東京都の太陽光パネル設置義務化の問題
2022年12月13日(火)東京都議会の環境・建設委員会にて環境確保条例の改正案が賛成多数で可決され、新築戸建への太陽光パネルの設置義務化が前進しました。
日本を取り巻く世界情勢の変内閣官房不足の日本にとって、再生可能エネルギーである太陽光発電はCO2削減、エネルギーの地産地消の点において効果的のため私も導入賛成の立場ですが、この環境省京都の太陽光パネル設置義務化には幾つかの問題点があり、以下発言をしたいと思います。
1.省庁と政府、東京都の歩調の違い
下記、国土交通省・経産省・環境省が脱炭素社会に向け、住宅の在り方を示した資料、また内閣及び腰示した再エネの普及ロードマップを添付しました。省庁、政府見解としては概ね下記の通りです。
国や地方自治の建造物や公有物、新築物件については率先して太陽光パネ ルを設置し、2030年までに50%以上を設置する。
太陽光パネルの設置義務化は宅地の区割り、日照条件の変更があり、そのリスクが個人に委ねられる事から、義務化は現段階でせず将来の選択肢のひとつとする
現時点では義務化は様々な課題があり先送りされたが、東京都は義務化に舵を切りました。
2.ソーラーパネルの国内シェア
東京都のパブリックコメントにて、住宅用ソーラーパネルの国内シェア7割という言及がありました。(一社)太陽光発電協会の統計資料によりますと、確かに住宅用は約7割のシェアがある様です。しかし、一般住宅以外の工場、自治体保有建物、マンション、駐車場、等の一般事業は約30%のシェアとなっています。国や地位法自治の建物の50%のソーラーパネルを設置するのですから、住宅用パネルの国内企業のシェアが70%という側面のみに焦点を当てて議論を進めるのは如何なものでしょうか?
また国内生産品においても部材は海外製で日本で組み立てた製品が大半(ほぼ全て)です。
3.シリコンと新疆ウイグル強制労働問題
太陽光パネルの部材としてシリコンが使用されますが、そのシリコンの採掘にウイグル民族が中国から強制労働をさせられているという報告があります。アメリカは中国のシリコン原料、ソーラーパネルに制裁を加え禁輸の措置を講じました。
また、昨年12月に「世界ウイグル会議」のドルクン・エイサ総裁が都内で会見し、都の太陽光パネル義務化に対して中国製以外のパネルを使用すべきで、もし中国製を使用するならば「都がジェノサイドに加担した」事となる、と苦言を呈しました。
東京都は国内メーカーへのヒアリングにて使用の事実はない、と国内メーカーから回答を得ている、との見解です。シリコンの世界シェアの約8割が中国製、そしてその半分がウイグル製と言われており、国内メーカーは中国原料メーカーからしっかり確認を取っているのか、トレーサビリティがしっかりされているか、そうであるならばしっかりと公表をすべきです。
また住宅は7割が日本製ですが、一般事業用の7割の海外製はしっかりと管理されるのでしょうか?その管理は難しい様に思います。
まとめ
東京都が義務化の条例を急いでいる理由(施行開始は2年後を予定)は不明ですが、議論不十分、準備がしっかりなされていない状況で条例を通してしまおうとしています。都議会では、自民党とのみ反対で、その他は賛成しました。人権問題のみならず、太陽光パネルの義務化の議論が深まらない状況で、どういう意識をもって賛成としているのか、疑問だらけです。
都議会の中には、自民党のこいそ明都議会議員の様にウイグル民族へのジェノサイド問題を明確にする議員がいらっしゃいましたし、反対の議員は多くいらっしゃいます。今後もしっかり注視して行きたいと思います。