棚
山の奥の古い社のそのまた奥に聳える大樹。
その脇腹には大きなウロが空いていて、
中に入ると螺旋の階段。
壁の全てが本棚。
森で生まれた鳥や虫は皆、年頃になると、このウロに来て、
自分達に代々伝わる恋の作法書を読んでから
外の世界へと飛び立ってゆく。
口々に覚えたての求愛の歌をくちずさみながら。
この作品は、小説家ほしおさなえさんの門下生を中心にした140文字小説サークル‘lotto140‘が発行している同人誌「はまぐりの夢 vol.4」に寄稿させていただいた4つの作品のうちの1つです。(テーマ:本棚)
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